アヤワスカ裁判傍聴記録 7/5 結審
前書き
この記事は、現在京都地裁にて行われている稀代の裁判「アヤワスカ裁判」の傍聴記録です。
全ての事柄を記載した物ではなく、あくまで個人的範囲の記録である事をご了承ください。
またアヤワスカ裁判の概要はここでは説明しませんので、気になった方は是非「アヤワスカ裁判」でググってみてください。
事前講演会
今回は同志社大学の学生様方、そして法学の先生が傍聴に参加されるとの事で、アヤワスカ裁判の被告人側弁護士先生による事前講演会が開かれる事となった。
弁護士先生はこの裁判の概要とアカシア茶の法的見解、この裁判にて争われている事を説明した後に、ある物を手に掲げた。
それは直径が20センチ程の、木で出来た食用ボウルだった。
「これはアカシア・コンフサから作られたボウルです」弁護士先生は続けた。
「このボウルに水を加えたらDMTが水中に溶け出す可能性があるのですが、はたしてこのボウルは合法でしょうか?」
実は、アカシア・コンフサは食器の素材としても使われている。
アカシア・コンフサは特別な樹木ではない。元々は沖縄に自生しており、現地民の手で食器や布の染料として親しまれている、工芸用の樹木でもあるのだ。
当然このようにアカシア・コンフサ製の食器や布製品が流通しており、ワンクリックで全国どこでも買う事が出来る。
しかしそれらはアカシア・コンフサの樹木である以上、例えばこのボウルに水や油を加えた場合、微量のDMTが溶け出す可能性はゼロではない。
もしも青井氏が有罪なのであれば、このアカシア・コンフサで出来たボウルに水を注ぐ行為は同様に犯罪行為であると言えてしまうのだが、その点をどう弁明出来るのだろうか。
弁護士先生はそう説明しながらボウルを客席に回し、一人一人がそれを手に取ってしげしげと眺めていた。
結審
検察からの求刑は変わらず、懲役四年だった。
傍聴側としては早口過ぎて聞き取る事が出来なかったが、やはりアカシア茶を「DMTを抽出した水溶液であり麻薬である」という内容が伺えた。
続いて弁護士側の意見が求められると、先のアカシア・コンフサのボウルが裁判官、そして検事に回された。
弁論は、このような言葉から始まった。
「この前代未聞の裁判の結論を決するにあたっては、目に見えない真実を受け入れる事が必要だというお話をします。」
裁判官と検事に回したアカシア・コンフサのボウルを弁護士先生自らも手に取り、これはアカシア・コンフサ製のサラダボウルであると説明し、そして問いを投げた。
「このボウルに野菜を入れて、ドレッシングをかけて食べる事は出来ますか?
水を注ぐ事が出来ますか?」
私はそれを行う事を怖く感じます。その様に先生は続けた。
植物は麻薬では無いが、しかし水を入れてこの植物の成分が溶け出てしまうと、麻薬製造の罪に問われかねない。
『被告人はアカシア茶にクエン酸を加える事によりDMTの抽出効率を高めた』と検察側は主張していたが、だとすると、このボウルにドレッシングとしてレモン汁を使う事は、法的リスクを考えると恐ろしく感じる。
また、洗う為にお湯を注ぐのはともかく、食べたり飲んだりするという、「経口摂取」を目的とした場合は法的リスクを懸念して、躊躇してしまう。
先生はこう言った。
「この法廷にいる私達は、おそらく今日この時点で、日本中でもっともアカシア・コンフサとDMT含有水溶液の関係について詳しい法律家です。しかしそんな私達ですら恐れ、戸惑い、目の前の食器に触れる事すら躊躇してしまう。
この目には見えない気持ち、恐怖心こそが、萎縮効果です。
植物由来のDMT含有水溶液を麻薬として処罰する事は、かようにも日常の自由を奪ってしまう不合理な事です。」
次に科学の歴史を挙げ、アボガドロの法則とブラウン運動が発見された歴史を交えて、目に見えないが科学的に確かに存在する「分子」という物がある事を説明した。
そして、植物を細かく切った一片は植物の一部分であるのと同じように、更に細かくして目に見えない微粒子、更には分子となったとしても、それは植物の一部分であり、故にアカシア茶に含まれるDMTは植物の一部分であると言える。
私が理解する限り、説明はそのような物だった。
「明快な無罪判決を下される事を求めます。」
最後にはっきりとした口調でそう述べ、弁論は終了した。
弁論が終わると、先生は裁判官達に「そのボウル、要りますか?」と冗談を投げかけ、周囲に笑いがこぼれた。
最後の弁論は、青井氏本人による物だった。
彼は短く、三つの意見を口にした。
一つ目は、自身が同志社大学の学生方の教材になれる事に対する感謝。
そして、今後学生方が成長して社会に参加する時には、正しい概念の元で生まれ変わった社会の中で、サイケデリックスという物が社会を構成する一要素となり、人々の役に立つような物となって欲しいという願いを告げた。
二つ目は、起訴した際の根拠となった法令、法律についての主張。
彼によると、その法令や法律は「帝国主義や植民地主義、資本主義に関連する差別構造をそのまま引き継いだ状態で作られた法」なのだそうだ。
彼曰く、それらの法が出来た原因には、「戦争をしなければならなかった為、そういう主義に基づいた法が必要だった」という事情があるそうで、そうせねばならなかった歴史がある事は確かに彼自身理解出来るが、しかしその差別主義をベースにした法で、現代を生きる自身がこうして虐げられる必要があるのか今一度検討して欲しいし、だからこそ自分は今までこうして闘ってきた、と主張していた。
「更に言えば、自分はその法令にも一切反していないと考えている」と、彼は付け加えて言った。
三つめは、偏見を無くし、国民の為になるような判決を下して欲しいという主張。
「司法立法共に、偏見を取り払った状態で差別意識無く明快に、公務員として、国、そして私達一人一人の為になるような判断を下して頂きたいと切に願っている。」
彼はそう述べていた。
そして最後に、判決は9/26、13:00開始である由が告げられ、法廷は幕を閉じた。
次回、判決。
2020年3月に青井硝子氏が逮捕されて以降、2年以上もかけて争われた前代未聞の裁判の判決が下されます。
京都地裁にて、どなたでも傍聴可能ですので、気になる方は是非お越しください。
最後に、無関係ながら宣伝を。
最近、アヤワスカ裁判及び薬草研究会にて、チルアウト系薬草茶「カンナ茶」を提供しております。
何してんだって話ですね。本人の許可は取れていますし、まぁ聞いてください。
カンナ(学名:sceletium tortuosum)を説明しますと、アフリカ原産の多肉植物で、セロトニンやアセチルコリンを増やす作用がある一方、飲むとフワッとした軽い心地になり、葉を喫煙するとCBNに似た感覚を起こす不思議な植物です。
法規制は無く、海外では抗うつ用のサプリメントとして売られたりしているのですが、日本ではかなりマイナーな薬草です。
弊店ではこのカンナ茶をお求めやすい価格で販売しておりますので、CBNが好きだけど高くて買いづらい方、ストレスに悩まされている方は是非、以下のリンクから当店にお越しください。
https://newmoonshine.theshop.jp/
それでは、判決でお会いしましょう。