東京大学将棋部員に将棋を教わる 前編

 11月23日の駒場祭に行ったときのこと。


 私が駒場祭に行った目的は、

東京大学麻雀サークル白の模擬雀荘を見に行くこと
東大生協へ行って東大のグッズを堪能すること

にあった。
 それぞれそこそこ目的を達成し、私は駒場祭を堪能することができた。


 ところで、天鳳@駒場(サークル白が出展している模擬雀荘)と同じ部屋で、東京大学将棋部の方々が出展をされていた。
 そこで、そちらに顔を出してみた。

 ここでは、東大将棋部の方々と将棋が指せるようである。
 将棋盤と将棋を指している人々を見ていて、久々に1局将棋を指したくなってみた。
 そこで、指導対局を申し込むことにした。


 最初に悩んだのが手合いである。
 一応、私は東京大学将棋部のOBということになっている(部の機関紙「銀杏の駒音」の名簿には私の名前が入っている)。
 しかし、私は人と将棋を指すのはn年ぶりである。
 ぴよ将棋とは2枚落ちの下手を指しているものの、人と指すのは超久しぶりであった。

 また、相手は天下に名だたる東京大学将棋部員。
 明らかに格上である。
 平手では到底勝負になるまい。

 というわけで、駒落ちでの対局をお願いすることにした。
 しかし、角落ち、飛車落ちでは定跡を知らないので力将棋になってしまい駒落ちを選ぶ意味がない。
 そこで、定跡をよく知っている2枚落ちで教わることにした。


 さて、対局を始めるときは全く自信がなかった。
 定跡は知っているが、途中で誤魔化されて勝負にならないだろう、と。
 しかし、ふたを開けてみたら予想外の展開になった。


 さて、対局を振り返ってみたい。
 私は2枚落ちの銀多伝定跡を採用した。
 私が2枚落ちを指す場合に決めている定跡である。
 そして、まず悩んだのが第1図であった。

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(第1図は△3二金まで)

 ここでは▲3六歩と指すのが定跡である。
 しかし、この場合、△5五歩と指されて有名な裏定跡「△5五歩止め」にされるのが気になる。
 私は「△5五歩止め」に関する知識はなく、それでは2枚落ちにした意味がない。
 そこで、私は▲5六歩として「△5五歩止め」を阻止することにした。

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(第2図は▲5六歩まで)

 その後は、銀多伝を志向し、第3図を迎えていた。

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(第3図は△7六金まで)

 私が知っている銀多伝定跡と違うのは、

私の駒台に歩が1枚乗っており、相手の7筋の歩が切れていること
相手の左金が4二にいること

である。

 私の駒台に歩が1枚乗っているのは、相手の人が7筋の歩を交換したからである。
 相手からすれば7筋に歩が打てるようにした代わりに私の駒台に歩が乗ったことになる。
 それが得になるか損になるかは微妙なようである。
 本譜では私に得になったが。

 また、相手の金が4二にいる。
 もちろん、最初は私が3筋の位を取ったことにより、相手の左銀を2二に、左金を3二にくぎづけにした。
 ただ、その後、相手の人が△2四歩~△2三銀と▲3四歩を受け、その後、△4二金と左金を寄せた。
 これにより5筋の防御力が高まっている。


 私はここで聴講に、ではなく、長考に入り、攻めの構想を練った。
 仕掛けはもちろん▲5五歩から。
 問題は「その前に▲2五歩を入れるか」である。
 ▲2五歩と入れれば、△同歩には▲2二歩と打って桂馬が取れる。
 さすがに、この状態では上手は暴れられないので、△同歩とは取れないだろう。
 とすれば、△3二金と受けざるを得ない。
 こうすれば、左金を5筋から引き離すことができ、十分な成果となる。
 というわけで、私は▲2五歩と突いた。
 相手の人は△3二金と金を寄せ、私がポイントを稼いだ。

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(第4図は△3二金まで)

 ここで再び私は悩んだ。
 もちろん、全面攻撃の発端は▲5五歩である。
 問題は▲2四歩△同銀の交換を入れるか。

 これはあまり悩まなかった。
 ▲2四歩△同銀の交換を入れれば、一歩手に入る上、相手の左銀が浮く。
 私は▲2四歩と取り、相手の人は△同銀と取った。

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(第5図は△2四同銀まで)

 あとは攻めるのみである。
 私は▲5五歩と仕掛け、以下△同歩▲同銀と進み、相手の△5四歩に▲同銀と前に突っ込んだ。

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(第6図は▲5四同銀まで)

 最初に銀損するが、あとで▲5五歩で銀を取り返すことができるので攻めが成立するようである。
 相手の人は△同銀と取り、私は▲5五歩と打って銀を取り返しに行く。

 ここで△5八歩▲同飛△6九銀があり、私はその対応をメインで読んでいたが、以下▲5六飛△7八銀成▲5四歩△8八成銀▲5三歩成とと金を作って勝負になると思っていた。
 ま、これで負けたら地力がなかったと思って諦めるしかない、そんな感じで飛び込んでいった。
 それが案外よかったかもしれない。

 さて、私の▲5五歩に対して相手の人は△6六歩と紛れを求めてきた。

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(第7図は△6六歩まで)

 この手は意外であった。
 しかし、次に△6七歩成とされるとやっかいであり、攻めを急かされていると言える。
 私はここでまた長考を余儀なくされた。

 メインの読みは一直線に切りあって勝てるかどうか。
 つまり、▲5四歩△6七歩成▲5三歩成と攻めあう手順。
 これは王様を上部に逃がさなければなんとかなりそうである。
 ただ、あまり自信がなかった。

 しかし、5筋にと金を作って飛車がさばければなんとなかなると思った私は▲5四歩と踏み込むことにした。
 これで負ければしょうがないということで。
 それに対して、相手の人は△5二歩と受けてきた。

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(第8図は△5二歩まで)

 とりあえず銀交換に成功し、こちらの主張は通った感じか。
 しかし、△6七歩成は依然残っており、こちらは忙しい。
 私は次の1手を慎重に考えた。


 この続きは次回に回したいと思います。
 よろしければ、私の指した次の1手を考えてみてください。


 では、今回はこの辺で。

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