もう愛することは辞めようと思います
もう3年経ちましたが、まだせんせいのことが忘れられません。恋愛とか、そういう感情じゃなくて、わたしの根底にせんせいの存在がずっとあって、太くて長い根っこになって、もう抜けないと思います。せんせいの言葉は、ままも、精神科のせんせいもくれなかった、わたしだけの、特別な言葉です。本心じゃなくてもいいです。口からでまかせでもいい。思ってなくてもいいです。せんせいがわたしにくれた膨大な時間は、嘘じゃないからです。ただの一生徒でいいんです。自傷癖があって、鬱病で、変わり者の生徒がいたってこと、ずっと覚えててくれればいいな。
3年経って、もうせんせいのことを思い出す日もかなり少なくなりました。1年の時は、毎晩わたしたちの会話の録音を聴いて寝ていました。それを聴かないと眠れませんでした。いつから聴かなくても眠れるようになったのか、忘れました。せんせいよりももっと愛さなくてはいけない存在ができて、わたしはその子に夢中なので、せんせいばかりに構っていられません。だから、もうせんせいのことをなにかに書き出すのはこれで最後にしたいです。わたしの最期です。
さっき、本当に久しぶりにせんせいとわたしの会話の録音を聴きました。せんせいの声はわたしの記憶と何一つ変わりなくて、少し低くて、カサついてて、でも可愛くて、わたしが世界でいちばんだいすきな声です。抑揚も好きです。方言も、感情がこもりやすい所もだいすきです。他の生徒に囲まれてるのに、わたしを見つけてこっちに来てくれたこととか、何故かわたしの背中を使って日誌書くとことか、いるかもわかんないのに多分いる気がしたから、と言って毎日好きでもない図書館に来てくれたこととか、ぜんぶ、ぜんぶぜんぶぜんぶだいすきです。リストカットして、その跡が見つかってしまった時、せんせいがおるから、もう切らんくていいんやよ、と言ってくれたこと、わたしの下駄箱に放課後いつもの場所で待ってるよ、って手紙を置いてくれたこと、授業中わたしのことを話題に出した時の、あのニヤッとした視線、ぎゅーしてくれたこと・・・。ひとつ思い出したらどんどん思い出してきて、せんせいのことやっぱりまだ好きだなってなっちゃう。辞めるって決めたのに、意思が弱いわたし。でも、これで辞めます。せんせいのこと、ずっとずっとだいすきなまま、サヨウナラして、心のずーーーっと奥に、大事に大事に飾っておきます。また会えるといいな。大好き。
最期の愛をたくさん込めて。