![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124891445/rectangle_large_type_2_38a307de597ff573998aa6d2cae05b2e.png?width=1200)
「真説 うさぎとかめ」
~ 前略 ~
先を行くうさぎに追いつこうと、かめさんは短い脚をバタつかせ、えっちらおっちらと進んでゆくと、眠っているうさぎさんの姿が見えてきました。
「しめた! うさぎさん、油断してるぞ! もしかすると勝てるかもしれない!」
かめさんは、嬉々として速度をあげました。
彼の体にはセロトニンとドーパミンが満ち溢れ、今まで池の周辺では体験したことのない心地良い風を全身に受け、生まれて初めての充実感を覚えつつ、喜びにうち震えながら山のふもとを目指して頑張りました。
ところが、しばらくすると喉がカラカラに渇いてきました。
二ホンガメの本来の生息地は、河や池などの水辺であるため、たちまち脱水状態に陥ったのです。
「これはいかん! 水から離れ過ぎたようだ」
命の危険を感じ、勝負を放棄して池に引き返そうとしましたが、体力を消耗し切ってしまい、朦朧としてくる意識の中で、うさぎさんと仲良くしておけば良かったと後悔したのですが、気づくのが少し遅すぎたようです。
翌日、ある村人が、道端で動かなくなっているカメを発見しました。
「なんでこんなところにカメが?」
その姿を見て、首をひねるばかりでした。
一方のうさぎさん。
小動物が無防備にも真昼間から眠りこけていたので、たちまち鷹に発見され、格好の餌食となってしまい、誰にも気づかれずに一生を終えたのでした。
「これは寝すぎたしくじった!」
と後悔しましたが、時すでに遅し。
なんともお間抜けで、あまりにも悲しい結末を迎えてしまったのですが・・・、
― 他者を馬鹿にしたり、くだらないちょっかいを聞き流すこともできずに、何の準備もなく無謀な企てに身を任せてしまうと、命を落とすことにもなりかねない。 ー
そんな戒めとして、後世にまで語り継がれることになったということです。
※その後、この話は子供向けに毒気を抜いて改編され、おとぎ話として現在に伝わっているということです。
これ、全部嘘だよん!