欲しいものがあるなら、プライドなんて捨てろ!
こんにちは。へんじんもっこの渡辺省吾です。
へんじんもっことは新潟県佐渡ヶ島でサラミやハム・ソーセージなどの食肉加工品を作っている会社で、「へんじんもっこ」の”へんじん”は変わった人、”もっこ”は佐渡の方言で”頑固者”という意味です。
#へんじんもっこ
今日は「欲しいものがあるなら、プライドなんて捨てろ!」というテーマで書いてみたいと思います。
6月24日・25日は新穂地区で『天神祭』というお祭りがあります。
24日は『北方子供鬼太鼓』、25日は『新穂中央青年会』による鬼太鼓「角付け」や「奉納」が行われます。
『鬼太鼓』とは新潟県佐渡ヶ島の伝統芸能です↓
私は、「新穂中央青年会」という祭りで鬼太鼓を舞う組織に所属していて、
「北方子供鬼太鼓」は子供たちがお祭りで鬼太鼓を舞う組織で、鬼太鼓の指導や運営は”所属している子供達”の”保護者と新穂中央青年会”で行っています。
現在、私は『北方子供鬼太鼓』の鬼の指導役を任されていて、今日はその『北方子供鬼太鼓』について書こうと思います。
小学生の頃、私は北方子供鬼太鼓で鬼を舞いました。その時、私に指導してくださった『師匠』がいました。
師匠の名は『十郎さん』
子供の頃を思い出すと、そもそも『鬼太鼓』というものが好きだったし、お祭りで主役になれる舞台をもらえるキラキラしたものだったように思います。
また、毎日少しずつ鬼の舞を覚えて行く練習時間は、人前で踊るのがどこか照れくさい気持ちはありましたが、辛さはなく、凄く楽しいものでした。
当時、『十郎さん』が鬼太鼓を教えてくれることに、私は何の疑問も持つことはありませんでした。
私が社会に出て、佐渡に帰省し「新穂中央青年会」に加入して、『獅子(鬼太鼓の役の一つ)』をやり、『鬼』をやり、『裏打ち(太鼓)』をやり、『運営幹部』になり、ようやく『師匠』の役割をいただきました。
「”青年会”での鬼の師匠」の役割をもらった時、私は鬼の舞を伝える難しさに直面しました。
ただ、”所作”や”振り”といった動きや”道”といった流れを教えれば良いわけではなく、迫力の出し方やその人の背格好に合わせた舞い方も伝えなければなりません。
また、どの芸能もそうなのかもしれませんが、人によって好みが違い、経験者同士であっても評価が分かれることもあります。
果たして、自分の舞は皆に評価される舞なのかどうか、自分好みの舞を伝えて、弟子の評価が下がってしまわないかどうか、凄く悩んでいました。
その時に頼ったのが、それまで30年以上も”子供”に鬼太鼓を教え続けていた大師匠『十郎さん』でした。
私は「”青年会”の師匠」として、直接アドバイスをもらったり、『十郎さん』の教え方を見ることで多くのヒントを得ることができ、迷いながらも多くの人に鬼の舞を伝えてきました。
現在は私が『十郎さん』から「北方子供鬼太鼓」の師匠を任せると仰せつかり、子供達に鬼太鼓を教えています。
また、今は当時と体制が変わり、個人に負担がかかりすぎないよう”新穂中央青年会”で子供たちを指導しています。
今年も6月24日の「北方子供鬼太鼓の『天神祭』」に向けて、準備を進めておりますが、やはり人に何かを教えたり伝えたりするのは大変難しいもので、私はいまだに悩んでおります。
今年の鬼の舞手は5名いまして、『黒鬼』という役が男子3名、『白鬼』という役が女子2名に配役されました。
『黒鬼』の師匠は「新穂中央青年会」での私の後輩が担当、『白鬼』の師匠は私が担当になりました。
このような担当決めは運営幹部が決定していまして、運営幹部と師匠は役割を分けています。
『黒鬼』師匠の後輩は、新穂中央青年会で私が師匠をした弟子なのですが、もともと日本舞踊などをやっているのもあってか、とても美しく、そして迫力のある舞をする舞手で、
私は祭りの練習が始まる前、その後輩に「子供鬼太鼓をより良くしたいので協力して欲しい」とお願いしてありました。
子どもへの指導が始まって10日後、『黒鬼』と『白鬼』の進行度に差が出始めました。
周りの青年会員の評価も、私の目から見ても明らかに『黒鬼』の方が良い舞なのです。
原因は後輩と私では、「腰を落とす」という所作で、教え方に大きな違いがあったからです。
私は悩みました。
まずそもそも、師匠として長くやってきた自分のやり方が間違っていると認めたくありませんでした。
ただ、明らかに『黒鬼』の方が成果が現れています。
もし、後輩のやり方を『白鬼』に伝えるのならば、自分の間違えを認め伝えなければなりません。
「間違いを認めたら、自分の評価が下がってしまうのではないか」
私が恐れていた事です。
その時、頭に浮かんだのが、「自分の目的は『子供達により良い舞』をしてもらうこと」
また、西野亮廣さんの「頭を下げて謝罪したとしても、評価が下がることはない」という言葉を聞いたからでした。
このままだと、『白鬼』の2人の良さを引き出せずに終わってしまう。
自分のプライドを守ってる場合じゃない。
それに私は後輩と指導の仕方を競っているわけじゃない。
私は『白鬼』の2人を呼び、自分のやり方の間違いを認め、”後輩のやり方”に変えたいと伝えました。
話を聞いた二人は、どこか「私たちもそう思ってた」というような表情で、受け入れてくれました。
「欲しいものがあるなら、プライドなんて捨てろ!」
これは私が私自身に想ったことです。
6月24日、天神祭。
きっと、『鬼』の子供たちは素晴らしい舞を見せてくれることでしょう!
以上、「欲しいものがあるなら、プライドなんて捨てろ!」でした。