【講評】 2022年度 東海大学 医学部特別選抜, 展学のすすめ (英語) 講評&解答
東海大学 医学部 編入試験 (展学のすすめ) に合格した者です。
2021年に実施された「2022年度入学 展学のすすめ」の解答と講評を公開します。
すでに過去問を入手されていて「解いてみたが、答え合わせができない」とお困りの方は、こちらをご覧ください。
※とある予備校が出している解答には、明らかな誤答が含まれています。年次によっては、10%程度の間違いがありますので、注意してください※
2022年度入試 展学のすすめ 講評
▼難易度(★~★★★で評価)
大問1:★★★
大問2:★
大問3:★
大問4:★★
大問5:★★
※制限時間内で解き終えるという意味での難易度。
▼目標点&時間配分
大問1:4/8以上 (29分)
大問2:5/5以上 (5分)
大問3:6/6以上 (8分)
大問4:3/5以上 (8分)
大問5:8/14以上 (40分)
全体 :26/38[68.4%] (90分)
*見直しの時間なし
※参考
本入試問題を提供してくださった方は、下記スコアで合格していました。
大問1:5/8
大問2:5/5
大問3:5/6
大問4:2/5
大問5:9/14
全体 :26/38[68.4%] →合格
・大問1
明らかに難化。本文は New England Journal of Medicine からの出典で、臨床試験におけるデータの扱いを論じた内容だった。たとえ日本語で読んでも理解に時間がかかる内容で、これを制限時間内にすべて理解して解答することは不可能だろう。また、(4)(5)を解答するために、対比で描かれた2つの団体の立場の違いを理解することが必須だが、その団体名の略称が紛らわしい。時間的な焦りから、全文読むことを諦め、部分読みを試みた受験生が多かったと推察するが、予備知識のない内容ゆえに、飛ばした部分になにが書いてあったかを推測することも難しい。結局全文読み直すハメになったのではないだろうか。この手の問題に出くわした時、どうするべきなのだろうか。
この難しさを因数分解すると「事前知識が通用しない」「団体名が紛らわしい」「読み飛ばしても文脈を推測しにくい」という三要素で構成されることに気づく。そのような問題に出くわした時は、正答率は50%でよいと割り切り「精読すれば正答できそう」な設問に時間をかけるべきだ。ちなみに、2018年の大問5でも似たタイプの出題があった。これらを安易に「難問」「悪問」と切り捨てるのではなく、どういう点で難問なのか、難問に遭遇した際に「捨てるべき問題」と「取るべき問題」はどのタイプの設問かを事前に想定していた受験生は焦らずに対応できただろう。
・大問2
傾向が変わり、医療単語のみの出題となった。超易化傾向になり、この問題は全問正答したい。ただし、焦って空欄の前後だけを読み「聞き慣れた熟語の響きだから」というノリで選択すると間違える。文章全体を読み、文章が成立する単語を選ばなければならない。
・大問3
教科書 (McGraw-Hill) からの出題。生命科学履修者は、本文を一切読まず、選択肢だけで回答した受験生も多かったことだろう。McGraw-Hillが東海大医学部1年次の指定教科書であることを受験生は知るよしもないが、McGraw-Hillは米国で広く採用されている教科書だということは知っておくべきだ。出典を見た時点で、生命科学的に正しいもの、常識的なものが答えになると本文を読まなくても判断できる。
この文章に「15分以上かかった」もしくは「3問以上落とした」という受験生は、まだ過去問を解くレベルに到達していない。生命科学に関する知識と、それらの知識を英語に置き換えるトレーニングを積もう。
・大問4
制限酵素に関する論文からの出題。分子生物学の内容であるため、大問3よりも内容・単語ともに難しいが、実は5問中3問は本文を読まなくても回答できる内容だった。この文章は、制限酵素のメカニズムを知らなければ、正答することは不可能であることから、東海大学が生物Ⅱまでの履修を求めていることが分かる。もしくはKALSの基礎レベルは抑えておこう。
・大問5
A4 4ページの長文。がんを発症した医師のエッセイからの出題である。登場人物を整理と、心情描写の理解が求められる内容で、英語力(精読力)よりも国語力(解釈力)が求められる内容である。
文章自体はかなり長いが、大問1よりも読みやすい。一方で、大問3, 4で時間を巻けず、かつ大問1を時間内に収められなかった受験生は、大問5の時間が残っていなかったことだろう。大問1よりも先に、大問5を解いた受験生は、相当有利だったに違いない。
長い&時間がないという点を除けば、設問自体はシンプルで、誤答する可能性は低い。
2022年度入試 展学のすすめ 解答
※解答をご覧になりたい方は、下記リンクをご覧ください。
おわりに
2022年は「展学のすすめ」の初年度のため、傾向予想をできなかったが、蓋を開けてみれば大問2を除き大きな変化は見られなかった。相変わらず文章量は多いものの、従前よりも求めている生命科学や公衆衛生の予備知識は少ないように見受けられ、高校レベルの生物の事前知識でも十分に対処可能だった。
東海大学の展学のすすめ(旧 編入試験)は、大問毎に難易度が著しく異なる。解くべきものを最速で解き、時間のかかるものにしっかり時間を割くというタイムマネジメントを習慣化させなければならない。
教科書からの出題は、キーワード検索し、該当箇所を最速で見つける練習を。論文からの出題は、パラグラフ最初の2行で論理展開を抑え、後の内容を想定しながら読む訓練を。エッセイからの設問は、主観で答えを選ぶのではなく、選択肢を吟味し該当箇所の言い換え表現を選ぶ訓練を。それぞれの対策が必要だ。
過去問分析は「合っていた、間違っていた」という答え合わせで終わるのでなく、緻密な出題傾向の分析が重要だ。同時に、長文を読み切るスタミナと、諦めない心も養っておく必要がある。以上。
今回はかなり絞って講評と傾向を記載しましたが、この情報量でもすでに大手予備校の対策講座が提供している情報量を上回っていると自負しています。
1次試験(英語)の対策はこちらにまとめていますので、ぜひご一読ください。
こちらから相談会も受け付けています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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