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井原忠政著『三河雑兵心得<拾> 馬廻役仁義』|第三章「黄瀬川の宴」|戦国時代と大正時代のつながり

井原忠政著『三河雑兵心得<拾>馬廻役仁義』を読み進めています。
現在、第三章「黄瀬川の宴」を読み終えたところです。

関白となった豊臣秀吉は、四国・北陸を平定し、天下統一を目前にしています。
しかし、そこに立ちはだかるのが徳川家康です。
「小牧長久手の戦」以降、秀吉と家康は、武力での戦いを避け、政治的な駆け引きが続きます。

そんな中、秀吉は妹の旭を家康に嫁がせるという奇策に出ます。
その縁談を受け入れることとなった家康は、同盟関係にある隣国の北条家に仁義を切るべく、北条氏政との会談に臨みます。

徳川領と北条領の国境は、御殿場から南へ流れる黄瀬川と、伊豆半島から北に流れる狩野川です。
徳川家康と北条氏政は、その黄瀬川の河原で天幕を張って宴を催します。

現在私が、並行して読み進めている、井上靖著『夏草冬濤』の舞台も、この黄瀬川から狩野川にかけての周辺なのです。
『夏草冬濤』で、洪作が三島の親戚の家から、沼津の中学校まで通う通学路の中間地点が黄瀬川です。
宴が催されたのはその場所よりも、少し北側のようですが。

戦国時代の物語と、大正時代の物語が、300年の時を超えて、偶然にも同じ場所でつながりました。
こういう偶然に出会えることが、読書の醍醐味です。

続く第四章では、いよいよ家康と秀吉が会うことになります。
その場面を、どのように描かれているのか、また、主人公の茂兵衛がどの様に絡むのか、読み進めるのが楽しみです。
そしてまた、新たな偶然に出会えることを期待しています。

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