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【長文注意】エンジニア(技術者)/テクニシャン(技能者)/他の違い

本記事は2020.11.20-12.5別ブログ(閉鎖)に掲載していた記事です
かなり長文のため、ゆっくり読んでいただければ幸いです

以前、業務の自己評価時の頭の整理方法を書きました。その中で、Eng.項目が大事と述べましたが、それは本ブログのタイトルにもある通り、私自身が機械エンジニア(技術者)であり、それがエンジニアにとって必要な項目だと感じているからです。そこで改めて

・エンジニア(技術者)とは何ぞや?

・また、混同しがちなテクニシャン(技能者)、その他とは?

を考えてみたいと思います。各サイトや技術士会、いつものウィキペディアから引用したりした上での世間で「こういうものだ」と定義されている一般情報の紹介と私の考察及び今後何を目指すのかを述べていきます。いくつかに分けて書くつもりです。最後までお付き合い頂ければ幸いです。

エンジニア(技術者)/テクニシャン(技能者)/その他の定義

 最初に、いつものウィキペディアから引用します。

技術者(ぎじゅつしゃ)とは、工学に関する専門的な才能や技術を持った実践者のことである。なお日本においては、名称独占資格である「技術士」および「技能士」と違って、名称独占資格ではなく明確な定義のない呼称でもある。実際的には、スキルを持つものの呼び名として工学以外の分野も含め広く用いられている。
技術者に対応する英語として、または同じ意味合いの外来語として、エンジニア (engineer) の呼称も用いられる。ただし、一般的な語の対応としては、「工学」が「エンジニアリング」で「技術」が「テクノロジ」であるため、どう対応あるいは同じなのかは微妙である。 また、日本以外の国においては「エンジニア」の称号には工学士の学位が必要とされるなど明確な制限がある場合が多く、日本語での「技術者」「エンジニア」は、こうした国においては別の職種とみなされる「テクニシャン」(技能者)に相当することも多いため注意が必要である。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 技術者

またこのようにも記載されています。

「技術者」という呼称に明確な定義は存在しないが、国語辞典『デジタル大辞泉』では技術者を「科学上の専門的な技術をもち、それを役立たせることを職業とする人。技術家」と記述している。
技術者に対応する英語としては「エンジニア」が用いられる。エンジニアリングが工学と翻訳されることからエンジニアを「工学者」とする場合もあるが、日本語においては「技術者=エンジニア」とされることが多い。
技術者と技能者技術者に類似した概念に「技能者」がある。技能者とは、機械の組み立てや精密加工などの、ものづくりの実作業を担当する者を指す。専門知識を応用して成果を出すことは求められない反面、極めて高度な技能が要求されることから、伝統的な職人の概念に近い。技能者の国家資格に技能士がある。ただし技術者は試作といった作業の必要性から、実質的に技能者であることを求められることもあり、優れた技術者は同時に優れた技能者であることが多い。 技能者に対応する英語としては「テクニシャン」が用いられる。テクニシャンは、マニュアルなどにより定められた経験的な実務を行う職種で、新たな問題に挑むエンジニアとは明確に異なる職種とみなされる。エンジニアの指示のもと、エンジニアの補助や実務を行う人々と称されることもあり、例えばアメリカにおいてはエンジニアとテクニシャンでは給与体系も大きく異なり、エンジニアがテクニシャンの仕事をすることは通常ない。 またエンジニアとテクニシャンの中間のポジションとして「テクノロジスト」という職種も存在する。テクノロジストに対応する日本語の定訳は存在せず、日本においては技術者の一部とみなされている。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 技術者

上記引用から特定名称が3つ出てきました。

  • エンジニア=技術者

  • テクニシャン=技能者

  • テクノロジスト=無し(技術者と技能者の中間)

エンジニアと技術者・テクニシャンと技能者は同義、テクノロジストは技術者と技能者の中間とされています。ではそれぞれが一般的にどういう認識かというと、

 エンジニア(技術者):知識ベースで物事を処理する手法・手段を駆使する者

 テクニシャン(技能者):経験ベースで物事を処理する手法・手段を駆使する者

 テクノロジスト:上記の中間?そもそも概念・認識がない。。。

になろうかと思います。エンジニアもテクニシャンも物事を処理する手法・手段を駆使する者は同じですが、その元となるものが知識に基づく経験に基づくかが違います。これを更に分割すると、

技術者 = 技術:知識に基づき物事を処理する手法・手段 + 者:駆使する者

技能者 = 技能:経験に基づき物事を処理する手法・手段 + 者:駆使する者

となりました。だいぶ分かりやすくなったと思います。

続いて、エンジニア/テクニシャンに関する私の考えを書いていきます。

エンジニア(技術者)/テクニシャン(技能者)に関する考察

 先に結論を書きますが、エンジニア/テクニシャンに関する考察のまとめは以下の通りです。

 考察まとめ

  • エンジニア(技術者)もテクニシャン(技能者)も両方必要

  • どちらが上位も下位もなく、優秀も劣るもない

  • 両者または両方の手法・手段(技術と技能)は並列

これが考察のまとめです。当たり前と言えば当たり前なんですが、そうでない現実がありそれが問題となる場面も多々あります。それについては次回書きたいと思います。では上記に至った考察の経緯を下記に書いていきます。

 考察する中で、「日常一般的に使っているのに、なんて定義が難しい言葉が多いんだろう」とつくづく思いました。今回のエンジニア/技術者/テクニシャン/技能者然り、他には技術/技能/知識/経験/科学/工学/理学/・・・。しかも大体難しい日本語で書かれているんですよね。

エンジニア(技術者):知識ベースで物事を処理する手法・手段を駆使する者

これも難しいですよね。定義と題打ったので色々調べるのですが余計に訳が分からなくなってきて、「そもそも何を明らかにしようとしたんだっけ?」(笑)となりました。杓子定規な定義を明らかにするのが目的ではなく、一般的に広く用いられている定義(というより認識)を紹介して、それに対する考察と今後の方向性を示すのが目的です。なので、もっと一般的に言うと、

 エンジニア(技術者):学校教育や文献等で得た情報をベースに仕事する人

  学校教育や文献等で得た情報:理論・原理原則・法則・公式・実験データ・・・

 テクニシャン(技能者):主に自らの経験で得た情報をベースに仕事する人

  主に自らの経験で得た情報:5感・コツ・勘・慣れ・相性・反復・癖・・・

上記を見る限り、両者または両方が並列に存在し、どちらも必要であること。そこに上位も下位も無いことがよく分かります。技術と技能両方の存在が必要だということを示す身近な良い例として、自動車学校での免許取得があります。ご存じの通り、自動車学校では座学と実技があります。この場合、座学が技術、実技が技能に当てはまります。座学で道路交通法、車の動く原理、運転方法等を学び、実技で実際に車の運転を経験します。どちらが欠けても免許は取得できません。それは座学(技術)・実技(技能)両方が揃ってないと安全な車の運転はできないからです。技術も技能も両方必要であることを示しています。

続いて、エンジニア/テクニシャンの私の会社や世間一般における位置付けを書いていきます。

エンジニア(技術者)/テクニシャン(技能者)の位置付け  一例

 まず一例として私の会社での職種の位置付けを紹介します。結論、下記の画像の通りです。

https://i.gyazo.com/f7036a2ba2301b0ae026c1b27f533a3e.png

会社によって呼び方は変わると思いますが、それなりの企業や国の組織(公務員)はこのような感じではないでしょうか。

  1. まず総合職(本社採用)と一般職(地方採用)に分かれる。

  2. それぞれ事務系(文系)と技術系(理系)がある。

  3. 技術系総合職=エンジニア(技術者)

  4. 技術系一般職=テクニシャン(技能者)

ここで新たな言葉(総合職と一般職)が出てきたので、簡単に総合職と一般職について説明します。(これも会社毎に違います)

  • 総合職は勤務地の異動がある。一般職は基本勤務地異動無し(採用地域でずっと勤務)

  • 総合職は異なる業務の部署への異動がある。一般職は基本同じ業務の部署のまま

  • 給与は基本、総合職 > 一般職

  • 総合職は主にデスクワーク。一般職は主に現場ワーク。

  • 総合職は非労働組合員(ある時期までは労働組合員)。一般職は労働組合員

話を戻すと、エンジニア(技術者)/テクニシャン(技能者)の違いは、

「○○の技術を持っていればエンジニア」

「△△の資格を持っていればエンジニア」

「◇◇の技能を持っていればテクニシャン」

といった本質的なものではなく、入社時の職種分けに基づいたカテゴリのようなものです。これは私の会社だけではなく、世間一般的にそうだと思います。

 もう一つ、エンジニアという横文字が独り歩きしてるような感じがあります。エンジニアで検索すると大体、SE(システムエンジニア)が出てきます。至近のITビジネスやAI・機械学習のニーズの高まりからだと思いますが、エンジニア≒SEと勘違いされている方が多いように思います。整理してみましたので、下記の画像をご覧ください。

https://i.gyazo.com/33bdc92d42a87ba69d261ba8c532ceb0.png

解説

技術士資格の部門が21種(専門は20種)あるように、エンジニアというのは幅広い分野で存在します。その中で16.情報工学という分野があり、ソフトウェアに関する内容が含まれます。このソフトウェアを取り扱っている方々をSE(システムエンジニア)と一般的に呼んでいます。なので、繰り返しますが、エンジニア≒SEは正しくもありますが、ズバリ正解ではありません。

エンジニアについて詳しく述べてきましたが、テクニシャンも同様の分野で存在します。

続いて、エンジニア/テクニシャンの位置付けに伴う問題・課題を書いていきます。

エンジニア(技術者)/テクニシャン(技能者)の位置付けに伴う問題・課題

 エンジニア/テクニシャンの位置付けに伴う問題は以下の3点です。

  1. 会社員の場合、一般的に入社時にエンジニア/テクニシャンが決まる

  2. そのまま、エンジニア/テクニシャンどちらか一方で経験を積んでいくことになる

  3. エンジニア(技術者)⇔テクニシャン(技能者)の転換はほぼ無い

 前回述べた通り、入社時の採用職によって、技術系総合職=エンジニア(技術者)/技術系一般職=テクニシャン(技能者)と決まります。決まった後はそれぞれの道を進むこととなり、エンジニアないしはテクニシャンで経験を積んでいくことになります。そしてエンジニアからテクニシャン、テクニシャンからエンジニアへの転換はほぼ有りません。エンジニアはずっとエンジニア。テクニシャンはずっとテクニシャンのままです。(最近ではテクニシャンからエンジニアに変わる例もあるようですが、まだまだ少数です。システムの世界では、"プログラマーからSEにスキルアップ"などの広告も見かけますが...現実はどうなんでしょうね???)

この問題に関して、

 「エンジニアはエンジニアのままで良いんじゃないのか?」

 「エンジニアとして上を目指していけばいいんじゃないのか?」

何が問題なの?と疑問が出そうですが、こちらも以前述べた通り、

エンジニア/テクニシャン両方の手法・手段(技術と技能)が必要

な場面が現実には多々あるのです。というか、そういう場面ばかり。では成立しているのはなぜかというと、現実にエンジニアとテクニシャンが共存しているからです。では、エンジニアもしくはテクニシャン片方しかいない場面が発生するとしたらどうでしょう?

 私は海外勤務を3年弱経験しました。その時が正にこの場面でした。エンジニアとしての技術も浅く、テクニシャンとしての技能も無い。現地のエンジニアやテクニシャンは居るにしても、設備建設・メンテナンス担当日本人は私一人。この時に技術と技能の必要性を強く感じました。エンジニアであっても技能を学び経験することが必要だし、テクニシャンは技術も学ぶ必要があるということです。

 上記を踏まえて、エンジニア/テクニシャンの位置付けに伴う課題は以下の3点です。

  1. ベースのエンジニア(テクニシャン)の技術力(技能力)をどのように向上させるか

  2. エンジニアは技能力、テクニシャンは技術力をどのように学び・経験するか

  3. 自らの最終形はどのような姿か

当然今の立場(私の場合、機械エンジニア)がベースとなります。ベースが疎かになってはいけません。私の場合、ベースの技術力の向上は必須です。その上で技能力の向上を図ります。これらは目指すべき姿を捉えて進めていく必要があると思います。「色々やった結果こうなった」ではなく、「こうなりたいから、○○と△△をやる」といった感じでしょうか。

最後に、私自身の目指すべき姿を書いていきます。

【参考】私(機械エンジニア)の目指す姿

 まず結論です。私(機械エンジニア)の目指す姿は、下記の画像の通りです。

https://i.gyazo.com/665a885f1eb6417babab4879021610cc.png

大前提として、今まで述べたエンジニア/テクニシャン/他の違いを一般論として上部に記載してます。この違いを踏まえた上で目指す姿を下部に書きました。

 現在  :エンジニア

 目指す姿:テクニシャン寄りのエンジニア・・・現場で動けるエンジニア

「現場で動けるエンジニアって、どういうこと?」について、

  1. 現在の立場・役割であるエンジニアの本分(学校教育や文献等で得た情報をベースに研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務)は全うし、能力向上させつつ

  2. "机上の空論"とならないように、3現主義(現場・現物・現実)に基づいて

  3. 現場に行き、テクニシャンの技能を学び、技能者の悩み(現場の問題・課題)を聞きながら

  4. 自らも現場の問題・課題を抽出・分析し、問題解決・課題達成に向けて仕事ができ

  5. 尚且つ、最悪一人でも動けるエンジニア

を目指していきたいと考えてます。

 先はまだまだ長く、道半ばですが継続研鑽を行い、経験値を稼いでレベルアップし、成長していくつもりです。他人や周囲の方から「成長したね」って言われるのはもちろん嬉しいのですが、それ以上に自分自身が「成長した」と実感する方が私は嬉しいし、更に頑張ろうという気持ちになります。自己肯定感も高まりますしね。おすすめです。

 これで終わりです。書き始めたら、かなりの長文になってしまいました。ただ、おかげで私自身の頭の整理もできたので結果的に良かったと思います。特に今回の分は私の目指す姿なので、万人に向くわけでもなく賛否両論あろうかと思いますが、参考になれば嬉しいです。

以上

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