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数字の不思議

今日は、「数」の不思議について書きます。
数字は、見渡して見ると、我々の生活の中に深く関係しています。
数字がなければ、物の統一した価格というものが成立しません。また、そのほかにも、理論や物事をうまく説明するための手段は、この数字をもってなされていまし。

言わば、我々は数字の中で生活していると言っても過言ではないと思います。

しかしながら、文字と同様に数字は、意外とその成り立ちを理解せずに使われている場合も多くあります。
これは、それだけ我々にとって数字が、あまりに近くにあり過ぎて、その真の姿が分かっていないことに由来しています。

では、まず数字が我々の意識にどの様な影響を与えている幾つかの例について考えてみます。

数字が持つ魔力 忌数

数字には、昔から不思議な魔力があると信じられてきました。現在の科学万能の時代においても、この魔力は消えていません。

例えば、数字には「忌数」と言うものがあります。
「忌数」とは、不吉であるとして忌避される数や番号。忌み番(いみばん)とも呼ばれています。

有名なものでは、「13」。
この「13」が、「忌数」なのには意外と色々な理由があります。

1 不調和な数
現在では、殆どの記数法が10進法であるのに、なぜ、角度や時間などは60進法が使用されているのか疑問に思ったことはありませんか?

実は、時間や角度に60進法を使い始めたのが、紀元前3,000~2,000年頃の、シュメールやバビロニアであると言われています。

なぜ、古代のシュメールやバビロニアで、記数法に60進法を使ったかというと、この「60」という数字の便利さからです。

「60」には、5つの便利な最小公倍数があるからです。
そもそも、この「60」という数字は、1~5までの数全てで割り切れるなど、最小公倍数が多いのが特徴です。(1,2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 15, 20, 30)特に

「6」 は、立方体の面の数に由来
「10」は、両手の指の数に由来
「12」は、太陰暦の1年(12ヵ月)に由来
「20」は、両手両足の指の合計に由来
「30」は、1ヵ月(30日/月の公転周期)に由来

として、重要な最小公倍数として昔から使用されています。

そして、これらの公倍数の中でも最も重要とされたのが、「12」であり、「12」より一つ多く素数である「13」は、その調和を乱すものとして不吉な数と考えられたとした説。

2 宗教的要因
これに対して、近代以降に広く信じられる様になった説が、次の宗教的な要因です。

例えば、北欧神話では、12人の神が祝宴を催していた時に、招かれざる13人目の客としてロキが乱入します。このロキが12人の神のメンバーであるヘズをたぶらかして、同じ12神の一人であるバルドルを殺害させており、後に起こるラグナロク勃発(世界の終末)の起因となった説。

これら北欧土着の神話が、キリスト教化するときに残って、13番目の天使(ルシファー)が、悪魔(堕天使)と表される様になります。

因みに、「天使」とは、英語の angel はギリシア語のアンゲロス(ἄγγελος;angelos)に由来し、その原義は「伝令」「使いの者」です。

つまり、人間に対する神のメッセンジャーということです。

そして、天使の役割によって、9つの階級(熾天使(セラフィム)、智天使(ケルビム)、座天使(スローン)、主天使(ドミニオン)、力天使(ヴァーチュー)、能天使(パワー)、権天使(プリンシパリティ)、大天使(アークエンジェル)、守護天使(ガーディアンエンジェル))に分けられています。

しかし、人間が直接に関係する天使は、下から2番目の大天使と最下位の守護天使となります。

大天使として有名なのが、ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルの四大天使です。

ミカエルは、あらゆる恐怖や恐れを退けることができる大天使です。甲冑を身に纏い、切っ先が燃えている剣を持った戦士の姿をしています。新約聖書では、悪魔の王サタンの化身と戦って勝利したという伝承や、神が最初に作った戦士ともいわれています。中世時代では特に騎士たちからの信仰が厚く、崇拝することで戦いの勝利を収めることができるともいわれていました。

ガブリエルは、主に神のお告げを人々に伝える役割を持っています。伝承の中では、ガブリエルは聖母マリアに対し、キリストの命が宿ったと受胎告知をしたといわれています。本来、天使の性別は中性であるのに対し、ガブリエルの姿は絵画により、男であったり女であったりと、天使の中でも性別がどちらかに分かれて描かれていることが多いのでも知られています。

ラファエルは、癒しと安らぎを与える役割を持っています。ラファエルは怪我や病気などの身体的なものだけではなく、魂や心などの精神を治療する力も持っています。

大天使ウリエルは、あらゆる困難な状況を打開する力を持っています。ウリエルはその力を使い、人類を地球上に起きる自然災害から、守護する役割を持つといわれています。ウリエルは、ノアの大洪水を予言し、危険が迫っていることを警告して、方舟の作り方をノアに教えたとされています。

また、天使の階級の中で最も低い階級に位置しているのが、守護天使です。一般的に、「天使」とイメージして思い描く、翼を持った可愛らしい幼児の姿は、この守護天使のことを指しています。

新約聖書でも、この「13」は不吉な数字として扱われています。
例えば、キリストを裏切ったユダは、13番目の弟子であり、また、キリスト教圏の俗信において、イエスが処刑されたのは金曜日であるとされており、これに不吉な数字「13」を掛け合わせて、最も不吉な日が、「13日の金曜日」と言われる様になります。

ただし、「ユダ」と「13日の金曜日」は、近代になって作られたものであり、全くの俗説であると言われています。(キリストの弟子は全部で12人、キリストの処刑日は正確な記録がありません。)

3 死刑台の階段数
第二次世界大戦後にGHQに接収された巣鴨拘置所(現: サンシャイン60)に設置された絞首台が、13段の階段を設けていたと伝えられ、「13階段」は日本で死刑執行を意味することの隠語になっていきます。ただし、歴史上の絞首台の段数はまちまちで、必ずしも絞首台の階段数は13段ではなく、これについては、日本独特の解釈であると言われています。

以上の理由により、西洋では、多くの建物で13階を作ることが忌避され、12階の一つ上は、12A階もしくは12b階、12半階と呼んだり、13階を飛ばして14階に変えられています。また、同様に、アパートの階数、飛行機の座席番号や出発ゲート等については、この「13」という数字は、「忌数」として使用されていない場合が多く見受けられます。

この「13」の他に、日本では「4」が「死」を、「9」が「苦」と読める為に「忌数」とされています。

トランプカードの秘密

誰しもトランプで遊んだことがあると思いますが、実は、このトランプカードについても数字にまつわる秘密が隠されています。

「トランプ」とは、日本語であり欧米では「プレイングカード/Playing card」が正式名であると言われています。

「トランプ/trump」とは、英語で「最後の手段・切り札」という意味があり、欧米人が「トランプ」と言いながらカードゲームをしていたので、日本人が「トランプ」が呼称と勘違いしたことに由来しています。

トランプの記号(絵札/スート)は、クラブ・ダイヤ・ハート・スペードの4種類があります。

そして、各記号は、クラブは春を、ダイヤは夏を、ハートは秋を、そしてスペードは冬を表しています。さらに、それぞれの絵札の黒は夜を、赤は昼を表しています。

各絵札には、1(A /エース)から13(K /キング)まで合計13枚あります。
これは、各季節(クラブ・ダイヤ・ハート・スペード)が、各13週(91日)あることを表しており、合計で52週(364日)となります。

そして、これにジョーカーを加えると365日となり1年の日数と合致します。さらに、このジョーカーには予備が1枚ついており、これを加えると366日。つまり閏年を表しています。

このトランプカードの構成で分かる様に、このトランプカードは元々は、紀元前2年〜紀元後2年頃の中国で占いに使われていた矢・棒が紙の発達でカードに変化し、それがシルクロードを通じて12世紀頃に中国からヨーロッパに伝わったと言われています。

この中国発祥説のほかに、エジプト発祥説もありますが、このエジブトのカードには、「大アルカナ」とよばれる古代エジプトの哲学の影響を受けた偶像画が描かれており、これが後に「タロットカード」として発展したと言われています。

「トランプ占い」「タロット占い」というものがありますが、実は、これは古代中国または古代エジプトから延々と受け継がれてきた占いであり、全くの出鱈目ではなく、ある意味、統計的なデータが使用されており、数学的なものであるとも言えます。
(但し、古代中国及び古代エジプトの占いの精度は、数学的には証明できませんが。)

クレジットカードに隠された秘密

次に、カードつながりで、クレジットカードの数字に関する秘密について書きます。

クレジットカードは、カードによってカード識別数字が、最高19桁まで記されています。カード番号は当然ですが、一枚一枚のカードそれぞれ固有の番号です。

そして、このカードの固有番号(数字)は、左から6桁までが、「発行者識別番号」と呼ばれ、この数字で発行したカード会社が識別できるようになっています。カード会社及びカードのグレードが同じであれば、同じ数字となります。

また、カード番号の左端から1桁は「主要産業識別子」と呼ばれ、カードを発行する業界を表しています。

0… ISOによる予備
1… 航空
2… 航空/その他
3… 旅行・娯楽/銀行・金融
4… 銀行・金融
5… 銀行・金融
6… 運送/銀行・金融
7… 石油/その他
8… ヘルスケア/医療/通信/その他
9… 国ごとに割り当て可能分

なお、国際ブランドはカード番号の左から1桁または2桁まで見るとわかります。

Visa… 4
Mastercard… 5
JCB… 3(35)
アメリカン・エキスプレス… 3(34または37)
Diners Club… 3(36)

左から1桁目が「3」で続く2桁目が4、5、6、7又は左から1桁目が「4」か「5」であれば、ほぼ、国際カードであると判断できます。(但し、国内カードでも上記の国際ブランドカードが提携されている場合には、海外では国際ブランドカードが決済代行会社となり使用することができます。)

続いて、7桁目から末尾から2桁目までは、会員個人に割り振られる番号です。「口座番号」や「会員口座番号」とも呼ばれています。

末尾1桁目の番号はチェックデジットと呼ばれ、カード番号が正しいかどうかを識別するための数字になっています。「Luhnアルゴリズム」と呼ばれる計算手順を用いて、チェックデジットが決まっています。

そして、このクレジットカードが、数学的に面白いのが、これら16桁〜19桁の数字をある方法に則って足していくと必ず、10の倍数となることです。

その方法を16桁のカード番号を使用して説明します。

通常、カード番号が16桁の場合は、4桁づつが1つのグループとなって、さらにこれが4個グループで構成されています。

この16桁の右端から見て、偶数桁(2、4、6、8、10、12、14、16桁)については、その数字に2を掛けます。

但し、2を掛けたものが、2桁の数字になった場合には、十の位の数字と一の位の数字を足して1桁にします。

そして、この1桁の数字を全て足していきます。

すると、この合計が必ず10の倍数(20、30、40・・・)となるはずです。もし、そうならない場合には、そのカードは偽物であると判断されます。これにより、カード番号の入力間違いを防止しています。

さらに、最近では、カードの磁気テープの情報を読み取る「スキミング」対策として、オンラインで決済する際、カード番号、名義、有効期限を入力したあと、さらにセキュリティコード(3〜4桁)の入力を求められます。

これにより、更なるカードの安全使用が促進されていますし、昨今ではクレジットカード自体にはカード番号は記載せず、専用アプリ等で管理するナンバーレスカードも登場しています。セキュリティ対策も進化していますが、まずはカードを紛失しないことが、最大のセキュリティですのでしっかりとカードを管理してください。

以上が、数字の不思議のほんの一端です。

数学は、知れば知るほどどんどんと深まっていきます。その頂には、到底辿り着けないほど深いものですが、解の無い問題は、問題としては存在しえないものであり、必ず問題には回答が存在します。

ミレニアム懸賞問題

最後に、ここで、現在最も難しい数学の問題を紹介して終わりたいと思います。
その問題とは、「ミレニアム懸賞問題」と言われるもので、以下の事について数学的に証明するものです。

1 ヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題 (Yang–Mills and Mass Gap)
2 リーマン予想 (Riemann Hypothesis)
3 P≠NP予想 (P vs NP Problem)
4 ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
                    (Navier–Stokes Equation)
5 ホッジ予想 (Hodge Conjecture)
6 ポアンカレ予想 (Poincaré Conjecture)
7 バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想
         (BSD予想、Birch and Swinnerton-Dyer Conjecture)

上記のいずれかを数学的に証明できれば、アメリカのクレイ数学研究所によって、100万ドル(2024年現在のレートで1億5,065万円)懸賞金が貰えます。

但し、ポアンカレ予想については、2002年から2003年にかけて、当時ステクロフ数学研究所に勤務していたロシア人数学者グリゴリー・ペレルマン氏が、ポアンカレ予想を証明したと主張し、2002年11月11日に論文をプレプリント投稿サイトとして有名なプレプリントサーバarXivで公表し、この証明が正しいことが認められています。但し、グリゴリー・ペレルマン氏は、数学の発展のためにこの問題を解いた答えており、懸賞金の受け取りには応じていません。

残る、6問については、未だ証明されておらず、これらのどの問題を解いても、数学及び科学的な発展に大いに寄与するものであり、ノーベル賞受賞レベルの問題となります。

但し、何故か、ノーベル賞には数学賞が存在していません。その理由としては、俗説ですが、ノーベル賞を設立したノーベルさんの恋敵が数学者であり、その数学者に自分のノーベル賞を受賞させないためとも言われています。

もしこれが真実であれば、雲の上の存在であるノーベル賞を少しは身近に感じさせてくれる話であると思いますが。


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