【日記】駅の裏の植物園
電車でお出かけしようとした日曜日、最寄り駅の裏側に見知らぬ店があった。
今まで何度も通ってきたはずなのに、一度も気付かなかった。
立ち止まって看板代わりの張り紙を見る。そこはどうやら古本と植物のお店らしかった。古本に釣られて私は店内に足を踏み入れた。
店内には植物園が広がっていて、その中に並べられた古本たちはとてもとても輝いて見えた。置いてあるのは漫画や新書、文庫本がほとんどで、持っている本や見たことのない本など様々だったが、結構癖の強いラインナップだと感じた。宮崎夏次系とか。それは持っている読み切りだったので買わなかった。
棚を眺めていると、ふと一冊の本の表紙が目に入る。街と海が同化し水槽のようになって切り抜かれた背景にスーツ姿の女性の横顔、下半身は一本の錨へ変わっている。
中身も見ず、これは買うしかないと思ったので買った。値段の所には「新品 700円」と書かれていた。
ほくほくした気持ちでレジに向かおうとすると、店員さんは別のお客さんとお話されていた。小さなお店で店員さんはおひとりだったので、私はそのお話が終わるまでレジ近くの植物園を眺めて過ごすことにした。
私は植物を育てたことはあまりなく、一年前にアロマティカスというハーブ??を育てたきりだ。しかも理由は植物を愛でたかったからではなく、水出しの紅茶に入れて清涼感を出そうと思ったからだった。結局、水をやりすぎてアロマティカスは根腐れをおこしてしまった。
それ以来植物は育てていないし、自身の生活すらままならない私に育てられるわけがないと思っているので、植物を買って帰る予定は一切なかった。なかったんだけどな。
この「ハオルチア オブツーサ」というハリポタの呪文みたいな名前の植物が妙に愛らしくて、思わず買ってしまった。和名が「雫石」というらしい。美しすぎる。
美しいのは名前だけではなくて、この雫石さん、葉っぱの先が半透明になっていてなんだかキラキラしている。お店の方も「自分が気に入った子をお迎えするのがいいですよ」とおっしゃっていたし、本当に良い買い物だったと思う。
◇ ◇ ◇
帰ってから「錨を揚げる」を読み、その美しい世界観と絵に圧倒されていると、思わず絵を描きたくなった。そういえば最近全然描いてない。描きたいな。やりたいことが多すぎる。
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