ゆーやさんに本気を出される 前編
某年月日、ゆーやさんと将棋を指した。
そうしたら、斬新な構想になり作戦負けになり、序盤で将棋は終わってしまい、中盤は私の勝負手にも負けずに手堅く指され、終盤においては読み負けるという結果になった。
つまり、ゆーやさんに力を発揮され、手合い違いのような負けを喫した。
そこで、今回はその対局を振り返ってみたい。
まずは、下の図面をご覧いただきたい。
なお、先手はゆーやさん、後手は私である。
ここは先手であるゆーやさんが▲2六歩と突いた場面である。
私はゆーやさんの角換わりが怖かったので△3四歩と突いた。
以下、▲2五歩△3三角▲7六歩△4四歩とし、▲4八銀に△4二飛(下の図参照)とする。
狙いはこちらの四間飛車穴熊。
言い換えれば、「固めてポン」である。
私は四間飛車穴熊に組めるだろうと思っていた。
しかし、将棋はゆーやさんの緻密な研究により思わぬ方向に進むことになる。
(下の図参照)はゆーやさんが▲6六角と上がった局面。
これは、△4二飛から▲6八玉△6二玉▲9六歩△7二玉▲6六角と進んだ局面である。
私は「角田流穴熊対策を使ってきたな」と思う。
そして、「これは穴熊に組むと一気につぶされてしまうな」とも。
そこで、穴熊一直線はやめようと考える。
また、同時に「△8二玉は▲9五歩から角田流がさく裂して負ける。△9四歩は端棒銀にされてこれまた負ける。だから△9四歩や△8二玉は避けよう」と無意識に思ってしまう。
ただ、それは考えすぎであった。
堂々と△9四歩~△8二玉と指せばよかったと思う。
角田流はさておき、逆棒銀まで恐れるのはやりすぎであった。
なお、私がこの思考に縛られた結果、将棋このあと十数手で終わりになる。
さて、私は△3二銀と指した。
損のない手である。
そして、ゆーやさんの▲7八玉に△4三銀と指した。
これまた損のない手である。
そして、ゆーやさんは▲5六歩(下の図参照)と指した。
私は△5四銀と指したが、これは疑問だったと思う。
素直に△9四歩と指すべきだった。
ここでも、「△9四歩は逆棒銀、△8二玉は角田流で負けだから、この2手はさせない」という思考に縛られていたと言える。
さて、△5四銀という手は次に△6五銀があるのでこれを受けなければならない。
ゆーやさんは▲7七桂と受けた。
私はこれを見て、これは「旧型ミレニアムになったかな」と思う。
そして、旧型ミレニアムに対して急戦を挑もうと考える。
しかし、玉が7二にいるのに6筋から急戦を挑もうとはなかなか無謀である。
やはりここでも「△9四歩は逆棒銀、△8二玉は角田流で負け」という思考に縛られている。
△9四歩と手を戻して、通常のミレニアムを相手にすればよかった。
さて、ゆーやさんの▲7七桂に対して私は△5二金左と指す。
そして、以下、▲8九玉に私は△6四歩(下の図参照)と突く。
もちろん、狙いは△6五歩である。
これに対する次のゆーやさんの手に私はびっくりした。
▲5七銀である。
私は△6五歩に▲5七角の余地を残すため、▲5七銀はないと思っていた。
そこを▲5七銀とされているので、△6五歩を誘われている気がした。
実際、私は△6五歩と突く。
そして、以下、▲7五角△4五歩▲8八銀△6三金(下の図参照)と進んだ。
私はこの手の辺りでは手ごたえを感じていた。
次に△7四歩から角をいじめればよい。
角が引っ込めば角田流も端棒銀もなくなるので玉も囲える、と。
しかし、ゆーやさんはそんなことを考えず、ある狙いを持っていた。
そして、次の1手でその狙いは実現し、将棋は終わる。
もしよかったら、次の1手を考えてみてもらいたい。
ゆーやさんの次の1手は▲6八飛であった(次図参照)。
事実上、この手で将棋は終わった。
上の図を見てほしい。
6八の飛車、7五の角、5七の銀、7七の桂馬という先手の攻め駒が6筋に集中している。
そして、▲6六歩から歩を交換し、6四に歩を叩き、銀を交換して6三に打ち込み、ひたすらお替わりをするという簡単かつ確実な攻めがある。
しかも、私の王様の位置は7二におり、争点に近い。
また、9四歩と突いていない私の王様は非常に狭い。
また、相手の王様の位置が遠い。
通常の対振り急戦においては王様は7八にいるため流れ弾をあてにいくことができる。
しかし、今回の相手の王様は8九、一路の差は大きい。
ちなみに、局後聴いたところによると、ゆーやさんはこれを最初から狙っていたらしい。
つまり、私はゆーやさんの研究にはまったことになる。
▲6六角から△9四歩と△8二玉を心理的に封じ、その後、ミレニアムを見せて私に無駄手を誘い、その間に6筋に攻めを集中する。
心理面の揺さぶりも考慮すれば、さすがゆーやさんというところである。
え、、、じゃなかった、心理術パフォーマーの面目躍如と言ったところである。
と、見事な指し回しを見せられ、私は投了しようかと考える。
それくらい私はゆーやさんの掌で踊らされていたと考えていたのである。
しかし、私のゆーやさんのこれまでの対戦成績は私の9連勝。
投げるには惜しい。
そこで、見苦しくも指し続けることにした。
ただし、これからもゆーやさんの鋭い手は続き、私は指し続けたことをめちゃくちゃ後悔する羽目になるわけだが。
さて、これまででだいぶ分量が多くなってしまった。
というわけで、今回はこの辺で終わりとし、残りは次回以降にしたいと思う。
では、今回はこの辺で。
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