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政権の行方(その2)

10月中旬となっても、夏日になるなど、感覚的にはまだ、秋とは言えない状態ですが、季節はちゃんと廻(めぐ)っているようです。

庭の金木犀(キンモクセイ)に花がつき、今、満開となっています。金木犀は、ジンチョウゲクチナシと合わせて、日本の三大芳香木のひとつに数えられており、秋になると甘い香りを放ちます。しかし、残念なことに、2〜3年前に突如として鼻炎アレルギーを発症してしまい、鼻が詰まっています。

従って、この秋の匂いを楽しむことができない状態となっています。匂いを感じられないことは、全てにおいて味気ないもので、匂いを感じなくなって、改めて匂いの大切さを実感しています。

さて、前回に続けて「政権の行方」と題して書いていますが、本題に入る前に、前回のブログでご意見を頂いたことについて書いていきたいと思います。

インフレーション

このインフレーションという用語は、良く目にする言葉ですが、一般に、日本では短縮されて「インフレ」と呼ばれています。

その意味は、「一定期間にわたって物価の水準が上昇し続けるの状態」を指します。具体的には、インフレが進むと、貨幣の価値が下がり、相対的に物の値段が上がることをいいます。

このインフレは、良く耳にする言葉でありながら、意外とインフレを理解している人が少ないのも現実です。

このインフレですが、一般に「モノと金」という二つの要素により引き起こされると言われています。

では、まず「モノ」によるインフレから。

インフレを計る道具として利用されるのが、「物価」です。そして、この「物価」は、需要と供給という「商品=モノ」が中心となって決まってきます。

ディマンドプル・インフレーション

最初に、需要が原因となってインフレについて説明します。需要によって引き起こされるインフレを、需要超過インフレーション(ディマンドプル・インフレーション)と呼んでいます。

これは、需要が増大しても、購買意欲が減少せずに商品の価値が上がり物価が高騰して起こるインフレです。

この場合、購買意欲が減少しないために、経済は成長し続けることとなります。従って、このタイプのインフレは、経済成長を伴っていますので、許容範囲内であれば、「好ましいインフレ」と言われています。現在のアメリカの高インフレは、このタイプです。

コストインフレーション

このディマンドプル・インフレーションとは対照的に、供給が原因となっているインフレの一つが、「コストインフレーション/原価インフレーション」と言われるものです。

このコストインフレーションは、賃金・材料等の高騰によって商品価格が上昇してインフレが促進されることであり、「コスト/価格」が原因となっているインフレです。このコストインフレーションの典型的な例が、原油価格高騰によるもの、そして消費増税があります。

このコストインフレーションは、購買意欲を伴っておらず、デフレの状態でありながら物価が上昇するという性格をもっており、これを放置すると、最も酷い経済状態である「スタグフレーション」になると言われています。

しかし、気をつけなればならないのは、今、日本経済は、インフレに向かっていると言われていますが、このインフレは、「ディマンドプル」でもなければ、「コスト」でもないと言うことです。

確かに、表面的には、輸入原材料が円安の為に高騰し、これにより商品価格が上昇することにより、「コストインフレーション」を起こしているように見えますが、実は、その大元の原因が、「モノ」ではなく「金」(貨幣)に起因しています。

「金」(貨幣)によるインフレーション

「金」(貨幣)の供給増加は、あらゆる財・サービスに対する貨幣の相対価値(名目金利)を低下させます。これこそが、インフレーションそのものです。

そして、この貨幣の増加によるインフレには、代表的なものに「財政インフレーション」と「為替インフレーション」があります。

「財政インフレーション」とは、中央銀行(日本銀行)が、国債等の公債を買い上げ、貨幣を市場に流入させることによって発生するインフレーションです。

また、もう一つの「財政インフレーション」としては、日本銀行が、コール市場(銀行等の金融機関同士で短期の資金の貸借が行われる市場)を使って「金利」を下げ、市場が金を調達し易くすることにより、市場の通貨総量が増加して、インフレを発生させます。

一方、「為替インフレーション」とは、外国為替市場を経由して通貨が大量に供給されることで発生するインフレーションをいい、為替相場で、売り増加、つまり為替安の状態を引き起こします。

次に、景気とインフレそして為替相場に、直接関係している中央銀行(日本銀行)について説明します。

日本銀行(中央銀行)の役割と独立性

日本銀行では、日本の中央銀行として「物価の安定」と「金融システムの安定」という2つの役割を達成するために、色々な業務を行っています。

その業務とは、銀行券(円)の発券、管理。国債の決済システムの提供。日本銀行当座預金を開設して金融機関の間の資金決済システムの提供等を行っています。そして、政府資金の管理および政府を相手方とした国債の売買などの取引を行っています。(金融システムの安定)

また、日本銀行は、コール市場(銀行等の金融機関同士で短期の資金の貸借が行われる市場)でオペレーション(公開市場操作)を行い金利を操作することにより、「物価」を安定させ、金融システムの健全化を確保しています。(物価の安定)

因みに、この「コール市場の金利」と似たものに、「公定歩合」というのもがありましたが、この「公定歩合」は、1994年に実施された金融自由化により、この制度は消滅しています。

同時に、外国為替の売買、外国中央銀行や国際機関等による円貨資産の調達・運用への協力などの国際金融業務を行っています。(為替相場の安定)

つまり、日本銀行は、「国の金融システム及び為替の番人」と言えます。

この命題を達成するために、日本銀行は長期的な展望及び専門性などが求められ、政府から独立した組織である必要があります。

日本銀行法第3条第1項では、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」として、金融政策の独立性について定められています。また、同第5条第2項では、「日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」として、業務運営の自主性について定められています。

然しながら、政府の金融政策が、そのまま国民の生活と直結しているために、どうしても、短期的な利益を求める方向に向いてしまい、日本銀行の行う金利政策と対立する場面が生じるようになります。
また、日本銀行の業務の正当性を誰が監視するのかという問題も起こります。

このために、日本銀行法では、金融政策が「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」(第4条)と定めています。

そのための制度的な枠組みとしては、金融政策に関する事項を決定する「金融政策決定会合」に政府の代表者が必要に応じて出席し、意見を述べること、議案を提出すること、議決の次回会合までの延期を求めることができることが定められています(日本銀行法第19条第1項、第2項)。

次に、今日の日本経済状況を説明するのに必要な、バブル崩壊後の日銀の金利政策について説明します。

ゼロ金利政策

バブル崩壊後に、日本経済はデフレ不況に苦しみます。このデフレ傾向を打ち消すために、最初に採られた金融政策が、「ゼロ金利」です。

これは、金利を下げて、企業等が資金を集められるようにし、これにより景気を刺激して、デフレ脱却を目指します。

しかし、バブル崩壊後の不良債権処理や借金の穴埋めのために、このゼロ金利によって放出された貨幣が、利用され、景気を刺激する起爆剤とはなりませんでした。

とはいっても、この低金利政策は、政府、日本銀行が直ぐに実施できる唯一の手段であり、この後も、この金融政策が継続されます。更に、この低金利政策は、ゼロ金利からマイナス金利政策に移行していきます。

マイナス金利政策

マイナス金利政策(マnegative interest rate policy)とは、中央銀行が名目金利をゼロ未満のマイナス金利に設定する金融政策であり金融緩和政策の一種です。

具体的には、市中銀行が、日本銀行に預けている現金口座の額が、準備貯金の額を超過した分について日本銀行から利子を受け取っていましたが、マイナス金利実施後は、反対に超過分の額にかかる利子分の金額を払うこことになります。

これにより、通貨を切り下げる(円安)圧力につながるため、その国の輸出を促進します。また、市中銀行の資金を内部留保させておくのではなく投資へと向かわせる圧力となり、国内需要への資金の貸し出しを増加させることとなります。

しかし、マイナス金利政策下では、市中銀行の収益性が低下するために、かえってリスクテイクの高い流動性の資産(株式投資等)へ転換されるようになり、国内金融が投機的な性格を帯びる様になります。

また、低金利政策を取ったとしても、名目金利は下がりますが、インフレ率がマイナス(デフレ)に振れれば、結局は、実質金利が上昇して、その効果は相殺されるという状況となります。

因みに、名目金利とは、額面の金利であり、政策金利とも言いかえることができます。一方、実質金利とは、この名目金利からインフレ率を引いたものであり、インフレ率が上がれば、実質金利は下がり、より資金が調達しやすくなります。つまり、この低金利政策は、インフレ率がプラスの場合に効果が最大となりますが、インフレ率がマイナスの状態になると名目金利よりも実質金利が高い状態という「逆ザヤ」になってしまう危険性を含んでいました。

そのために、この低金利政策だけでは、景気を刺激することができませんでした。このために、日本銀行は、大きな賭けにでることとなります。

それが、異次元の金融緩和政策(質的量的緩和政策)です。

黒田バズーカ砲(異次元の緩和政策)

バブル崩壊そして、2000年代初頭のITバブル崩壊。更に、リーマンショックによるデフレ不況を脱する為に、中央銀行である日本銀行は、それまでのゼロ金利政策にプラスして「異次元の金融緩和政策」を行い「財政インフレーション」を起すことによって、このデフレ傾向を変えようとしました。

2013年4月の金融政策決定会合で導入を決定し、金融政策の操作対象を従来の金利(無担保コールレート・翌日物)から資金供給量(マネタリーベース)の「量」に変更してこの供給量を増加、さらに「質」にも配慮して長期国債を買い入れることや、上場投資信託(ETF)などのリスク性資産の買い入れ額を拡大するなど投資先の多様化を行います。

因みに、この資金供給量(マネタリーベース)とは、「日本銀行券発行高」、「貨幣流通高」、「日銀当座預金」の合計額であり、中央銀行の日本銀行から市中銀行へ半強制的に割り当てた流通貨幣を言います。

マネタリーベースの推移 (単位:億円)

このマネタリーベースの引き上げは、2013年に149兆円から始まり、僅か、11年で4.47倍の669兆円まで跳ね上がります。

日本経済史上、最大の緩和政策と言われており、その規模の大きさのために、またの名を、当時、日本銀行総裁であった黒田氏の名をとって「黒田バズーカ砲」と呼ばれるようになります。

確かに、黒田バズーカ砲は、2014年にはGDPが最高の伸びを記録し、デフレ不況から脱出し、景気が良くなるかと思われたのですが、このバズーカ砲の威力は、僅か1年あまりで消えてしまいます。

その要因の一つが、財務省による「財政健全化」を理由に消費税額を1997年の3%から一気に8%まで引き上げたためであると言われています。これにより、上向きかけた消費マインドを再び凍りつかせます。

では、黒田バズーカ砲は、失敗したのか?

景気浮揚策としては、数値を見ると失敗と言わざる負えませんが、日本銀行(中央銀行)の「金融システムの番人」という面から見ると、失敗とは言えない政策です。

実際、この異次元の金融緩和政策により創出されたマネタリーベースの、僅か1/4が企業や個人に貸し出された資金で、残りは市中銀行の日本銀行にある口座に現金として、そして、市中銀行が日本銀行へ売った公債の買い戻しに使用されました。

1991年にバブルが崩壊し、市中銀行等の金融機関が、土地という多額の不良債権を抱えることとなります。そして、この不良債権は、1996年10月に銀行からすべて住宅金融債権管理機構(現整理回収機構)に移管され、15年をかけて回収することになります。
金融機関は、この時に多大の赤字を抱えることとなり、財務的にかなり苦しい状態でしたが、この異次元の金融緩和により、市中銀行の口座に現金が流入することにより徐々に回復していきました。

正に、日本銀行が日本の金融システムを守った瞬間でもあります。しかし、上のマネタリーベースの使用割合を見てわかる通りに、この緩和政策の恩恵を受けたのは、金融機関のみであり、われわれ国民が、この緩和により豊かさを感じられなかったのはこの為です。

確かに、不良債権が完全に回収整理された2013年以降については、市中銀行は、「異次元の金融緩和」により、体質改善されて、市中銀行の足腰は強くなりました。

しかし、「異次元の緩和」の最大の目標であるデフレ脱却には至っていませんでした。ここで、日本銀行が、金融政策で新たに採用したのがイールドカーブ・コントロール(YCC)でした。

イールドカーブ・コントロール(YCC)

「イールドカーブ」とは、利回りのことを指し、債券の利回り(金利)と償還までの期間の関係を示すカーブのことです。(利回り曲線)

この「イールドカーブ」には、順イールド、フラット化、逆イールド、スティープ化の4種類があります。そして、この曲線の形状決定要因としては、現在では、「純粋期待仮説」「流動性プレミアム仮説」「市場分断仮説」の3種類あります。
これは、未来の金融政策を占う上で重要なインデックス(指標)でありますが、詳細に説明すると、かなり長い話となるので、詳細については省略します。

2016年に日本銀行が導入した金融政策である「イールドカーブ・コントロール(YCC)」は、長期・短期の金利を操作し、意図的に景気を刺激することを目的として実施されています。

イールドカーブ・コントロール

具体的に説明すると、「短期金利にマイナス金利を適用する」「長期金利を0%付近に抑える」という2つの側面からのアプローチによって、景気を改善することを目的として実施する政策をいいます。

では、このイールドカーブ・コントロールは、どの様にして行われているのかを説明します。

短期・長期の金利を調整するために、短期金利(政策金利)を、マイナス金利にし、長期金利が0%付近で推移するように、利回りを指定して国債を買い入れる「指し値オペ(公開市場操作)」を行います。

「指し値オペ(公開市場操作)」とは、日銀があらかじめ決まった利回りで、金融機関から国債を無制限に買い入れる公開市場操作をいい、これにより金利の上昇を抑えています。

マイナス金利とイールドカーブ・コントロールを併用することにより、市中銀行の企業への融資圧力を高めます。

かくして、通貨は、企業及び個人へと流れるのですが・・・

日本の金利の推移(政策金利)

ところが、ここで困った状況が発生します。

今の世界経済は、一国だけでは完結せずに、多くの国の金融政策がお互いに影響を及ぼし合って成り立っています。特に、日本などのハードカレンシーを持つ先進国同士は、まるで一つの大きな経済システムのように連動しています。これが次なる日本経済の受難の要因ともなります。

日米の金利差と為替相場

上のグラフは、対ドル為替相場と日米の金利差を表したものです。
日本では、1995年以降は、ゼロ・マイナス金利を行なっているために、実質金利は「0」です。従って、日米の金利差は、イコールアメリカの金利の額となります。

日本の対ドル為替相場は、為替変動制に移行した後に、徐々に円高傾向となり、1ドル80円から120円の範囲内で移行します。

2016年までは、日米の金利差も余りなく、行き過ぎた円高傾向が徐々に解消され、110円から120円の適正値で推移します。

対ドル為替が大きく動き始めたのが、2014年に、黒田日銀の量的・質的金融緩和の拡大策(2014年10月31日)採用してからでした。期せずして、この黒田バズーカ砲により、急激な円安とドル高・人民元高が生まれます。
この時に、中国の輸出攻勢が過剰となっており、アメリカ及びヨーロッパの国々は、協調して世界市場にそれぞれの通貨を流入させ、人民元高を煽ります。

これにより、中国人民元の大幅切り下げ(2015年8月11日)と中国版ブラックマンデー(2015年8月24日の上海株急落と世界同時大幅株安)を引き起こし、中国の輸出に脅威を感じる国々(特にアメリカ)により、中国の構造的な成長鈍化させる政策を行います。図らずして、日本の景気回復のための政策が基となり、資本主義社会と中国との通貨戦争が勃発します。

従って、日本円は、2016年以降、アメリカの金利差が3%近くなっても、通貨の流通量がまだドルの方が過剰であり、円安へとは振れない状態を維持します。

しかし、この状況が劇的に変化する事態が生じます。コロナ危機が発生し、世界では、景気が低迷し、日本と同様に一気に低金利、貨幣を市場から引き上げる政策を実施するようになります。

ですが、コロナ危機が改善されるようになると、アメリカ及び欧米では急速に経済が活性化し、高成長していきます。こうなるとアメリカは、通貨戦争よりも自国経済の安定化の為に、行き過ぎた景気を抑えるために、反転して、景気抑制(金利切上げ、貨幣流通量を減らす)政策ととります。欧米の国々も同調して同様の緊縮政策をとることとなります。

これにより、日米の金利差と世界市場におけるドル・ユーロ不足が加速します。これは、世界市場において日本円だけが、過剰に残る状態、つまり「為替インフレ」が発生し、防衛ラインである150円を突破して、未知の領域である160円台へと突入させることとなります。

かくして、日本円の貨幣価値が低下し、輸入原材料が高騰し、これが価格に反映され商品等の値段が跳ね上がるといった現象を引き起こします。

このために、国民の生活を苦しめる通貨安の状態を改善する必要が出てきます。

「金利利上げ」は悪なのか?

通常、この様な急激な円安の場合には、「ドル売り円買い介入」を行います。

為替介入をするためには、財務省所管の外国為替資金特別会計(外為特会)の保有するドル資金を売却して円を買い入れます。一方、急激な円高に対しては、政府短期証券を発行して調達した円資金を売却してドルを買い入れることが一般的です。

しかしながら、この為替介入は、限定的であり、特に対ドル相場の場合には、アメリカとの協調が必要となります。

最近では、2022年に政府・日銀が約2.8兆円の規模で円買いの為替介入に踏み切りました。しかし、円安に歯止めはかからず、10月に円・米ドル相場は1ドル150円台という歴史的円安水準まで進みます。更に、同年10月21日・24日に政府・日銀は再度為替介入を実施しました。財務省の発表によると、介入実績額は約6.3兆円と言われています。

これにより、2023年4月18日現在の相場は1ドル134円台となりますが、アメリカ政府は、景気が好調なことから「金利利下げ」をしないことを発表し、円安が更に進み、160円台という危機的な状況となります。

こうなると、日米の金利協調ではなく、逆に通貨戦争の様相を呈する様になります。このために、一時的にはマスコミでは「日本が保有しているアメリカ国債の売却」の噂が囁かれますが、これは完全にアメリカの圧力により消し去られます。

かくして、日本銀行および財務省が、唯一、単独で実施できる「金利の利上げ」によって、日米の金利差を解消し、ドル安円高に誘導する事を決定します。

経済法則上では、「金利」は、景気が上昇したら「切上げ」し、暴走しない様にブレーキを掛け、反対に、景気が後退したならば「切下げ」により景気を刺激することにより、国内経済をコントロールするのが定説です。

しかし、世界経済は、現在では、上で長々と説明したように、アダムスミスの「神の見えざる手」やケインズ経済学の「有効需要の原理」だけでなく、マネーフロー(通貨流通量)も加味する必要があります。

従って、デフレの状態(コストインフレーション)で「金利切上げ」をするのは間違いであるとは、言えない状況になっています。(そんな単純に割り切れる経済状態ではないという事です。)

そもそも、マイナス金利でイールドカーブ・コントロール(YCC)を実施している日本において、現在インフレ率が−4%(デフレ状態)となっており、これに、「為替インフレ」によりインフレ率が2%上昇したとして、残り−2%であり、この状態で0.25%から始めて1%まで金利を上昇させても、まだ、中立金利(実質金利がゼロの状態)には、1%の余裕があります。

従って、金利の利上げによる更なるデフレへの影響は、微々たるものであり、それよりも日米の金利差が小さくなり、円安が是正され、それにより、輸入原材料の価格が低下して、商品価格が低下することにより、実質賃金を上昇させるほうが、結果的には景気を向上させる効果が高いのではと。

以上の事から、日本銀行が打ち出した「金利利上げ」は、理論上では景気浮揚策として最適な政策であると言えます。

しかし・・・、ここで、現政権(自民党)政治の金融政策の失敗が、景気回復に大きく影響していることを表す事象が、数多く発生してきました。

ここまでで、400文字原稿で23枚のボリュームとなってしまいました。
ということで、「政権の行方」の結論については、その3で書きたいと思います。






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