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「マンモスは、なぜ永久凍土の中から発見されるのか?」
シベリアの永久凍土の中から氷漬けのマンモスが発見されたことは、多くの人が知っていると思う。
このことから、マンモスがツンドラの中で、寒さに耐えて生きていたと思っている人もいるかも知れない。
しかし、草食動物のマンモス像が、あれだけの巨体を維持しつつ生き長らえるには、植物の生い茂る環境でなければ無理なのであり、実際、マンモスが亜熱帯に生息していたことは、皮脂腺が無いことや胃の内容物から、学術的に結論付けられている。
そのマンモスが、突然氷漬けになったのはなぜなのか?
そんな疑問に対する答えのひとつとして提唱されたのが、ヒュー・オーチンクロス・ブラウンによる「極移動氷冠起因説」。
南極の氷は溶けることがないので、その量は増える一方であり、それがある量を超えると、地球の自転がそれまでのバランスを損ない、南極の氷が遠心力で赤道方向に傾くというもの。
8千年に1度その現象が起こり、それによって、亜熱帯に生息していたマンモスが、突如、極寒の中に放り込まれ、そのまま氷漬けになったというわけだ。
その8千年に1度の大異変が近づいており、壊滅的な環境の激変を避けるために、南極の氷を破壊しなければならないと説き、ブラウンは、その運動に一生を費やした。
その後、この説は、化学的に無理があることが明らかになるわけだが、ヒュー・オーチンクロス・ブラウンのユニークな人生が、彼の人間性に対しての想像力をかきたてる。
その話を本で読んで知ったのは、確か自分が30代前半だった頃だと思う。
その本は、誰かに貸したまま、永久の旅に出てしまい、従って、ブラウンに関するプロフィールも、今ではよく分からなくなってしまった。
昨日、なんとなく聞いていたラジオで、作家の立松和平さんが南極での体験記を話していて、ふとブラウンのことを思い出し、検索してみたのだが、彼に関する情報は見つからなかった。