腐ったミカンをよける仕事
こんにちは。
スーパーのいたるところで箱詰めミカンが売られていますね。
そんなミカンたちを見て思い出したので、書いていきます。
高校一年生の冬休みに入る前の頃。
買い物から帰って来た母が私に、
「生協で短期バイトあるって〜」と伝えてきた。
内容は3種類
・12/27-12/31までおせちを詰めるバイト。
・12/27-12/31までオードブルを作るバイト。
・12月中-1月中までミカンを仕分けるバイト。
生協の短期アルバイトは高校生がよく募集されるらしい。
長期間+人と関わらなさそう。
わたしは即答で「ミカン」と答え、冬休みの短期バイトが決定したのである。
冬休みに入り、労働が始まった。
ミカンのバイトはわたし一人だった。
「年齢が近い子が一人二人いるかな」と勝手に期待を抱いていたが、約一ヶ月間ひとりぼっちで腐ったミカンを仕分ける仕事をするのである。
少し心細かった。
仕事内容は簡単。
箱詰めされたミカンを一度開け、
腐ったミカンがあれば取り除き、
そしてまた蓋をする。
「楽勝すぎやしないか。」と思っていたが、
スーパーって寒すぎやしないか?
JK大和魂を持っていた私。
真冬の札幌。
雪がモサモサと降る中でも、コートを羽織らず、
カーディガンと生脚紺ソで登下校していた。
「あんた風邪ひくよ?!」と母に指摘されても、
聞き入れず。
『Popteen』に毒されて、Popteenしていた。
Popteenは主に東京のギャルJKが載っている。
しかし、ここは東京ではない。
孤島北海道。雪国の街でPopteenしていた。
しかしスーパーの寒さたまらん。
しかも周りにいるのは爺さん婆さんたち。
JK大和魂はすぐに打ち砕かれて、
わたしは初めて「防寒」を心がけるようになる。
とにかく暖かくした。
立ちっぱなしで手だけ動かす。
寒い。寒いことに変わりはなかった。
あとは、音楽。
永遠と流れるコープのテーマソングで、
わたしの頭はおかしくなりそうだった。
退勤後自宅にいても、気付けば口づさんでいる。
この曲と共に生きた冬が懐かしい。
「元気よく行こうよ。とびきりの笑顔で。」
「元気よく前へ。笑顔の真ん中。」
今聴くと励まされるかも…。
JKは隔離放置されたまま、
ミカンの他にも業務を増やしてもらえた。
野菜詰め作業の許可を得て、淡々とこなす。
ひとりぼっちで同じ作業を淡々とこなすこと。
時間の進みがとても遅く感じる。
時の流れを早くしたいのか?
わたしの手の動きは速くなる…。
寒くて体を温めたいのか?
体の動きが速くなる…。
仕事が雑になっていたのだ。
「もっと丁寧に、ゆっくりで良いんだよ。」
爺さんに指摘される。
わたしはものすごい死んだ目をしていただろう。
「はぁ。」
JKが野菜詰めてるのに。
わたしはそこでトイレサボりを習得した。
温水洗浄便座。
冷えきったわたしの下半身を温めてくれる。
疲れたらトイレに座りに行く。
「あたたかぃ………」
温い便座なしに生きること、もはや不可能。
こうして貴重なJK1の冬休みを
小銭稼ぎで消耗した。
稼いだ金を握りしめ街へ。
(今はなき札幌アルタ…。)
リズリサで爆買いして金はすぐ消えてしまった。
今やそのリズリサの服も手元にない。
得たもの。
コープのテーマソング(良曲)。
いくら動作を速くしたとて、時の流れは皆平等。
そして、あたたかい便座のありがたみ。
最後に胃腸炎。
寒いね。体に気をつけて。
メリークリスマス。ハッピークリスマス。
胃腸が痛いです。