「農産物直売所にて ~ 16年前の日記より」
一昨日、伊集院方面に行った帰りに、県道206号線と210号線が交差する地点、伊集院町竹之山にあるチェスト館に寄ってみた。
以前から、たまにそこを通るたびに、広い駐車スペースを備えたその建物を見かけることはあったが、それがどんな施設なのかは知らなかった。何となく気になって立ち寄ってみると、周辺地域で取れた野菜やら、主婦手作りのお菓子などが、安く販売されていたので、大きなレジ袋に入りきれないほど買ったのに総額400円。
さらに鹿児島市方面へ向かうと、畑に隣接した直売小屋が点在している。その中の一軒についでに寄ってみることにした。
形の悪い大根が2本100円とか、小ぶりの白菜2玉で120円とか、これまた随分安いので買うことにした。
70代後半ぐらいの女性二人。そのうちの一人に代金を渡しながら声をかける。
「今日は暖かくていいですね」
「そうだねぇ。夏は暑くて大変だし、冬は寒くて大変だしねぇ。今日は暖かいからいいけどねぇ。どっから来られたの?」
「鹿児島市内に住んでますけど、こんなに安く売ってないですよ」
「そうでしょう。安いでしょう」
そんななんでもない言葉の遣り取りに心が和む。
お二人で笑顔を浮かべて歓談する姿が楽しそうだったので「写真撮らしてください」とレンズを向けると、途端に恥ずかしそうにうつむき、1人は腰をあげてそそくさと移動してしまった。(それが実に可愛かった)。
チェスト館のそばだったので、日置市かと思っていたが、道標に「犬迫町」の文字。鹿児島市のはずれだった。
今までとちょっと違った側面を見ることができて、ふるさと鹿児島がますます好きになってしまった。
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※ この頃は、鹿児島にUターンしてまだ3、4年。お国言葉も懐かしく、ふるさとのぬくもりをあちらこちらと探し回る日々でした。今では、そのことすらも懐かしく、日記を読み返してほっこりしています。
マイカーを運転し、長野県から時間をかけて我が家にたどり着いた夜、玄関で出迎えてくれた両親の笑顔が、昨日のことのように思い出されます。
あれから、今年で20年。ということは、あと4年で、当時の母の年齢に達することになります。
まさに「光陰矢の如し」です。
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