「不思議な夢」20 12 17
どこかの大学の演劇部の発表舞台に、数名の若い役者と共に立っている。何故だかはわからない。突然舞台に立っている。
誰もが知らない顔ばかり。台本さえも見ていない。
全員、どう動いてよいのか分からず、ただ突っ立ったまま固まっている。
ふと肩の力が抜ける。
自分ひとりがその硬直状態から放たれ、右後方に立っている女性の役者に歩み寄り、そして耳打ちする。
「自由にやろうよ」
そう言った後、僕はひとりで宙を飛ぶ。
通路を超高速ですり抜ける。そして楽屋を探す。
しかし楽屋は見つからず、どういうわけか、自宅に辿り着いてしまう。
そこは自宅のはずなのに、中は空っぽの見知らぬ空間であり、間取りもよく分からない。
トイレが見えてきた。だが、使えない状態だ。使えないというより、未完成で、まだトイレの体を成していない。
構造不明の大きな校舎のような建造物の中に出た。僕は相変わらず飛び回っている。
気が付くと、両手に額縁に入ったレリーフ作品を持っている。彩色された抽象的な芸術作品。それを持ったまま飛び続け、建物の端のベランダに辿り着く。
そこから、地上を目指して飛び出す。
ふわふわと宙を舞い、体はゆっくりと地上に向かって降りてゆく。
着地すると、そこは駐車場。軽乗用車が僕を待っていた。
運転席に、聡明な瞳を持つ若く美しい女性が乗っている。僕は助手席ではなく後部席に乗り込んだ。万が一目撃された場合、変な誤解をされたくなかったからだ。
乗り込んでから気づいた。車の中で待っていたのは、さっき舞台で僕の右後方に立っていた女性だ。
凍り付いていた舞台で、時間が流れ出していたようだ。
手にした芸術作品を顧客に届けなくてはならない。
この素晴らしい作品を、客は心待ちにしている。
待たせてはいけない。
早くしなければ・・・
余裕のない気持ちで目的地へと向かう。
車は夢の中から現実空間へと向かい始め、そのまま覚醒。
目覚めたときには、光に満ちた幸福感に包まれていた。