山あり谷あり新聞奨学生体験記 Part 16「事故に遭う」
朝刊配達中に事故に逢いました。配達が3分の2くらい終えた頃、住宅地をカブで走行中、T字路を左折する時にスクーターと正面衝突しました。
私は普通に左側を走行していましたが、相手側は逆走して右折し、左折する私と出会い頭にぶつかりました。ぶつかった時、互いの頭がぶつかりました。
そして、ぶつかった拍子に転倒しました。
相手側も転倒し、右足を抑えていました。膝をスクーターにぶつけたようです。
突然の事で頭が真っ白になり、しばらく呆然としてしまいました。相手は男子高校生でした。
「すみません、すみません」と何度も言われました。自分が悪いと実感していたようです。
とにかくこの状態をどうにかしようと思い、まず、公衆電話を探し、警察に電話しました。当時は携帯電話を所有している人はごく僅かの人だったので、私も持っていませんでした。
突然のアクシデントで私はイライラしていました。早く終わってゆっくりしようと思っていたので、予定は丸つぶれになってしまいました。
警察に電話した後、店に電話しました。そして店から社員に連絡を取ってもらいました。
約10分後、警察が来ました。そして、現場検証が行われました。双方とも事情を詳しく話しました。相手は逆走したことについて警察官から怒られていました。
どうやら、普段配達をしている時には他の車やバイクを見ることはないので、頻繁に逆走していたそうです。
現場検証をしている頃に社員が来ました。そして、加害者と話をして、加害者の名前と連絡先を聞いていました。その後の対応を私を通さず、店が加害者と連絡を取ってくれることになりました。
現場検証の結果、相手の危険運転が原因ということで過失割合は10対0となりました。私は被害者になったので、免許の点数には加算されずに済みました。
しばらくすると、奨学生の先輩と同期生がやって来ました。カブは前カゴが歪んで新聞を入れられなくなってしまい、カバーも破損してしまいました。そのため、同期生が乗ってきたカブに新聞を積み替え、私のカブと交換してくれました。
結局、この事故で配達が40分遅れてしまいました。途中、遭遇した読者に「遅い!」とクレームを言われましたが、事故に遭った事を言っても言い訳に思われるかもしれないので、ただひたすら平謝りしました。
この日は土曜日で、学校が休みでした。土曜日は休日の人が多いので、比較的ゆっくり配達が出来ます。
それから、事故に遭った気分だと学校に行く気にはならなかったと思います。
不幸中の幸いだったかもしれません。
社員はその日のうちに、加害者男子高校生の家に電話をかけました。そして、母親と話をしたそうです。
すると母親は泣きながら「全て医療費をお支払いします。バイクの修理代も全部負担します。」と言ってきたそうです。
男子高校生の学校はアルバイトを禁止されていて、更に原付免許取得も禁止されていたそうです。これが学校にバレてしまうと謹慎若しくは停学になり、大学入試で推薦入試が出来なくなる可能性が高くなってしまいます。
私に怪我はありませんでした。病院で診てもらっても異常はありませんでした。
男子高校生は、右膝を打撲したそうです。
この日の夕刊以降は、しばらく代車で配達しました。そして、翌週の月曜日の夕刊配達終了後にバイク屋さんに行って修理を依頼しました。
修理は、前カゴ、ライト、カバーそしてミラーの交換でした。カバーは元々ヒビが入っていたので事故で新しいものに交換してもらえて少しラッキーでした。
あの時、もしもヘルメットを被っていなかったら、頭蓋骨骨折などをして、脳に大きな障害を負っていたかもしれません。そして、相手もヘルメットを被っていなかったら同じことになっていた可能性は大きかったし、私は被害者だとしても相手が大きな傷を負ったことでトラウマになっていたと思います。
2ヶ月後、朝刊配達中に男子高校生が配達しているのを見かけました。その時は自転車に乗って配達していました。社員が母親から聞いた所によりますと、彼のスクーターは全面が大きく破損していて、修理代が高くついたそうです。そしてスクーター使用禁止にさせたそうです。
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