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叢雲のつるぎの客入れの話

テクノプア、超楽しかった~
ので、おかわり公演である『叢雲のつるぎ』の2日目へ行ってきた。
抽選に外れ一般先着をぽちぽちしてご用意した席だったが舞台がよく見える良席だった。

そういえばプレミアム会員になった。
ずっと真夜中でいいのに。の曲はよく聞くしライブも当たれば行くけどすごいファンを名乗るほどではなく、しいて言えばハムスターと飼い主くらいの距離感で接していた(つまり、動いているところを見ると「お、やってんねえ!」と思うくらい)。
が、今回のテクノプアがゲーム好きな自分に刺さったので、めでたく6600円と引き換えに会員の称号を手に入れたのだ。

とってもうれしいね

さて、この『テクノプア』及び『叢雲のつるぎ』はゲームセンターをコンセプトに行われたライブだ。
各会場はその日限りでゲームセンターテクノプアのフランチャイズ(フランチャイズ?)となり我々プレイヤーを迎える。
そういえば、八王子店へ行ったときも「レトロゲーム高価買取!」というのぼりを掲げていたのでゲームセンターばがらゲームの買取もしてくれるらしい。いろんな人の想像や実体験が入り混じったような不思議な舞台美術だ。
(心配なんだけどゲームショップでゲームができる、ゲーセンでゲームソフトが買えると思ってた時代って誰にでもあるよね?)

今回のテクノプア代々木公園店にはすでに先客がおり、たった1台のスト5を連勝で独占していたためそれをずっと見ていることになった(もちろん100円入れて1プレイが基本なのだが、格ゲーは負けるまでが1プレイなので勝ち続ければ台を独占できる。あまりにも強者のゲームだと思う)。
さすが都会のゲームセンター。

開演までの待ち時間に川村竜氏のYouTubeを覗いたらウメハラ氏と仲良く会話する動画がトップに出てきたので、格ゲーマーはウメハラ氏とこくじん氏しか知らない自分は「ウメハラとしゃべってるなんて、なんか、スゲーんだな!」と小学生みたいな感想を抱いた。
ちなみに、その後の演奏でしれっと楽器奏者としても参加しておりスゲーメーター(スゲーの計測器である)が一気に振り切れることになる。

プレイ画面は舞台の上手下手の上方に取り付けられたモニターから窺うことができた。とはいえキャラはリュウ、ケン、ダルシム、春麗くらいしか知らないし、強い行動とかもまったくわからないので画面端……バースト読んで……まだ入る……みたいな適当なことを考えるしかない。

格ゲーの素養はかなり真剣に欲しいけど昇竜拳どころか掴みも出せないしな……格ゲーの諦めポイントって大半は「技が出ない」だよね……。

それは置いておいて、そんなライトゲーマーの間を持たせてくれるのがバックで流れ続けている曲、いわゆる客入れである。

で、客入れの曲がメチャクチャ良かったという話をしたい。

します。わかる範囲だから曲が間違ってたら、間違ってたな~と思う。
17時半くらいに入場したので、それまでの曲はちょっとわからない。なんなら教えてほしい。大体聞いた順になっているはず。

テクノプアとは、コミュニケーション技術の乏しいさまや上手くいかない様子を表す言葉だそうだ。だとすればこのゲームは最もテクノプアなゲームだと言えるだろう。
プレイヤーは荒んだ都会の片隅にあるバーのバーテンダーとしてテクノプアな人々と関わりあう。
このタイトルの日本語訳は「これからどうしたらいい?」サイバーパンクディストピアに住まう人々も悩みの根幹は我々と似ている。
非常に多くの楽曲が収録されており、緩やかな日常から鮮やかな非日常までどんな状況にも寄り添える一曲があるはずだ。ぜひプレイしてみてほしい。

switch版もあるよ!


とりえず出力される文字列ナンバーワンがタイトルの短い曲だが、ロボットの素朴な孤独が達観したような軽やかさで歌われるかわいい良曲だ。
和訳もあったので置いておく。ありがとうございます。
この方(Louie Zong氏)の曲はどれも好きなのだが、個人的には『ghost choir』が非常にかわいいのでおすすめ。ビートセイバーの譜面もいいし(関係ない)。

まったく知らなかったのだが曲がかわいかったのでググったところ、Oobletsというインディーゲームの曲らしい。
なんだか牧場物語とSlay the spireを足して2で割ったみたいなゲームだな~面白そうだけど日本語未対応~と思ったらswitch版が出ているようだ。

どれどれ……


- 自分だけのOobletsチームを結成したら、カードを使ったダンスバトルに参加しよう。見事レベルアップすれば、新しいダンスの動きがアンロックできます

Ooblets ダウンロード版 - マイニンテンドーストア - Nintendo

文面が非常に良い。

言わずと知れた名曲、ファイナルファンタジーのタイトルテーマだ。
FFに明るくないためどれかまではわからなかったが、聞いた感じ3が一番カッコよかったので3にした。
タイトルを追うごとにちょっとずつリッチになっていくプレリュードを聞いていたら9、10、14しかやったことないのに泣いてしまった。すごくて。
3の後に4を聞いたときは声が出た。スーパーになっただけでこんな変わるの?!という当時の衝撃が目に浮かぶ。



この間になにか1曲挟まっていた気がするが、メモに「マザー」としか書かれていないのでわからない。MOTHERの曲だとは思う。
終演まで覚えてるでしょ、と油断していたらライブが衝撃的すぎて飛んでしまった。
実は冒頭のヴァルハラの曲も同様の理由で実際その曲だったかどうかちょっと自信がない。

タイトルの日本語訳は『商談決裂』。
ずとまよも大好き名作インディーゲーム『UNDERTALE』のパラレルストーリーにあたる『DELTARUNE』のBGMだ。
この曲はゲーム内に登場する「スパムトン」というキャラクターの専用BGMになっている。ほかにもいくつかバージョンがあるのでゲームをプレイしたことがない人はぜひ聞いた後にどこで流れるのかゲーム内で探してほしい。

正式なタイトルは『ゴドー ~珈琲は闇色の薫り』。
逆転裁判シリーズの3作目に登場するライバル検事「ゴドー」のメチャクチャカッコいい専用BGM。
逆転裁判が大好きなので流れた瞬間にちょっと泣いてしまった。DELTARUNEはDELTARUNEから始めてもいいけど逆転裁判は1からやってほしい。本当に。絶対感動するし、全世界を愛せるようになるし、全部うまくいくようになる。お願いします。

アプリゲームねこあつめのBGM。やったことはない。
やったことはないのになぜわかったかというと、隣の席に座っていた人が「これねこあつめだわ!一瞬で分かった!俺ねこあつめめっちゃやってた!」と言っていたからだ。全面的に信用した。

『スーパーマリオ64』のかいぞくのいりえで流れるBGM。会場ではアレンジバージョンが流れた。
ウツボは怖すぎるし水中操作は難しいしでなかなかの難易度だった。というか、そもそもマリオ64の難易度が普通に高くクリアできないまま64を紛失してしまった。
ちなみにTwitterで「マリオ64?」みたいなことをつぶやいたら会場にいるとおぼしき人から秒でファボが飛んできた。聞いて即パブサをかけないと出ないスピードだったので非常に驚いたが、それはつまり自分も聞いて即ツイートをしたということであり、なんだかなあという気分になった。

本日2回目の『DELTARUNE』だ。こちらも前述したいくつかあるバージョンのうちのひとつである。
ライブ中にも『Spider Dance』や『MEGALOVANIA』が用いられており、UNDERTALEはマスターピース的な作品なのかもしれない。語りたいのに語ると全部台無しになるから語れない。
そういえばテクノプアの会場内BGMで『Pollyanna』が用いられていたし、ACAね氏はこういったストーリーの作品を好んでプレイするのかもしれない。実は私が来るまでにDDLCとかOMORIの曲が使われてたりした?本当に誰か教えてほしい。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のタイトルテーマだ。会場ではアレンジバージョンが流れた。
ゼルダの伝説を子ども時代に攻略なしでクリアしている人っていったいどれくらいいるのだろうか、と思うくらい難しかった記憶がある。
ふんわりとした感想しか出てこないのは64がおばあちゃんの家に置いてあり、遊びに行ったときしかプレイできなかったため、まとまった時間が必要なゲームよりパッとできるファイティングカップを好んでプレイしていたからだ。
そのせいかゼルダの伝説を昔よくやったなあ~と語る人は頭がよくて根気強いすごい人間なんだと思ってしまう。

フリーゲームの元祖『ゆめにっき』の「ブロック大空洞」で流れるBGMだ。
ゆめにっきのBGMでは珍しく暗すぎず明るすぎない、ニュートラルな曲である。
ブロック大空洞は無数の小さな足場を赤い四角形の上に乗りワープして探索するステージなのだが、これがまあ迷う。
どこに行っても同じ景色だし、目印もないし、先も見えないため一般的な迷路のようにある程度の予想をつけながら進むということもできない。気が付くとこの曲のタイトルよろしく「それで、どっちからきたっけ」になっている。ここのBGMが陰鬱な感じだったら体調を崩していたと思う。
ちなみに自分は日日日氏の小説版が好きだ。

まったくわからなかったのでとりあえずGoogleに聞いたら、これ!と言ってきたので信用する。年末にやってたRTAで見た!
牧場物語ライクなスローライフゲームらしいが、ルーンファクトリー派なのでルーンファクトリーでいいか……になってしまう。

まったくわからなかったのでとりあえずGoogleに聞いたら、これ!と言ってきたので信用する2つ目。新しいゲームに出会わせてくれてありがとう!
steamは日本語非対応らしいが、EPICは日本語であらすじの表記があるからいけるんじゃないだろうか。

あなたはアレックスとして、エドワーズ島を探検し、基地の暗い過去を暴き、友人達の生死を左右しながら、彼女のストーリーのあらゆる局面で判断を下すことになります。

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あらすじを読んだら『Detroit』で主人公たちを死なせた記憶がよみがえり、悲しくなった。

この曲を最後にライブが開演する。
そんな客入れの大トリを任されたのは『One Shot』の「最後の選択」のBGMだ。
このゲームのタイトルになっている「One Shot」の日本語訳は「一度きり」。タイトル通り、このゲームは一度きりしか遊ぶことができない。
にもかかわらず、プレイヤーには主人公である「ニコ」の行く末を決める2つの選択肢が委ねられる。野暮なことは言わないのでとりあえずプレイしてほしい。
この曲の任せられた役割は大きい。なんといってもここはゲームセンターテクノプア。「生きる」というゲームをプレイする人々が集う場所だ。
そんな人々に(あるいは自身にも)人生もこのライブも「一度きり」と告げてから幕が上がる。リセットも猫リセットも存在しない人生をプレイする怖さにも負けないくらいのライブを。あ、いや、猫リセットは存在する。
一度きりなんだから楽しもうと我々に伝える他に、一度きりのライブを成功させると自身に言い聞かせるストイックさも感じるような選曲だ。

客入れだけで大層楽しんだのでライブが始まったときは「え!ここからライブも見ていいんですか?!」くらいの気持ちがあった。
そうして始まってから空気感に慣れてきたころ、2年前に「やきやきヤンキーツアー」で初めて行ったずっと真夜中でいいのに。のライブを思い出した。

ボヤボヤだね


世間が突如訪れた嵐に見舞われて、例に漏れず自分も巻き込まれてすっかり疲弊していた時だ。
間隔を取るために前後左右で一席ずつ空いている。あまりにも久々のライブで、1曲目が始まってもどうしていいか思い出せずに突っ立っていた。自分が置かれている現状と舞台上の華やかさがあまりにも離れすぎていてどうしていいかわからなかったというのもあったかもしれない。

その時なんとなく見た一席飛ばしで隣の人が曲に合わせてギターの運指をしていた様子が忘れられない。自分にとって「自由な鑑賞」のバリエーションが増えた瞬間だ。ギターは弾けないししゃもじも持ってないけどとりあえず手を振り上げてみようと思ったのはその人のおかげだ。あの時はありがとう。

そんなライブから2年だ。ACAね氏は生まれ持った歌声に丁寧なロングトーンとフェードアウトに客回しと演出を引っ提げてきた。それに1万人近くが熱狂して、あの時ふらふら手を掲げていた自分はバッシバシにしゃもじを叩きまくり曲に合わせてジャンプまでしている。
そして飛びながら考える。今年はどんな年になるだろうか、有料会員だしいつもより多くライブに行くのだろうか、勘ぐれいありがとう、勘ぐれいやってくれて本当にありがとう。

あと、ずとまよと第4の壁みたいな話も書こうと思ったのだがもうメチャクチャ疲れているからまた今度にしようと思う。超楽しかった~。


リング上下逆だね



余談だが、人はそもそもテクノプアなものだと思う。コミュニケーションなんてほとんどが乏しく、上手くいかないものだろう。上手くいっているように思えるコミュニケーションは技術の問題というよりも「今、このコミュニケーションを上手くいかせたいと思っています!」という双方の意思の合致によるところが大きい。誰もがテクノプアになり得るし、今そうである人も違う場所ではそうでないことだってある。
それでもテクノプアという言葉を作る意味はやはりその行為そのものを手に取りやすい形にして肯定したかったからだと思う。

ってうちのハムスターが言ってました。

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