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「偶然って面白い!」


 5年前、鹿児島医療センターに入院していたときの日記より。

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 2019年1月23日(水)
 入院先の売店で退屈凌ぎに買った本の中に、このような記述があった。

 Q.「ご自分が野球選手だったとしたら、どのポジションだったと思いますか?」
 A.「僕は二塁手に興味があります。」(以下省略)

 その部分を読んでから2、3時間後、バイタルチェックに来た看護師さんとの雑談。

 「運動は得意じゃなさそうだよね?」

 「でも私、運動部だったんですよ」

 「へぇ~、そうなの? 意外! 何部だったの?」

 「野球部です」

 「野球部! なんか想像できないなぁ。で、ポジションは?」

 「セカンドです。」

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  1月24日(木)

 入院中に売店で買った文庫本が2冊。

 ①『わたしの容れもの』/角田光代
 ②『村上さんのところ』/村上春樹

 たまたま同じ日に、それぞれ漫画について触れた一編を目にした。

 角田さんが書いていたのは、加齢とともに漫画を読むのがしんどくなってきたというもの。若いころは、読むのが楽だと思っていたが、絵と文字を同時に見るには、それ相応の能力や体力がいることに気づかされたと。

 方や村上さんのQ&Aには、こんなことが掛かれていた。

 Q.漫画やアニメを観ないと仰っているのはなぜですか?
 A.残念ながら、人生の持ち時間にはそれぞれ限りがあります。
    決して漫画やアニメを軽く見ているわけではありません。
    若い頃はわりに熱心に漫画やアニメを見ていました。

 この2編を同じ日に読んで、面白い偶然だと思っていた。

 その後、食堂でテレビを見ていたときに、横にいた同室の患者さんの口から、こんな声が聞こえてきた。

 「娘が漫画ばっかり読んでるもんだから、たまには本でも読んでみたらどうかって言ったんです。そしたら、今の漫画って、色んな情報が盛り込まれてるんですねぇ。漫画から得た知識で、けっこう色んなこと知ってるんですよ」

 ん? さっき読んだ本の続き?

 ちなみに、その患者さん、僕と同じ町に住んでいて(最近引っ越してきたそうです)、高校卒業後、関東に移動したという点でも僕と共通していた。

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