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2025年:注目の相場テーマと銘柄を探る!ペロブスカイト・核融合・宇宙開発が新たな投資テーマ


2025年は三大ディープテックが救世主となるか?ペロブスカイト・核融合・宇宙開発が新たな投資テーマに浮上

政治経済の不確実性高まるなか、革新技術に資金シフトの兆し

 2025年の新春相場は、早くも大きな転換点を迎えようとしている。1月に予定される米国トランプ大統領の就任、日銀金融政策決定会合、FRBのFOMC開催と、市場を左右する重要イベントが目白押しだ。これに石破茂首相の訪米による日米首脳会談も控えており、政治経済の不確実性は一段と高まっている。

 市場関係者の最大の関心は、トランプ大統領就任後の政策動向である。関税引き上げや移民規制の強化、地政学リスクへの対応など、不確定要素が山積している。このため金利や為替の不安定化が懸念され、FRBの利下げ中止や日銀の利上げ判断にも注目が集まる。日経平均株価は2024年7月につけた史上最高値4万2426円の更新を目指すものの、新春早々の波乱も予想される。

三大ディープテック関連株に注目

 こうしたなか、注目されるのが三大ディープテック関連株である。第一のペロブスカイト太陽電池は、軽量・低コストで高効率という特徴を持ち、伊勢化学工業<4107>(東証スタンダード)や積水化学工業<4204>(東証プライム)などが有力銘柄となっている。第二の核融合発電では、ジェイテックコーポレーション<3446>(東証プライム)が高精度ミラーで世界的な存在感を示している。第三の宇宙開発では、ispace(アイスペース)<9348>(東証グロース)が月面資源の商業取引に挑戦するなど、革新的な取り組みが進んでいる。これら次世代技術株は、生成AI関連株に続く新たな投資テーマとして期待が高まっている。

トランプショック再び!?25年相場は単線化へ

トランプ劇場が開幕!単線相場で暴騰・暴落のジェットコースター相場へ

 2025年相場の大きな特徴は、単線相場様相を強めることだろう。複線相場、複々線相場で始まった2024年相場との際立った違いになる。2024年相場は、新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、ドライバー・建設技術者・医師の不足が懸念された2024年問題が本番を迎え、新紙幣が発行され、パリ・オリンピックが開催され、米国の大統領選挙を迎えるなどイベントが目白押しで、さらに生成AI(人工知能)関連の「エヌビディア祭り」も息長く展開され、どの銘柄にも等しくテーマ株人気が高まるチャンスがあり、バラエティに富んだ相場が展開された。

 実際に日経平均株価は、2024年2月22日にあの1989年12月29日につけたかつての史上最高値を32年2カ月ぶりに更新し、7月11日には史上最高値4万2426円まで買い進まれた。32年間も塩漬けにして諦めていた因縁玉が息を吹き返す僥倖に浴した投資家も、数多くいたはずだ。その後、8月に史上最大の下落幅と上昇幅を繰り返し大荒れとなったが、米国の画像半導体トップのエヌビディア人気が波及した半導体関連株の軒並み高が牽引し12月23日終値現在で日経平均株価は、2023年大納会終値から約5700円も上ぶれている。

荒れ相場必至!米新大統領の一挙手一投足が市場支配

 2025年相場も、スケジュール的にはいろいろなイベントが予定されているが、それもこれもたった一つのカタリスト(株価材料)に大きく振り回される可能性が大となる。1月20日に米国の第47代大統領に正式に就任するトランプ大統領の予測不可能性といわれる一挙手一投足である。同大統領の鼻息次第でリスクオンとリスクオフが激しく交錯する単線相場である。とすれば選挙前も選挙中も拳を振り上げてアピールしていた減税や関税引き上げ、規制緩和、移民の強制送還が、就任とともにどれだけのマグニチュードをもってインフレを再燃させるのか、金利、為替、景気などを突き動かすか見極めることが大前提になる。

 すでにFRB(米連邦準備制度理事会)は、2024年12月のFOMC(公開市場委員会)で公表したドットチャート(政策金利見通し)で、2025年の利下げが、従来の4回から2回に減少することを示唆したが、インフレ動向次第では金融政策正常化にブレーキが掛かるどころか利上げに方向転換するリスクもないとは限らない。続いて開催された日本銀行の金融政策決定会合後の記者会見でも、植田和男総裁は、「次期政権の経済政策をめぐる不確実性は大きい」と警戒感を隠さなかった。お屠蘇気分のなかでも、トランプ大統領の情報発信は、細大漏らさずウオッチが怠れない。

2025年は「トランプリスク」が最大のテーマ!

 政治状況も、波乱含みである。マルチ(多国間)よりバイ(二国間)のディール(取引)により相手国の譲歩を引き出すことを得意技とするトランプ大統領を押しとどめるはずのEU(欧州連合)では、ドイツが20252月に連邦議会議員選挙を控え、フランスでは内閣不信任案が可決されるなどの政情不安が続いてパワーバランスが激変して「トランプ一強体制」にかき回される頻度が増えそうだ。ウクライナやパレスチナは、不本意な停戦合意に追い込まれ、台湾は、輸入拡大で中国の習近平主席とトランプ大統領が握手して置きざりにされないとも限らない。

 もっとも、こうした「トランプリスク」は、2024年の後半相場では波乱要因としてそのつどそのつど意識されたが、ダウ工業株30種平均(NYダウ)を筆頭に主要3株価指数が、いずも史上最高値を更新した「トランプトレード」のなかで相当程度織り込まれたはずだ。2025年相場は、「トランプリスク」と抱き合わせで「トランプ劇場」へさらにレベルアプする可能性もなくはなく、これが東京市場に波及してくる。

トランプ劇場で注目!ソフトバンクが切り拓くデータセンター投資の未来

AI革命と電力株逆張りの妙味:脱炭素時代の勝ち組を探る

 「トランプ劇場」の先行きのヒントになる参考銘柄は、ソフトバンクグループ<9984>(東証プライム)だろう。2024年12月16日に再びトランプ大統領の懐に飛ぶ込んだ面談で、米国に4年間で1000億ドル(約15兆円)の投資をし10万人の雇用を創出すると表明したからだ。この巨額投資の中心は、AI(人工知能)開発向けのデータセンター事業とみられており、AI向けでは半導体設計のアームに次ぐ大きな柱を確立することになる。同社株の動向次第では、データセンター関連株が、よりスケープアップして浮上しそうだ。

割安な電力株に逆張りチャンス、原発活用で業績上振れ続く

 データセンター向けの電力供給の電力株や光ファイバーケーブルなどの需要が拡大している電線株が中心となる。電力株は、関西電力<9503>(東証プレミアム)が、公募増資発表で急落し年初来安値まで31%超安となったことが波及して同様に年初来安値まで売られている銘柄も続いているが、10電力のうち売り上げを含めれば7電力が今3月期業績を上方修正し、PERは2倍~9倍、PBRは0.2倍~0.9倍と大きく割り負けている。2025年6月には運転期間が60年を超えた原子力発電所の運転延長を認可するグリーントランスフォーメーション(GX)脱炭素電源法が施行され、次期エネルギー基本計画では、2040年度の原発依存度を2割程度に引き上げる原案も示された。管内で最先端半導体工場の建設が進んでいる九州電力<9508>(東証プライム)、北海道電力<9509>(東証プライム)などすべての電力株に逆張りチャンスが強まりそうだ。

フジクラ6倍高の電線株、データセンター特需で急騰

 電線株は、すでに2024年に軒並み大化けしフジクラ<5803>(東証プライム)に至っては年初来安値から年初来高値まで6.2倍となり、今3月期業績を2回上方修正し配当を2回増配したが、PERは27倍超と市場平均を上回っている。ただこの株価急騰で信用需給も売り買いが均衡する好取組となっており、世界の生成AIニーズの高まりでデータセンター市場の一段の拡大が予測されていることからも古河電気工業<5801>(東証プライム)、SWCC<5805>(東証プライム)とともに次の大々台、1万円台先乗りの株価レースを演じる展開も想定される。またデータセンター株そのものへの見直しも進むとすると業界大手のNTT<9432>(東証プライム)、SCSK<9719>(東証プライム)、さくらインターネット<3778>(東証プライム)、AGS<3648>(東証スタンダード)、ブロードバンドタワー<3776>(東証スタンダード)、京阪神ビルディング<8818>(東証プライム)などのマークも怠れない。

2025年問題で株価上昇期待、人材・介護・M&A株に商機

「団塊世代」の後期高齢者化で浮上!「2025年問題」に挑むビジネスチャンス

 2025年の東京市場には、数少ない固有のカタリストも予想される。その代表が「2025年問題」である。「2025年問題」とは今年、「団塊の世代」の800万人がすべて後期高齢者となり、少子高齢化社会が、1ノッチ(一段階)レベルアップする社会問題である。人手不足がさらに深刻化し、医療・介護体制の持続可能性が揺らぎ、社会保障費の負担増を懸念させている。これに中小企業・小規模事業者の後継者難の「2025年の崖」も加わり、この克服は待ったなしとなる。

人手不足倒産が最高水準、人材サービス株に追い風

 逆にいえば、「2025年問題」の関連株は、このピンチがビジネスチャンスなる展開も想定されることになる。例えば帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査」では、2024年度上半期に年間で過去最高を超える倒産が分析されており、企業サイドの人材ニーズに対応する人材サービス(労働者・技術者派遣業)株への注目度が高まる。

 総合人材サービス業界の大手が注目させることになり、トップのリクルートホールディングス<6098>(東証プライム)以下、パーソルホールディングス<2181>(東証プライム)、パソナグループ<2168>(東証プライム)のほか、製造業派遣のワールドホールディングス<2429>(東証プライム)、UTグループ<2146>(東証プライム)、技術者派遣のテクノプロ・ホールディングス<6028>(東証プライム)、メイテック<9744>(東証プライム)などの関連人気が期待させる。春のお花見シーズンのインバウンド(訪日外国人観光客)本番では、リゾートバイトの人材紹介のダイブ<151A>(東証グロース)の出番も予想される。

団塊世代800万人が後期高齢者、介護関連株が備える

 介護業界では、上位会社がすでにMBO(経営陣による株式公開買い付け)などで株式を非公開化し「2025年問題」の介護難民化への対応を進めており、これと伍するSOMPOホールディングス<8630>(東証プライム)、セコム<9735>(東証プライム)、学研ホールディングス<9470>(東証プライム)、ソラスト<6197>(東証プライム)、セントケア・ホールディング<2374>(東証スタンダード)、ケア21<2373>(東証スタンダード)などに活躍場面を期待したい。

 後継者不足の「2025年の崖」問題では、事業承継に向けたM&A(企業の合併・買収)の仲介会社のビジネスチャンス拡大につながり、日本M&Aセンター<2127>(東証プライム)、M&Aキャピタルパートナーズ<6080>(東証プライム)、ストライク<6196>(東証プライム)、M&A総研<9552>(東証プライム)、名南M&A<7076>(名証メイン)、オンデック<7360>(東証グロース)、山田コンサルティンググループ<4792>(東証プライム)、ジャパンM&Aソリューション<9236>(東証グロース)のほか、2024年6月に新規株式公開されたインテグループ<192A>(東証グロース)など幅広くマークしたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)