好きな人とのハグは、ストレスの3分の1を軽減できるらしい。 大好きな大好きな人は今いちばん苦しんでいるのに私はここから動けずにいる。 今すぐ駆け出して、海なんて飛び越えて、 ぎゅーってしたいのに。 文字だけで彼の苦しみを癒すことなんてできない。 私はそんなに大きなことばの力を持っていない。 間に合わせのことばたちが虚しく漂う。 私のことばはどうして、こんなに無力なのだろう。 こんなときのために、ことばを学んできたのではなかろうか。
足りない。足りないよ、何も足りていない。 文字も言葉も気持ちも 時間も場所も足りなくなって溢れ出して、 なにかを残したくなった 名もない人たちのやり場のない気持ちが 名乗るほどじゃない人たちの叫ぶほどの想いが 「詠み人知らず」の歌と重なって いつかの何某として どこそこの誰かしらに届く言葉を 残したくなった どこかのいつかの誰かへ どこかのいつかの私へ ここの今の私より。
