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山あり谷あり新聞奨学生体験記 Part 28「店長が変わり、負のスパイラルに」

夏休み直前に、オーナーの命令により本店の店長が変わりました。本店の顧客が減少し、テコ入れのためだそうです。
新たに店長になったのは、よく店に来ていた拡張員です。

それまでの店長は、オーナーの息子でした。息子を解任するなんて、店の経営にかなりやきもきしていたのでしょう。

拡張員とは、新聞の顧客の拡張を生業とした人のことです。ほとんどの人は新聞社や新聞販売店とは別の組織で新聞の訪問勧誘を行う拡張団という団体に所属しています。

拡張員は私からすると、凄くクセのある人が多かったような気がします。
架空の契約をする人が結構いました。月末になると、いつも新規契約者のリストを渡されます。そして翌月1日から配達すると店舗に連絡があったり、ポストに「契約していないので新聞を入れないで下さい」というような貼り紙があったりして、架空の契約書を店に渡している人が時々いました。

拡張員は契約を上げてナンボな仕事なので、契約が取れない時はなんとしてでも契約をあげてきます。架空の契約をして報酬をもらって雲隠れをしたりして、音信不通になる人も多かったようです。

新聞販売店は拡張員を訴える事は出来るはずですが、後ろめたい事が沢山あるので訴える事が出来ません。
新聞を販売する際の景品類の上限が定められていて、例えば契約に際してお渡しする景品は、購読料(最大6か月)の8%が上限になります。
景品やサービスで、1年契約で3ヶ月無料とか商品券とかプロ野球のチケットなどを渡していたので、ルール違反が横行していました。

私の担当区域でも何度か架空契約を上げられた事があり、代わりに謝罪することもあり、色々と迷惑を掛けられました。
そして、契約に関する事だけならまだしも、私が留守中に勝手に私の部屋に入られたり、夕食のおかずを勝手に食べられたりして、本当に迷惑でした。金品を盗られた事はありませんでしたが、人のいない時にソファーに座ってタバコを吸われたり漫画を読まれたりして気分が悪かったです。

色々と足を引っ張られたり嫌な気分を味あわせられたりしたので、拡張員に対しては良い印象はありませんでした。

店長に任命された人は、契約を沢山上げていた人でした。見た目が少し怖い感じの人で言葉遣いも荒い人だったので、あまり良い印象はありませんでした。

この店長になると、店の雰囲気がガラッと変わりました。専業員は毎日朝刊、夕刊がありますが、それに加えて毎日拡張(営業)に行かなければならなくなりました。
これは店長が外部の拡張員を店に出入りさせないようにしました。自分も拡張員なので、「他の拡張員が契約を上げてくると気分が悪かったのでは」、と多くの従業員は言っていました。

拡張を義務付けられ、毎日11時に出社しなければならなくなりました。専業員は配達の他にも仕事があったので、大変そうでした。

そして、折込業務の専属の社員が店長のやり方についていけず退職することになりました。凄く忙しい日が続き、知り合いに数日間応援に入ってもらいたく店長に言うと、首を縦に振らなかったそうです。
専業員に手伝ってもらいたくても店長は許可しなかったそうです。
毎日、本当に忙しそうでした。
そして鬱憤が溜まってしまい、退職してしまいました。

1人辞めてしまうと、毎日忙しくなったそうです。人手が足りなくなると奨学生が夕刊配達後に手伝いに行くことが多くなり、みんなストレスが溜まっていきました。
集金のある日は忙しかったです。20時に配達が終わり、夕食を食べて折込業務に入り、終わるのが22時頃になることもありました。学生は昼間は学校があるので、休憩できる時間がなく、忙しかったです。

結局、店では多くの従業員のストレスが噴出して顧客数も上がらず、店長が変わった結果、一層店の雰囲気が悪くなりました。
店長は半年くらいで解任されました。拡張員としての成績は優秀でしたが、店長として人をまとめる統率力にはかなり欠けていたようです。

その後、オーナーの息子がまた店長にもどりました。この店長もパワハラ行為をしていましたが、拡張員店長に比べたら少しマシでした。

卒業まであと数ヶ月だったので、それまで我慢しようと思いました。


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