今日の私は、森を歩くのがお気に入り
12,021日目
この国に住み始めてから1年と数ヶ月、週末には森に行くことが増えた。
ルクセンブルクは山も海もないけれど、森だけはすぐそこにある。森を守る法律(Forest Law)があるとどこかで聞いた。たしかに、どんな場所に住んでいようとも10分も車を走らせれば森が広がっている。
昼になっても霧がかかったままだった先週末。
秋は終わって冬が近づいてくるのを感じる天気。
お気に入りの森に行ってきた。
ちょっともののけ姫のような世界感で、霧と相まってスピリチュアルな雰囲気が高まる。
落ち葉が道いっぱいに広がっている。カサカサとなるもの、しっとり湿っているもの…音もいろいろ。
さらには落ち葉の下にある柔らかい土のクッションを足の裏で感じる。包まれる。
あまり決めずに気持ちの赴くままに歩く。
"ちょっとこっち行ってみようよ"って小道に入っていくことがワクワクして楽しい。
けれど、入った道が徐々に道ではなくなってしまい、30分程度の大冒険に。
”元の道を引き返したくないな”、”これがどこの小道に繋がっていてほしい”という想いが…どっちを向いているのかもわからない迷子になってしまった。
粘土質の灰色の土を通ったり、一面に直接肌で触れるとかゆくなるnettle (西洋イラクサ)が広がっていたり…斜面を登っては降りて…
どうやったのかはわからないけれど、気が付いたら元の道に戻ってきた。
斜面を登るときに落ち葉と地面についたので、乾いた土でカサカサする手。泥で汚れてしまったズボンの裾。
振り返るとリスク管理がなっていないものの、まだどうにかなるさと笑いながら進んで切り拓いていったあの時間は無邪気で心から楽しい。
森で人とすれ違うと挨拶を交わすのもいいな、と思う部分。
どんな国から来た人で家族、仕事もわからないけれど、今日この森に来ているという共通点だけがあり、声を掛け合う。
束の間だけれど、急がず森で時間を贅沢に使っている平和や穏やかさをふと共有しあうような瞬間。
”森を歩く”こと。五感が喜び、好奇心・無邪気さがあふれ、そこにいる連帯感が生まれる。
お気に入りの時間。