オンライン研修の可能性(3)
前回は、コロナ禍におけるオンライン研修について、その取り組みを中心にご案内をしました。実際に、現場の意見をいろいろと聞いていると各社で様々な受けとめ方や進め方をしていることに気づかされます。
ちなみに通常の対面での研修では、知識付与型(インプット中心)とワークショップ型(アウトプット中心)に分かれ、前者は、学校の授業の様に一列に席が並べられ(スクール形式)参加します。後者は、グループ毎にテーブルを寄せ合わせ(これを「島」と呼びます)いくつかの島が会場に存在する方式です。(島形式)
知識付与型は、オンライン研修に移行しやすいと言われています。講義を画面越しに聞いているというのがイメージしやすいのではないでしょうか?
質問なども手挙げでなく、チャット機能を使って抵抗感なく行えることもメリットに上げられています。必要な時に受講できる(オンデマンド)対応をしているケースもあり、移動時間の削減や、時間の効率活用も相まって、一定の効果を上げているようです。実際、企業よりも大学などの教育機関で多く採用されています。
しかしながら企業での人材育成においては、知識付与型は、e-learningや通信教育で既に置き換えられているのが現状です。役員訓示なども動画で撮影しそれを視聴するケースも少なくないです。ですから、既に取り組まれていたのでは?とも言えます。
逆に、ワークショップ型をいかにオンライン研修で実現するが人材育成担当の方にとっては、切実な問題となっていますので、こちらに焦点を当てたいと思います。
現時点では、オンライン研修は、個人単位でZOOMなどのツールを使って参加するのが一般的です。ただし、PCや高速回線などの環境が未整備などの理由で、従来のテレビ会議の様に拠点毎に対面で集まり、複数の拠点を結んで研修実施というケースもあります。サテライトと呼ぶ場合もあります。
個人単位で参加形式においても、ZOOMを例にとれば、疑似的な「島」(グループ)を構成し、その中での議論やホワイトボード(こちらも疑似的)をつかってアウトプットを共有することもできます。
ワークショップ型研修を行うにあたって、従来の対面と個人単位でPCでオンライン参加する場合のメリットは、体感しないとわからないところもありますが概ね、以下の通りです。
移動時間・経費(交通費)の削減、参加日時の選択肢増(遠隔地からの場合)、コロナ禍での運営が可能、チャット機能などによる情報発信(含む質疑)の促進、顔が常に見えていることによる安心感や一体感の醸成、等
意外とオンラインだから、対話(チャットを含む)がしやすいという意見が多いです。全員の顔が見えることを前向きにとらえる人も少なくないようですね。(その分、うなづきなどの反応をしっかり返してあげるようなマナーは不可欠です)
一方で、ネット環境の為、会話の間合いが難しかったり、操作方法の不慣れによるストレス、そしてそのストレスからの疲労などデメリットもあります。しかしこれらは、「慣れ」によって今後は解決していくものと思われます。
なにより、従来の対面を知っている人にとっては、「不慣れ」や「抵抗感」があるのでしょうが、既に就職活動自体を「オンライン」でやっている将来の新卒社員は、オンラインが当たり前になっているのです。
今後も研修のオンライン化が促進されるのは、時代のうねりとして受け入れていくべきと考えます。