10月22日(火)メディア日記
朝日新聞は22日朝刊の14~19ページ、全6面を使い衆院選の各都道府県の各選挙区と比例選挙区の情勢調査を掲載した。さすが「選挙は朝日新聞」を見た思いだ。情勢調査の見出しはなかなか苦労しているのがわかる。候補者が優位にある場合は「抜け出す」「一歩リード」「先行」「優勢」「堅調」などの見出しはわかりやすい。これに対して接戦の見出しは分かりにくい。「伯仲」「互角」「競り合う」「接戦」「譲らず」「激しい戦い」などトップはどっちだと言いたくなる。例えば同紙の東京24区は「萩生田と有田伯仲」、東京7区は「松尾と丸川は互角」、埼玉14区は「石井と鈴木は伯仲」、沖縄2区「新垣と宮崎競り合う」、秋田1区は「寺田と富樫激しい戦い」など。政治部出身の友人に聞くと、「同じ見出しを使うと能がないので、表現はいろいろ工夫しているのが実情。生データを持っている社は、数字が少しでも上位の候補者を見出しの上に持ってくるのが通例」と解説してくれた。となれば、東京24区は「萩生田」、東京7区は「松尾」、埼玉14区は「石井」、秋田1区は「寺田」ということか。
講談社の人気漫画誌「モーニング」の17日発売号に掲載された「社外取締役 島耕作」の中に、沖縄県の名護市辺野古基地建設移設に対する抗議活動を「アルバイトでやっている人がたくさんいます」などとする表現があり、作者の弘兼憲史と同誌編集部が21日「当事者からは確認の取れていない伝聞だった」として公式サイトで全面謝罪した。X(ツイッター)では「内容はデマだ」との投稿が相次いだ。編集部は、伝聞を断定的に描写したことについて「フィクション作品とはいえ軽率な判断だったと言わざるを得ない」とした。東京新聞が大特集した。
共同通信は20、21両日、全国の有権者19万人を対象に電話調査を実施し、取材も加味して終盤情勢を探った。自民党は派閥裏金事件の影響を受け、序盤調査(15、16両日)時に続き苦戦。単独で定数465議席の過半数(233)を割る可能性がある。公明党も伸び悩んでおり、与党過半数確保は微妙な状況だ。
自民は、野党などと競り合う選挙区を抱え、先行する小選挙区は140を割り込んでいるもようだ。比例代表も厳しく、大幅減となる可能性がある。立民は、小選挙区で100議席の獲得を視野に入れる。比例も増やすとみられる。維新は比例で支持が広がらず、全体で公示前43議席から減らしそうだ。国民民主党は比例で支持を拡大。「日本保守党」は比例を中心に複数議席を獲得しそうだ。共産党は公示前の10議席を上回る勢い。れいわ新選組も比例での上積みが見込める。社民党は、小選挙区での1議席確保を射程に入れる。
報道各社の情勢調査で劣勢が伝えられていることを受け、石破首相は遊説先で本音が飛び出してきた。22日には愛知県内で、立憲民主党の源流について「悪夢のような民主党政権」と指摘した。「悪夢」は安倍晋三元首相が使っていた表現だが、かつて石破首相自身はこの表現に苦言を呈していた。また、石破首相は演説の中で、「裏金ではなく不記載」とたびたび言い換えている。野党からの「裏金攻勢」に批判を打ち消すねらいがあるが、朝日新聞23日社会面によると、自民党調査報告ではすでに「裏金」の記述があり、整合性は見えない。当日記では既報だが、メディアでも「裏金」を使わず「不記載」と表記しているのは、読売新聞、日経新聞、産経新聞の3紙とテレビではNHKだけ。他のメデイアはすべて「裏金」と表記している。
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