2024/08/11の早くに目が覚めて

上6割は明け始めたマンゴーフルーツの快晴しかし太陽はない、下3割は空がやや染みた雲海、1割は、中央遠くに姿勢良く立っている台風が私の瞼の裏地の全貌だ。

首を振っても視界が動かないのでおかしいのはそもそも目が開いていないからなのでよかった。瞼をやや引き上げると隙間からホテルの壁と天井の影で煤けた隅が見えたので安心してしばらく裏地を見ておこうということになった。眠ったのではない。

瞼の裏地は肉の膜だから、私の肉は6割が成層圏3割が対流圏1割が台風でできているわけだが、だとしたら暑い。ホテルのクーラーをつけっぱなしで寝て喉が枯れてしまっているのが声を出そうとしなくても分かるのに。だからなのか。瞼からは風が吹かない、鼻が詰まり、デスクからティッシュボックスを探り当てて鼻をかむと私から私の唇へ生あたたかい風が吹く。雲海は動かない。そうか、いないのは当然だ。私が太陽であるわけで、目玉が己を見ることはできない。


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