5分で学べる成人学習シリーズ1 ~ノールズとアンドラゴジー~
「おとなの学び」ってなんぞや?
なんでアメリカの大学院行くの?
日本で学べる環境がないからです。
アメリカの大学院で何やるの?
成人教育学です。
成人教育学・・・?
ここまでの流れ、今まで何十回と繰り返したことか。
必ず聞かれる質問トップ3。
看護師、成人教育、アダルトラーニング、というと
変ないかがわしいものを想像して
急に照れたような顔をしだすひともいる。
いやいや、そんな照れられるとこっちが困りますって!!
これ、冗談に聞こえますが、本当にいるんです笑
きっと脳内、セクシーなナース服着た椎名林檎様が踊り狂ってるんだろうな、、。
「アダルトラーニング」と聞いて、
ピンとくるひとがどれくらいいるのでしょうか。
脳内に椎名林檎でてきたひと、正直に挙手してください。
そんなわけで、このnoteを書くことにしました。
今まで、
ブログとか
ツイッターとか
インタビューとか
連載とか
アウトプット大好き人間な私はいろいろ書きまくってしゃべってきたけれど、
「アダルトラーニングってなんぞや」っていうことについて
ちゃんと書いてこなかった。
そんなこんなで、
おまえついにnoteにまで手をだしたんかい!と言われてしまいそうだけど、
日々の大学院の学びをきちんと文字に起こさないとあっというまに記憶から薄れてしまいそうなので、
消化ついでに書いてみます。
題して、「5分で学べる成人学習シリーズ」
エベレスト並にハードルあげてしまったよ
「わかってもらえる」かどうかは自信がありませんが、
「わかりやすく」はめっちゃ心がけます。
難しい単語は一切使いません。
本当に、噛み砕きまくった結果こうなった、と思って読んでください
わたし自身、こういうものが知りたかった ということをテーマにしています
一体大学院でなにやってんだい?
それについて答えていこうと思います。
5分で学べる成人学習 ー ノールズとアンドラゴジー ー
始めに、成人学習の一番のベースとなる、Malcom Knowlesさん(マルカム・ノールズ)からいきましょうか。
彼はAndragogy という言葉で一躍有名になった教育学者です。
もともとはPedagogyという子供に対するいわゆる「教育」という概念しかなかったなかで、
ノールズさんは 「いやいや、大人も学び続けるんだよ、そこは区別しないと」と生み出したのが対となるAndragogyという概念でした。
(厳密には違う方がAndragogyという言葉をつくっていたのだけど、彼が引用した本が有名になったため、Andragogyの神、という位置づけになっています)
じゃあ大人って子供に対する教育とどう違うんだよ!っていう点ですが、大きく4つに分類されます
①おとなは自立・独立 (independent)していること
子供は先生、親がいないと学ぶことができません
そして先生や親は子供が学べるようにすべての責任をおっています
ところが、われわれおとなは自分で独立して学ぶことができる
自分で学びたいものを決めることができます
次はテキスト何ページなんていわれなくても、
来週はこれを学びます、なんて決められなくても、
自分の関心から学びたいものを選択して、
学びたいときに学びをする
これがいわゆる、self-directedness です
日本語では 自己決定学習、と呼ぶのかな
これは子どもとの大きな違いです
仕事終わりに陶芸を習おう、
退職したら公認会計士の資格を目指してみよう、
そんなこともself directed learning (SDL)に含まれます。
②おとなには 「経験」がある
亀の甲より年の功
まさにそれと似たかんじ。
おとなにはなんといっても 経験 がある
experiential learning 経験学習 はこれまた何十ページも書けちゃうくらい奥が深いのですが、
成人学習の土台には経験があります
ただ、ここで問題なのは経験は必ずしもプラスに働きかけるだけではないということ
目の前に大きなリスキーな壁があるとします
経験がなければ迷わず登る、
でも 失敗した経験や 過去の経験から予測出来ちゃえば
あえてリスクをおかしてまでそんな壁登らないですよね
経験は 時に可能性を狭めることがある ということも忘れてはいけないです
experiential learningは今期グループワークで担当したので、また書きます
③おとなの学びは 問題中心思考型
学生の時、文系なのになんで物理やってんだろー、とかいろいろ文句言ってた覚えがあります
そりゃあたりまえ、必修に組み込まれているからです
ところが、おとなの学びは目の前に問題が起きてはじめて
「やばい、学ばなきゃ!」と気づきます
学ぶための準備が整うことを readiness レディネス と呼びます
新しく管理職のポジションについたとき、そのひとはマネジメントを学ぶ必要性を感じるわけです
おとなが学ぶときは組織や人生において「問題」を感じたときにはっとなって学習しようというモチベーションに繋がります
④おとなの学びは現実世界への応用が大切
これもまた③の例に戻りますが、学生時代、「歴史なんて学んでなんの意味があるのー」って嘆いた経験ありませんか?
学生の学びは subject-matter contentといって科目・教科の中身が重要でした
しかし、おとなの学習者はすべて習得したスキルや知識を応用したい!と思います
これをperformance-centered orientation learning (パフォーマンス中心)の学び、と呼びます
このように、ノールズさんはおとなの学びを子供や学生の学びから大きく区別した新しい考え方で捉えました。
もちろんこれらに対しての反論(critiques)もたくさんあります。
成人教育におけるcritiqueの多くは、これらが 白人の西洋人の学習者 想定してつくられた理論であること。
これに対して、 文化的な要素が含まれてない!(他者からの教えを大切にするカルチャー)や、女性の学びの人権が無視されている!といった反論がみられます。
70年代に発展した理論なので指摘されてしまうのは当然ですが、、、
'' Adults are motivated by wanting to improve their situation in adult life, whether that situation is work-related, personal, or social / communitiy related''
われわれ大人は現在の自分の状況をよりよくするために学びたい、
モチベーションは「経験」そのものからきています。
おとなの「学習」とこどもの「教育」、何がちがうの?
授業では、「おとなの学びが子供からどのように異なるのか?」ということについて3点習いました。
1)Motivation
おとなは、なぜ学びたいか自分で知っている。自分のなかに答えがある。
2)Experience
おとなは日々の生活、人生そのものが学びである
3)Reflection
おとなには 省察、振り返りをするキャパシティーがある
なぜ、これらを知っておくことが大切なのか?
たとえば、社会人に対してSelf directednessを欠いたアプローチをすると、確実に失敗するからです
実体験をお話しますと、看護師時代、病院で看護技術を学ぶためのe-learningを導入していたんです。
でも、教育担当者は看護師側の視聴回数、視聴頻度をすべて裏でモニタリングし、少ないひとには個別の呼び出しがありました。
成人学習はいかに learner controll 学習者が主体的に学びをコントロールできるか、に重きを置くべきなのに、
監視されている感丸出し、ではものすごく息苦しく、おとなの学びではないのです。
視聴しない理由は何なのか?その背景には何が隠れているのか?要因は?
そういったアプローチをしないと、組織の学びはうまくいきません。
教わる側も教える側も、成人学習の知識があるだけでぐっとアプローチは変えられるはずだと信じています。
だから、これを書こうと思いました。
今後の野望
初回はざっとこんなかんじで終わろうと思います。
大学院で学生しながらよくもそんな書く時間がとれるねー
なんてつっこまれてしまいそうです
でもね、
これ、めっちゃ頭の整理になる!!!
今後も書きたい内容をリストアップしたらすごいリストになりました
・informal incidental learning
・experiential learning(Kolb)
・transformative learning (Mezirow)
・Coaching
・Orders of development (Kegan )
・Single-loop / double-loop learning (Argyris)
・Constructivism
などなど。
落ち着いた時期に一気に書いてしまおうかな笑
将来、目指せ自費出版!?
閲覧数で決めます笑
(余談。タイトル画像の背景はあのゴシップガールでも有名なgrand central駅の天井です!)
参考文献
Knowles, Malcolm S. (1913). The modern practice of Adult education. Cambridge Adult Education. p 43-44.
S. B. Merriam., & L. L. Bierema. (2014). Adult Learning linking theory and practice. Jossey Bass.
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