【日記】飲む、読む、読む、読む、読む
今日も紅茶が冷めるまで、つらつらと日記を綴ろうと思う。
本日のお茶はTEA PONDさんの「ダージリンセカンドフラッシュ マーガレッツホープ茶園」です。
セカンドフラッシュって何?というと、夏に摘まれたお茶ってことです。他にもファーストフラッシュ(春摘み)、オータムナル(秋摘み)があります。ファーストフラッシュは黄色がかった水色に繊細な香り、オータムナルは濃い紅色にコクたっぷりの厚みのある味わいが特徴。セカンドフラッシュはその中間というイメージですが、繊細な香りと所謂「紅茶」らしい鮮やかに広がる味わいは、宛ら芸術品のようですらあります。特にこの「マーガレッツホープ茶園」は毎年購入し続けてしまう程、花のような柔らかくて青い香りがたまらない。正に唯一無二だと思っております。
なんて、後半自分でも何を言ってるのかわからん紅茶蘊蓄は置いておいて。
最近私は、よく本を読んでいます。この1週間で読んだものを挙げてみると
成瀬は天下を取りにいく (宮島未奈)
世界でいちばん透き通った物語 (杉井光)
鏡の国 (岡崎琢磨)
営繕かるかや怪異譚 (小野不由美)
影踏亭の怪談 (大島清昭)
怪談青柳屋敷 (青柳碧人)
自由慄 (梨)
幻談水族巻 (福井栄一)
1日1冊以上の勢いで読んでいる。私にしてはかなり多い方だと思う……というか、人生でこんなに本を読んだ1週間はかつて無い。実際は上記のうち4冊はAudibleで聴いたもので読んではないんだけど。Audibleだとながら聴きが出来ちゃうので、必然的に読む量が増えるのかもしれない。
多分noteでも繰り返し言っていると思うが、私はやはりAudibleが好きだ。朝起きてすぐ、部屋の掃除中、電車に揺られている間、ふらふらと歩いている時間、料理中、お風呂に浸かりながら……などなど、何かの行動にプラスして作品に触れることができるというのは、本当にありがたい。
ちょっと前に、「いとエモし。」という本を読んだ。
数ヶ月前に本屋さんでみかけて買っていたのだが、読んでなかった。最近になってAudibleにもあることを知り、せっかくだからとAudibleで朗読を聴きながらページをめくってみた。
これが良かった。すごく良かった。
ページをめくる度、本当に涙が溢れそうだった。ひとつひとつの文章が、まるでひとつの映画のようだった。
Audibleは、こういった作品とも相性が良いのだな、と思った。
じゃなくて!!!話がそれちゃった。
だからね、いっぱい本を読んだわけですよ。本当なら1冊1冊感想を語りたいくらいよ。でも語ると長くなっちゃう……
……え、語るか?せっかくだし。
いや、語ろう。書いてる間に紅茶は確実に冷めてしまうだろうけど。私の中に感動の熱が残っているうちに、書こう。
今この瞬間、この日記が長くなることが決定した。ドンマイ。ブラウザバックもひとつの勇気だとおもうぜ俺ぁよ。
1.成瀬は天下を取りにいく
これは本屋さんのポスターで見かけたので、Audibleで聴くか、くらいの軽い気持ちでした。それがめちゃ良かった、面白かった。
私は「成瀬」と「島崎」という2人の主人公が好きだ。読んだタイミングがたまたまちょっと精神的に参っているタイミングだったが、2人のおかげでちょっと頑張れたと思っている。それくらい明るくて真っ直ぐな彼女たちがとても魅力的なのだ。天才肌でカラッとした性格、だけど誰よりも素直な成瀬の生き方が少し羨ましく映る。
内容についても書きたいんだけど、どこからがネタバレになるのか怖いのであんまり触れないでおく。とにかく私は、「天下を取りにいく」と「信じた道をいく」という2作目とを併せて購入することを決めました。
◇ ◇ ◇
2.世界でいちばん透き通った物語
上記で語った「成瀬は天下を取りにいく」のポスターを見かけた本屋さんで購入した本。タイトル自体は前々から知っていた。確かこちらの記事で触れられていたことがきっかけだったと思う。
余談ですが、私は加味條さんのこういった記事が大好きなのです。本屋ダンジョンとか。本屋さんに行きたくなるんです。私が今こうして本を読んでいるのは、加味條さんのおかげといっても過言ではない。
この本は、「本自体に仕掛けがある」という本。それだけじゃなく、ストーリーもミステリー仕立てになっていて面白い。というか、答えが最初から本にギミックとして埋め込まれているイメージに近い。答えはずっと目の前にある。
以前に私がnoteで公開した「いつか死にゆくあなたへ」という話がある。この話ではコンピューターから再生される音声データのノイズとして漢字の羅列を使用したが、それを順に繋げていくと漢詩になる……というちょっとした小細工がある。私は「世界でいちばん透き通った物語」を読んで、「私がやりたかったのってこういうことだ……」と愕然とした。良い出会いでした。
◇ ◇ ◇
3.鏡の国
これもAudibleで聴いた本になります。帯には「装丁すら、伏線。」と書かれていますね。これまたミステリーなんですが……謎が多い。作中作の謎、作中の謎……それぞれがするすると綺麗に解けていく様がすんごい気持ちいい。作中に登場する「身体醜形障害」や「相貌失認」という病気について知ることができるというのも、とっても良かった。
私は職業柄身体醜形障害の方や相貌失認の方と関わったことがあるのだが、この病気はこちらの説明力不足もあり中々世間やご家族、周りの人から理解されにくい病気だと感じている。この本ではそれぞれの病気を抱えるキャラたちの葛藤や苦悩が丁寧に描かれていて、そういった意味でも人に勧めたい1冊です。
◇ ◇ ◇
4.営繕かるかや怪異譚
こちらもAudible。なんとなく怖いのを読みたい、と思い聴いてみた。
結論、怖い。怖いんだけど、怖いだけじゃない。作中に登場する「尾端」という男性、彼は営繕屋……要はお家の修繕や改築を生業としているのだけれど、彼の人柄とアイディアで霊たちの無念や想いを解き放っていく。これがマジでめちょめちょ良い。
怪奇現象をただ「怖いもの」と扱うのではなく、彼らに寄り添い彼らの気持ちを掬い上げる物語。かと言って作中で語られる怪談は本当に、本当に本当に怖い。私は諸事情により転居先を探しているのだが、この話を読んで古い一軒家はやめるか……と思うレベル。
こちらもシリーズものなので、続きは絶対読むし買う。
◇ ◇ ◇
5.影踏亭の怪談
営繕かるかや怪異譚でちょっとホラーにハマり、Audibleで探したところこちらが特に面白そうだったので聴いてみた。
ホラー×ミステリーなのだが、それらの境界が曖昧で読んだあとの薄気味悪さが癖になる。ストーリーとしては、明らかな怪奇現象が、主人公であり実録ホラー作家の呻木叫子の手によって鮮やかに解決されるのだが……どれもそう分かりやすい展開ではない。特に一番最後のお話は思わず声が出たし、ゾッとした。
ホラーとミステリーの融合が実に鮮やかで、この面白さはこの作品でしか摂取できないと思う。
◇ ◇ ◇
6.怪談青柳屋敷
ミステリー作家が描く実録ホラー短編集。こちらもAudible。1話1話が短く、聴きやすかった。
実録らしく最後まで怪異の正体がはっきりしない不気味な話や、怪異というには些かはっきりしないもんにょりしたお話がある。この、どこまでも現実的なじっとりとした怖さが良い。この1週間で読んだどの本よりも怖かった。何せ、創作めいていないせいでより身近に感じるのだ。
が、最後のお話「イミカワ」。私はこの話が大好きすぎる。意味がわかると可愛い話。そうだよね、そんな話があったっていい。
◇ ◇ ◇
7.自由慄
こちらは紙媒体で買いました。ずっと気になっていたものの購入していなかったのですが、本屋さんで見かけて購入、その日のうちに読み終えてしまった。個人的には「フラッシュバック」が気になる。何か意味がある気がしてならない。
この良さは、正直私には語れない。
作中の自由律の句たちの異質さ、可笑しさ、おぞましさ。
それが、青年期特有の瑞々しさと痛々しさを生んでおり、薄氷のような透明感のある1冊になっている。ただし、その薄氷は真っ赤に染まっているが。
何度も繰り返し読んで意味を考えようとしてもどこか掴みきれず、細部が鮮明になるにつれてかえって輪郭がぼやけていくような……だけど、そこが美しい。
◇ ◇ ◇
8.幻談水族巻
こちらも紙媒体。水生生物に纏わる不思議なお話集というイメージ。
なるほど水の中の生き物というのは、古来より奇妙な話が多いらしい。水というのは幻想的で恐ろしく、得体の知れないものだったようだ。古の人たちの考えていたことが全てわかるわけではないが、その思考の一部に触れられた気がする。
あとこの表紙の質感、和紙みたいな……これがめっちゃ良い。ざらざらした感じ。私個人としては、読書って紙をめくる際の手触りなども含めてのものだと思っているので、これは本当に良すぎる。
◇ ◇ ◇
ざっくりと本の感想を書いてみると、どれも面白かったのでまた読みたくなる。そして気付いたが、私今週はエッセイを読まなかったんだなぁ。大人になってからはエッセイ大好きなのに。
来週はエッセイをたくさん読もう。それ以外もいっぱい読みます。
紅茶は冷めてしまう前に飲み終えました。それでは。