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最近ハマっている作家
深緑野分が面白い。ずぶずぶと、ゆっくり確実にハマっていくのが分かる。
先日、今年5月に出た作品集『空想の海』を読んだ。
短編ばかりだったのもあり、あっという間に読めてしまう。
突飛なアイデアなのに、空中分解せずにまとまっていて、なのに小さく収まってない。十割そばみたいなものだ。
そば自体は馴染みがあるけど、十割そばとなると高い技術が必要だ。
ただし、エンタメ作家なので、純文学系が好きな人は苦手かもしれない。
純文学は、私には創作料理みたいなもので、一定のレベル以上は技術だけではどうにもならないような気がする。
私は純文学が嫌いではないけど、好きかと言われると答え方に悩む。
普段あまり“作家読み”をしない私が、久しぶりに“作家読み”をしている。
はたと立ち止まって、どんな部分にハマっているのかと考えてみた。
おそらくだけど、深緑野分は読書家というか本好きだと思われる。
そして何より物語が好きだという部分を、隠さずに見せてくれるところが、私には好感が持てる。
本好きが本好きのために書いたような物語が、
『この本を盗む者は』だ。
短編でもいい、長編でもいい。
本好きのあなたなら、物語好きのあなたなら、
私同様好きになるかもしれない。
でも、ちょっと好きだと声高に言いにくい作家でもあったりする。
理由はないけど。
七緒よう
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