![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117141746/rectangle_large_type_2_ceb819f962dfc272d4939a57ca09f5c0.png?width=1200)
USJの社長も使った「頭の良さを確かめる、たった一つの質問」
相手の思考法を、多角的に見極められる質問
頭の良さや思考力を確かめるための質問は、単純な事実や知識を問うものではありません。それは「すぐには回答が難しい質問をする」ことです。例えば「日本の少子化に対する、有効な打ち手はあるか?」などです。
よりビジネス寄りの質問であれば「A社が前年比売上が50%マイナスになっているが、どうしたら改善できるか」などになります。
思考が浅い人の回答方法は、みな同じ
こういった質問は回答が非常に難しい質問なので、正解を求めて聞いているわけではありませんが、思考が浅い人は回答内容は違えども、同様の回答方法を用いています。それは、自分の直感にしたがって、なんとなく答えを出すことです。
例えば冒頭の質問例でいうと「日本の少子化に対する有効な打ち手はあるか?」と聞かれたら、その場ですぐ「やはり、子育て支援を拡充すれば良いのでは」などと即答します。
遅い思考が必要な問いに、速い思考を用いている
行動経済学を確立したダニエル・カーネマンの書籍「ファスト&スロー」にも登場しますが、人間には速い思考と遅い思考が存在します。
速い思考というのは、直感にしたがってすぐに答えを出す思考のことです。
速い思考は、直観的な思考プロセス=システム1と呼ばれます。速い思考は無意識化で自動的に働く思考で、連想やパターン認識が得意です。自動車の運転やレジ打ちなど、パターン化された作業をしているときに働いています。
一方遅い思考は、熟考する思考プロセス=システム2です。遅い思考は熟慮的な思考プロセスで、順序立てた計算や論理的な推論を行うことができます。計算問題を解いたり、分析を行うなど、深い思考が必要な作業を行う際に用います。
速い思考=システム1は無意識に動いているのに対して、遅い思考=システム2は意識的に起動させる必要があります。遅い思考を用いるには、トレーニングが必要なのです。
冒頭の「すぐには回答が難しい質問」は、熟慮が必要なので遅い思考=システム2を用いることが必要があります。しかし、それを直感を用いて答えてしまうということは、遅い思考=システム2を起動することができないということなのです。
頭が良い人の答え方と、さらに頭の良い人の答え方
ですから、頭の良い人は、冒頭の質問をされたら遅い思考=システム2を用いた上で「現時点において、すぐには答えられない」という回答になります。回答はできないという解は、遅い思考を用いなければ出てこないからです。
これが頭の良い人の答え方ですが、さらに頭の良い人は次のように答えます。
「現時点で回答は出来ないが、〇〇のようなデータを調べれば回答ができる」
例えば冒頭の「日本の少子化に対する有効な打ち手はあるか?」という問いであれば、
「現時点で回答は出来ないが、現状の出産可能年齢の人口数、既婚者における出生率があれば回答できる」
などです。
なぜこのような回答をする人が、さらに頭が良いのかというと、問いを頭の中で構造化して、回答するために足りないピースを把握しているからです。日本の少子化に対する打ち手は、分解すると下記のようになります。
・出産可能年齢の人口×出生率
しかし、この状態だと未婚と既婚が混ざっているため、解像度が低い状態です。さらに細かく分解すると
1. 出産可能年齢の人口 × 全体における出生率
2. 出産可能年齢の人口のうちの既婚者 ×既婚者における出生率
という図式になります。子育て支援によって上がる出生率は、2.出産可能年齢の人口のうちの既婚者 ×既婚者における出生率です。
もしも、1. 出産可能年齢の人口 × 全体における出生率は低いが、2. 出産可能年齢の人口のうちの既婚者 ×既婚者における出生率が高い場合、最も有効な打ち手は、子育て支援よりは出産可能年齢の人たちの結婚支援になります。
ということで、さらに頭の良い人は回答するための思考の棚が頭の中にあり、どの棚にどのデータが必要かという足りないピースが見えているのです。つまり、体系的な考え方ができるということになります。
ちなみに、さらに頭の良い、超頭の良い人は次のような答え方になります。
超頭が良い人の答え方
超頭が良い人の答え方は、回答を即答する、になります。それって直観的な思考プロセス=システム1なのでは?と思うかもしれませんが、超頭の良い人はそうではありません。遅い思考=システム2を用いて、回答に必要なデータを把握した上で、思考の棚にすでにそのデータが入っているからです。
日頃から情報収集や思索を行っているので、頭の中に思考の棚が構築されており、それぞれの棚の中にはすでにデータが存在しているのです。
これは、起業家の堀江貴文さんやYouTuberでアニメ評論家の岡田斗司夫さんなどが該当します。日頃から書籍やインタビューなどで情報を収集しているので、どんな質問にもすぐに即答できるのです。
堀江貴文さんのYouTubeを観ると、医療やサイエンスの分野の専門家とも、非常に速いテンポで議論をしている様子が見受けられます。これは医療やサイエンスなどの分野の知識をヒロごろから収集し、頭の中に棚を構築した上で、情報収集ができているからです。
同じように岡田斗司夫さんも「サイコパスの人生相談」という人生相談コーナーにおいて、質問にその場で即答しています。これは、回答するために必要なピースが思考の棚にすでに入っているからです。
思考が浅い人の即答と、超頭が良い人の即答の違い
整理すると、一見思考が浅い人と超頭が良い人は、いずれも即答する回答方法を取ります。しかし、思考が浅い人は直感にしたがって答えているのに対して、超頭が良い人は、遅い思考=システム2を高速で回転させて即答しているので、回答にロジックが存在します。
即答したとしてもその回答の理由をロジカルに説明できるか、それが両者の違いになります。
元USJ森岡毅氏が、USJ社長からの問いに返答したこと
ということで、「すぐには回答が難しい質問をする」ことは、相手が遅い思考=システム2を備えているか、思考の棚を備えており体系的な考え方ができるか、日頃から情報収集をして思考の棚を作っているか、の3ステップを確認することができます。
USJを再建させたことが有名なマーケター森岡毅氏の著書では、当時のUSJの代表グレン・ガンペル氏と初めて会った際に、以下のようなやり取りがあったといいます。
「人はなぜテーマパークに行くのだと思いますか?」
私はその質問に一瞬驚き、数秒後にこう答えました。
「私にはまだよくわかりません」
そしてもう数秒後に、ゆっくりと付け加えました。
「しかし、私はその核心的質問の答えにいます」
その瞬間に彼はニヤッと微笑みました。
「そうですか。実は私もその答えをずっと探し続けて、今もそればかり考えて続けているのです」
そのときに「ストレス解消」だの「ワクワクするため」だの素人のように答えていたら、きっと私にUSJで活躍する場は与えられなかったでしょう。私には、彼が問うたその質問以上のメッセージがわかりました。
「マーケティングの強烈なプロを探している、お前にはそれができるか?」と彼は言っていたのです。
森岡氏は、この問いに関して遅い思考=システム2を用いて回答を保留した上で、"どうやって辿りつくかを知っている”という返答をすることで、思考の棚があることを証明しています。
遅い思考=システム2を獲得するのはトレーニングが必要
森岡氏が即座に回答できたのは、それより以前にP&Gの北米マーケティングの責任者として、マーケターとしての実績があったからです。
遅い思考=システム2を用いるためにはトレーニングが必要です。毎日同じルーティンワークをしていれば、速い思考=システム1で事足りてしまうからです。
速い思考、遅い思考についてや、思考法のトレーニングについては、様々な書籍が出ているので、参考にしてみてください。
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?
自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術
いいなと思ったら応援しよう!
![とりさん](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/7458893/profile_1caa2665ad4afda65409aa8f5c559f1f.jpg?width=600&crop=1:1,smart)