バチェロレッテから考えるモチベーションとは ~Ryan&Deciの自己決定理論~
私がアマプラ地獄から抜け出せないわけ
私の日常はとてもじゃないけどお見せできない笑
布団からでられない、一日パジャマで過ごしていたい、できることなら永遠にごろごろだらだらしていたい
今日もスマホ片手にアマプラ地獄。
気づいたらバチェロレッテを一気見してました。ちなみに一昨日最終話が放送されました。
ネタバレはここではしません!
これまでバチェラーといって女性陣が男性を取り合う、というやつだったんだけど、今期からその男女逆転バージョンとして男性陣が女性を取り合うというのがアマゾンプライムで始まりました。
今回の主人公となる女性が福田萌子さん。
見る前まで怖そうだなーどぎついかんじかなーと思っていたけど、もう見ているうちにまんまと萌子様の虜になっていく。
他の男性陣に混じって、女性のわたしも萌子様にめろめろになっていく。
とある朝、萌子様はインタビューで「私は朝6時に朝日を見ながらランニングするのが大好きなんです!なので今日は、ランニングデートにみなさんを誘います!」とにこにこ笑顔で答える。
ずるずると後ろから走って追いかける男性陣。
このなかで心からランニングを楽しんでいたひとはいったい何人いるのだろう。私が男性だったら萌子様のために早起きしてランニングできるだろうか。
なんて考えながら今日も布団にくるまってアマプラ地獄から抜け出せません。
今回のテーマは「モチベーション」
今日は「モチベーション」について書きたいと思います。
組織心理学の授業でモチベーションに関するいろいろな文献やモデルを習っていますが、おそらく一番有名な理論のひとつを、バチェロレッテの例を交えながらご紹介します。(ネタバレは含みませんのでご安心を!)
こちらがモチベーション理論の権威でもある、Richard Ryan さん(左)とEdward Deciさん(右)。
彼らが提唱した理論が Self determination theory (自己決定理論) というものです。
たぶん多くのひとが聞いたことのある、「内的要因」「外的要因」。それの元祖となる理論です。
彼らは「モチベーションには種類がある」ということを深掘りしました。
ではどんな種類があるのか、見ていきます。
Autonomous motivation と Controlled motivation
モチベーションはまず大きく2つの種類に分類できます。
① Autonomous motivation (自律的動機付け)
これはまさに、興味・関心・~したいから・楽しい・価値があるなどの動機からくるもの。
② Controlled motivation (コントロールされる動機付け)
こちらは代表的なものでいえば給料や報酬(reward)、そして罰を受けたくないから、求められているからなどからくるもの。
さらに①のAutonomous motivation (自律的な動機付け)は2つの動機付けから構成されています。
1) Intrinsic motivation (内的動機付け)
面白いから、興味深いから、など内なる感情からくるもの。
2) Extrinsic motivation (外的動機付け)
これはもうほぼ上に書いた Controlled motivationと近いんだけど、外的要因(報酬など)から動機はくるんだけど、それでも自分にとって価値があると思うからやる、という内なる要因からくるといことで、ここに分類される。
バチェロレッテの早朝ランニングの例でみてみよう
それぞれを、早朝ランニングの例でみてみましょう笑
① 自律的動機付け & 1) 内的動機付け
「もともとランニング好きだし朝日をあびられるなんて幸せ!しかも目の前には萌子さん!この時間が最高すぎる!頑張って走ろう」
② コントロールされる動機付け
「早朝からランニングなんてどうかしてるよ。でもこれを走らないと全国の視聴者にかっこわるいとか言われちゃうしいやな顔したら萌子さんを悲しませてしまうからな、頑張って走ろう」
2) 自律的動機付けに含まれる外的動機付け
「ランニングいやだなぁ、でも萌子さんは健康的な男性が好きっていってたしこれを走りきれば1 on 1デートに誘われるかもしれない。仕方がないけどこのランニングはとても意味があるものだし良い印象を与えられる絶好のチャンスだから頑張って走ろう」
絶対あの走ってたなかにはみんなこの3タイプそれぞれのモチベーションで走ってたはず。私が男性ならばりばりコントロールされる動機付けで走ってたと思う笑
このnoteでのポイントは、おそらく外的動機付け・内的動機付けという概念は知っていても、「自律的動機付け」のなかに「外的動機付け」も含まれるっていうのはあんまり知られてないんじゃないかな。(私も今回初めて知った)
②と2)の例をみても違いはなんとなくわかりますよね。
「走らされている」と「走らされているだけど自分が走りたいから走る」という微妙な違い。でもこの違いがとても大きくて、少しでも「自律的な動機付け」になっているとパフォーマンスも著しく違うという結果がでています。
バチェロレッテみたひとならわかるけど、
おそらくローズ君は①、杉ちゃんは2)になります。笑
モチベーションを高める人間の心理的ニーズ
じゃあ、モチベーションの分類をみたところで、具体的にどうやって自律的な動機付けを促せばいいの?というところが二つ目の疑問です。
RyanとDeciは、人間には3つの心理的なニーズがある、と研究しました。
① Confidence (自信)
誰しも自信を持ちたい、だから自信を持てるような関わりは動機付けになりますよね。
バチェロレッテでいえば「ローズをもらうこと」が一番のモチベーションの動機付けになります(毎回ローズセレモニーといのがあって、選ばれたひとにはバチェロレッテからローズがもらえます)
だから、これをすればローズがもらえるなんて約束と自信があれば男性陣はなんだってするでしょう。仏の御石の鉢も取りにいくし火鼠の皮衣も買っちゃうし命からがら竜の頸の珠だって奪いにいく。(ドSなかぐや姫の無理な要求笑)
② 繋がっている、と感じたい
feel connected , related とされるように、人と繋がっていると感じられることや大切にされたいという思いはモチベーションに直結します。
萌子さんとの繋がりが彼らのすべてのモチベーションの源とも言えますね。
③ 自律
ここでもでてきました、autonomy (自律)。
ここには自分自身で選んだり、自分にコントロール力があるかどうか、ということが関わってきます。
ネタバレではありませんが、萌子さんは台湾デートのときに3人の男性にデートプランを考えてもらうという回があります。
自分で萌子さんをもてなす、デートプランを自分に考えられるというのはもうまさに男性陣が自律性を思う存分発揮できる場面!
そりゃ世界一萌子さんを幸せなデートでもてなしたい!!!
というわけです。
つまり、**自信を促す・繋がっていると感じられる・自律性が発揮できる **という3つのニーズを満たせるような関わりができれば、効果的にモチベーションを高めることができるという理論です。
まぁ、それが難しいんですけどね。
バチェロレッテ、ぜひ見てください、アマプラ地獄から抜け出せなくなりますよ。ちなみにわたしはマラカイ君とスギちゃん推しです。
では、わたしのアマプラ地獄から抜け出すためのモチベーションを探す旅にでます。
(どんな娯楽も学びに繋がると無理やり肯定してます笑)
参考文献
Deci, E.L. & Ryan, R.M. (1985). Intrinsic motivation and self-determination in human behavior. New York: Plenum Press.
Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000). The ‘what’ and ‘why’ of goal pursuits: Human needs and the self-determination of behavior. Psychological Inquiry, 11, 227-268