
短歌10首|calling
「短歌研究」2024年7月号にて、第67回短歌研究新人賞最終選考通過作として10首を掲載していただきました。ありがとうございました。
おれは市長と友達だからと言うひとに友達がいてほっとしている
そうですね。そうですよね。と二時間をたったひとりのために働く
保険料を今年も値上げすることを知らせるリーフレットあざやか
指サックをいくつもだめにしてきたと漁獲量など競うみたいに
あのねえ、で始まる電話は長くなる傾向にある(わたくし調べ)
転居したひとのリストは紙で来てすこし遅れて電子でも来る
お気持ちはわかりますがと話すならもうこれ以上分かり合えない
反骨はロックンロールではなくて巌のようにそこにあるもの
膝が痛いと電話をもらうことがある ときに苦情のようなかたちで
聴くことは愛に似ている責めたてる言葉がいつか風になるまで
calling/吉村のぞみ
だんだん今の仕事に慣れてきて、応募したときよりもほんのすこしだけ遠く感じます。同業だった方もそうでない方も、どうかご自愛ください。