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8月16日(金)メディア日記

「NHKスペシャル」は太平洋戦争の当時の日記や手記から追体験するシリーズを放送しているが、4回目の放送は、日本国民の犠牲が急増した1944年に焦点を当てた。15日夜放送された。最近のNHKのドキュメンタリー番組は、再現映像、音楽、ナレーション含めてやや演出過剰が気になるが、今回はこの杞憂を吹き飛ばす素晴らしい出来に仕上がった。
 1944年は米軍による本土空襲が本格化、追い詰められた日本政府は、人間を兵器にする「特攻」、人間魚雷「回天」などに踏み出す。本土防衛の最前線と言われたサイパンの日本軍守備隊の約4万人は全滅、2万人いた民間人は1万人が犠牲となった。番組では14歳の少女と両親がジャングルを逃げ回るさまを一人生き残った少女が記録していた。手記は、みずみずしい感性、しかも内容は克明だが、3人が絶望的な逃避行の姿には胸が痛む内容だった。

 実は、この番組を観ながら番組30分前のNHK「ニュース7」に登場した木原稔防衛相や高市早苗が靖国神社を参拝した姿が番組の画面にオーバーラップしてしまい、最後は怒りに変わってしまった。靖国神社は軍国主義の精神的支柱だった国家神道の中心、しかも戦争を指導した「A級戦犯」の14人が合祀されている。サイパン島が陥落する直前、陸軍省軍務局長が「女、子供は玉砕してもらいたい」と書いたメモが見つかり、番組はこれをそのまま放送した。サイパン島の悲劇も特攻と人間魚雷も元をただせば、ここに合祀されている日本人戦犯の責任だろう。そんな靖国神社に大勢のカメラを意識して意気揚々と車を降りる高市早苗ら閣僚どもには心底腹が立った。

 沖縄タイムスは16日、「来年度から4年間使う中学校教科書を巡り、沖縄県の石垣市と与那国町の教育委員会は15日、八重山採択地区協議会の答申の通り中学の歴史公民分野の教書は、2012年から使われてきた育鵬社に代わって日本文教出版(日文)が選ばれた」と報じた。育鵬社の公民教科書は保守的な立場から国防や憲法改正を強調しているとの批判があり、市民団体が不採択を訴えていた。石垣市長選は2010年に保守系の中山義隆が当選したが、中山はそれ以降、フジサンケイグループ傘下の扶桑社100%出資の育鵬社の中学歴史・公民教科書採用してきた。この間、沖縄タイムス、琉球新報、市民団体が反対してきたが、12年経ってようやく育鵬社教書が不採用になった。

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