9月27日(金)メディア日記
「袴田巌再審無罪」の27日朝刊は、日経新聞を除き、全紙が1面トップ。東京新聞は1面左の囲み記事に大きく「袴田さんにおわびします」と袴田巌が逮捕された1966年8月18日の報道を謝罪した。同紙は同日の夕刊で「犯人はやはり『袴田』だった」という見出しを報じた。「逮捕段階で罪が確定していないのに、袴田さんを『犯人』と報道した本紙にも、冤罪を生んだ責任があります」と率直に詫びた。
一方、朝日新聞は同日朝刊27面に当時の報道を検証した。「新聞は事件発生の数日後から『従業員H浮かぶ』」と本人を特定して報道。逮捕されると『身持くずした元ボクサー』とか『不敵なうす笑い』などと表現した。しかし、袴田は静岡地裁の初公判でも全面否認、公判の弁護側の反証で、袴田に新たな有利と思われる証拠が出てきても大きく報じることはなかった。「メディアは警察と検察ばかりを追いかけて、弁護側に取材する発想がなかった」と当時の朝日記者のコメントも載せた。朝日の検証記事には、東京新聞のような袴田巌に対する謝罪の気持ちは感じられない。同日の朝日の社説も「事件報道についても反省すべき点が多々ある」と書いたぐらいで、何を反省すべきかなどは具体的な記述は何もなかった。
自民党は27日午後、党本部で総裁選の投開票を行い、新総裁に石破茂を選出した。1回目の投票では高市早苗が1位、石破は2位だったが、大方の予想を裏切って、上位2人による決選投票で逆転し、石破が勝った。票差は21票の僅差だった。産経新聞は27日デジタル版に「ワイドショー政治は健在か、高市潰し包囲網はねのけならず 高市氏敗れる」と敗因はテレビにあると報じた。とくに高市の「政治とカネ」を批判した「モーニングショー」(テレビ朝日)と「ひるおび」(TBS)の2番組を名指した。この記事は翌28日同紙朝刊には載らなかった。
石破茂は27日夜、テレビ各局の生番組に次々に出演した。出演順にBSーTBS「報道1930」、NHK「NC9」、BS-フジ「プライムニュース」、テレビ朝日「報道ステーション」、
テレビ東京「ニュースWBS」、日本テレビ「ニュースzero」など6局に出演した。最後の日本テレビには、立憲民主党の野田佳彦代表も参加した。一夜で自民党総裁がこれだけの番組にハシゴで生出演したのは初めて。石破茂が赤坂議員宿舎に帰ったのは0時29分だった。