
『キーエンス流 性弱説経営』第3章:性弱説視点で人を動かす|経営理念を浸透させる仕組み
高杉康成著『キーエンス流 性弱説経営』を読み進めており、現在「第3章:性弱説視点で人を動かす」を読み終えたところです。
この章の中で、企業の経営理念について取り上げられています。
どこの企業にも、経営理念というものがあります。
それは、社員がどういった考えの下でどういう方向に動くべきかのガイドラインになるものです。
たとえば、トヨタ自動車のホームページには、基本理念として「内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす」という言葉が掲げられています。
また、日本製鉄グループでは基本理念として「日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。」と謳っています。
多くの企業では、経営理念を社員に浸透させるために、さまざまな工夫を凝らしています。
朝礼での唱和、事務所への掲示、手帳への記載などが一般的ですが、それだけでは社員一人ひとりの行動にまで浸透させるのは難しいものです。
経営理念は、社員が行動に移し、成果につながれなければ意味がないのです。
キーエンスの経営理念の一つ目に「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」というものがあります。
この理念を具体的に社員の行動にまで浸透させるために、キーエンスでは「時間チャージ」と呼ばれる仕組みを採用しています。
これは、社員の時給と仕事の付加価値を比較する考えです。
1人が1時間で生み出すべき価値を数字で示し、何か仕事をするたびに、自身の時間チャージと比較して「これは自分の時間チャージを超えてるか」を簡単に判断できるようにしているのです。
このようにキーエンスでは、経営理念を徹底的に社員の行動にまで落とし込むことによって、高付加価値の仕事に専念でき、高収益企業を実現できているのです。
経営理念を、単なる飾りではなく、実際の行動に落とし込んでいるところに、企業としての強さがあるのだと感じます。