これからを担う世代へ!【教養としての社会保障 Part2】
さて、前回の記事では日本の社会保障制度のこれまでと日本が抱える社会保障の問題について紹介しました。
(前回の記事参照)
前回の記事でも述べたように、日本社会は現在社会保障制度に大きな問題を抱えています。
記憶にも新しいと思いますが、老後2000万円問題などもニュースで話題となり、国民は将来へのさらなる不安を感じています。
この状況を考えると日本社会が抱える一番の問題は
経済や社会、日常(拠り所、目標と役割、雇用、子育て、老後)、制度や政策などに対する
「不安」
と言っても過言ではないでしょう。
この状況を打破するためにも
これからやってくる人口減少を乗り切れる持続可能な社会保障のシステム
が必要です。これには先例がありませんが、社会保障制度が充実している北欧などの国の制度から学び、これを日本流に変えていくことはできます。
実際に北欧諸国では新たな成長モデルを構築し、これを成功させています。
それが一体どんなものなのか紹介したいと思います。
北欧の成功の要因の一つは、知識産業社会への産業構造の転換にあるといわれています。それを支えるために、教育、労働、社会保障政策を転換しました。労働市場を弾力化する一方で雇用保険を手厚くし、失業して社会保障給付を受けている人に職業訓練を義務付ける制度を採り入れ、職業能力開発などの人的投資を惜しみませんでした。これによって、社会の安定を支えるためだけでなく、同時に人々が自分の能力や可能性を最大限に発揮して自己実現する挑戦を支えるセーフティネットとしての働きも担っており、とても有益な仕組みだと思います。
又、民生の安定と経済成長の両立を実現させるために、社会保障を現役世代に重点を置いた給付システムに転換し、高齢者への支援を福祉から就労へシフトさせることでできるだけ多くの人が働いて社会に参加できるシステムに転換させました。
日本で全く同じような仕組みを導入すべきだとは思いませんが、少なくとも同様な方向に社会をシフトさせていくことが必要です。
そのためにも求められる労働の質や形態を理解する必要があります。
今の日本は労働力不足が深刻です。これを解決するためには高齢者や結婚、妊娠、出産を経験する女性も同様に働ける環境が必要です。
従ってまずは介護や子育てなどの社会的サービスの充実(社会保障の現役世代へのシフト)が最優先事項となります。
つまり、
働くことの保障を通じた生活保障としての社会保障
が重要となるのです。
(それには北欧同様に労働者の能力開発や再教育などの人材育成・能力開発システムを高めるシステムも考えなくてはいけませんね。)
安倍政権も持続可能な社会を作るためには、一億総活躍を掲げており、それが今後政策としてしっかりと行われていけば
「女性が働きながら家庭を築き、子どもを産み育てられる社会」
は不可能ではないと思います。
ただ、マクロの視点で女性の就労率を上げようとしても、女性一人ひとり、つまりミクロの世界で働くことが選択されない限り、マクロの就労率も上がらないので、女性一人ひとりが自らの選択で働き、結婚、出産、育児をする必要があります。
「仕事も、家庭生活も、子育てもあなたの人生全力で支援します」というメッセージがなくては共感は得られません!
なので、少子化対策は重要ですが、それよりも広い範囲を網羅する家族政策を徹底的に進めていくべきだと思います!
(英語では少子化対策対策という表現はありません。仕事と子育ての両立支援や保育所の充実、育児休暇制度の拡充など、日本が少子化対策でやろうとしていることを、英語では「ファミリー・ポリシー(家族政策)」とは「ファミリー・アンド・チルドレン・ポリシー(家族・子ども政策)」と言います。)
この、理想とする社会はもちろん政府が主導となって作られていくべきですが、男性(職場での同僚・家庭での配偶者)や企業の支援、そして、経済界の協力も必須です。
私も男性陣の一人として積極的に育児に取り組もうと思います!
そのためにも働き方改革や長時間労働の見直しに向けて行動していこうと思います。
(ここら辺は自分にとっても関わっていきたい話題なので。)
働き方改革を進めるにはある程度の労働力はやはり必要になってくるので医療、介護といった少子高齢社会でニーズのある分野での雇用の創出と、現役を退いた元気な高齢者にも就労期間の延長の権利を与え、女性の就労と子育て環境の整備のための保育サービスに関わってもらうというのも一案であると思います。
子育て支援は安定的で継続的な雇用を創出し、現役世代の所得が増加することで内需を支える消費が生まれ、かつ、人口減少に歯止めをかけることもできます。
(ちなみに、スウェーデンでは出生後概ね18カ月位までは、ほとんどの女性は育児休業給付類似の所得補償制度による給付を受けて過程で子育てが行われるのが一般的です。
そして、18ヶ月を過ぎると今度はほとんどの子供はプレスクールに入り親は職場に復帰します。もちろんもっと早く職場復帰する人もいるし長く休業を続ける人もいますが、親の選択で必ずどちらかのサービスが保障され、切れ目のない仕事と育児の両立が制度的に保障されています。)
医療や介護のニーズは都市だけではなく地方にも同じようにあるため、地方の雇用の創出もでき、これによる医療・介護サービスの充実は人口流出に歯止めをかけることにもなり、地域の安心な基盤が形成されます。
最後に、ちょっと言葉の紹介です。
「ポジティブウェルフェア」
という言葉を聞いたことはありますか。
社会保障を負担からだけみるのではなく、消費や雇用、産業振興など、経済との好循環、相互依存関係をよく考えてより積極的な観点から社会保障の姿を考えよう、保護と依存ではなく、社会への参加を保障する、つまりは自立を支援するという視点で社会保障を組み立て直そう、ということを意味します。
この言葉が全体をまとめてくれているような気がします。
「ポジティブウェルフェア」を意識した社会保障制度を我々の世代で作っていきましょう!!
それでは。
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