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「開聞岳を見たくて」

 鹿児島にUターンして最初の数年は、故郷鹿児島のここかしこに懐かしさを感じ、カメラを手にしてよく出歩いたものだ。

 2007年4月29日、今から17年と半年前の日記に、開聞岳を撮影した写真が12枚添えられていた。

 その中から、2枚をご紹介。


 開聞岳の写真といえば、晴天の下、青い海の輝きと緑に包まれた山容が映し出されたものをよく目にするが、曇り空の下で、暗めの色彩と海の輝きを捉えたこのような写真もまた違った風情で良いと、我ながら思う。

 そして、この日からわずか9日後の5月8日にも、ふたたび同じ場所を訪れ、このように記している。

  ***  ***  ***

 先月末に行ってきたばかりの長崎鼻に、今日もまた行ってきた。

 あの日は、薄曇だったが、今日は快晴。
 沈み行く夕陽を背にした開聞岳を見たかった。

 波音に包まれ、刻々と変化してゆく情景を暗くなるまで見ていた。




 この頃は、まだ50代になったばかり。
 病院通いの現在と違って、体調も万全で、今では絶ってしまった焼酎を存分に楽しんでいたし、「開聞岳を見たい」という、ただそれだけの理由で、薩摩半島の最南端まで気楽に車を走らせたりもした。

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