カミーユ・アンロ: 蛇を踏む Camille Henrot stepping on a Serpent. 東京オペラシティ アートギャラリー
Camille Henrot: stepping on a Serpent.
at Tokyo Opera City Art Gallery
今年、一番響いたキュレーションの展示。
日本でこのように鑑賞者と作品が対話して問いかけて、自分自身で答えを探す展示を持ってきた、オペラシティアートギャラリーのキュレーター 野村 しのぶさんの審美眼は本当に素晴らしい。日本にこのように世界で活躍するような展示が行える女性のキュレーターがいる事は誇らしいです。
恐らく、今を生きる多くの日本人は対話して問いかけに自分から答えを探して見つける展示は苦手であり、わかりやすい答えが提示してる展示を好むと感じます。どちらが優れているとか、良いとかありませんが現代アートはわかりやすいモノ、無意識のうちに認識してしまう現代社会に生きる我々は、そのように判断しがちな事は否めません。
しかし、それが正しいわけではないので無意識の判断という事を改めて認識して見たら、違って見えるモノは多いです。それをカミーユさんは我々に問いかけて、自分自身の核を突いてくる。
カミーユさんは展示を構成する段階から"貴方はどう思う?"、貴方ならどうする?"とキュレーターや花道を全面協力された草月流の方に投げかけ、対話しながら展示を構築していったと野村さんのお話からもわかる通り、空間を使った思考することを自然促すリサーチャーアートです。
つまり、思考しない場合は何も見えない。
情報→知識→教養までのプロセスを我々は本当に出来ているのか?今一度、考えて振り返る事は日本という国に生きる我々に必要なのかもしれないです。貴方は情報を自分から調べて、知識にする作業を大人になってもしているのか?知識から教養に発展させ他者へ問いかけられているのか?物質的な世界には教養はいらないかもしれませんが、見えないモノの世界では教養の在り方を常に考えないと見えてきません。
リサーチャーアート自体が認知されてない日本で素晴らしい展示が見れた事、リサーチャーアートを表現する私はとても勇気づけられました。
カミーユ アンロ Camille Henrot.
1978年パリ生まれ、ニューヨーク在住。
映像、彫刻、ドローイング、インスタレーションなど、さまざまなメディアを用いた作品制作で知られる。 その作品は、文学、神話、映画、人類学など多岐にわたり、固定観念や既存の知の体系をとらえ直そうとする鋭いまなざしにもとづく。2013年の第55回ヴェネチア・ビエンナーレの銀獅子賞を受賞。2018年にはパリのパレ・デ・トーキョー全館を使って個展を開催した史上3人目のアーティストとして注目を集めた。
カミーユ・アンロ|蛇を踏む Camille Henrot| 東京オペラシティ アートギャラリー HP
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