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【過去エッセイ】憎たらしい虫
※2021-08-28/はてなブログ(ヒガシノメーコ記)で掲載したエッセイ。
就寝時、「プーン」という蚊の羽音が聞こえると、わたしはたちまち眠れなくなった。鬼の形相で布団を跳ねのけると、素早く電気をつける。まずは左右に目を走らせ、敵がどこを漂っているかを確認。
簡単に標的が見つからない場合は、液体蚊とり「アースノーマット」を焚く。熱された薬剤が水蒸気となって薄っすら立ち昇っていく様子を睨みつけながら、耳を澄ます。人を小馬鹿にするような「プーン」の音をキャッチしては両手を広げ攻撃の姿勢を取り、じわりじわりと部屋の中を歩き回った。
なお、こういった状況で問題の蚊を仕留められたことは一度もない。大体30分ほど粘り、ついには諦めて再び布団に入るという形だ。しかし、部屋に蚊がいると思うと、布団から手足を出すのが心もとない。絶対に刺されたくないからだ。だから蒸し暑さを感じる中でも薄い布団にくるまるしかない。
さらに、こういうときのわたしは神経が研ぎに研ぎすまされている。特に耳に神経が集中し、少しの羽音も聞き逃さんとばかりに息を殺す。こんな状況じゃ眠れるわけがない。
そんなわけで、就寝時に蚊の存在を発見した場合は本当に最悪。全然眠れないし、眠れたとしても睡眠の質はすこぶる悪い。ただありがたいことに、最近ではそんな風に蚊に睡眠を妨害されたことはない。ベランダなどに虫よけグッズを置いているおかげだろうか。
じゃあなぜ蚊の話をしているのかと言うと、久しぶりに”刺された”からだ。知らぬ間に侵入したその蚊は、作業をしようとパソコンに向かったわたしの二の腕をメインとした3箇所を味見し去っていった。たっぷりと食事をした蚊は呑気にわたしの周りを漂っていたので、迷いなく両の手で押し潰させてもらった。
それにしても、蚊は柔らかい場所を好んで刺すというけれど、それが昔から不思議でたまらない。柔らかい場所と判断できるのは、そういう場所が分かる本能が備わっているからなのか?においや見た目で察知しているのか?たしか、汗のにおいに寄ってくると聞いたことがあるけれど…そんなこと関係なしに柔らかい場所を刺している気もする。どんな理由があるにせよ小賢しくて許しがたい行動だ。
わたしは肌が弱い方であり、蕁麻疹が出やすい体質なので、肌にトラブルが起こったときにミミズ腫れになりやすい。そしてわたしはそのミミズ腫れの見た目が昔から生理的に苦手で、肌がぷっくりと腫れた様子を見ると、ゾゾゾと鳥肌が立ってしまう。(そんな風に肌が腫れるのがショックなのかもしれない)
蚊に刺された箇所が小さなボタンみたいにぷっくりと膨れ上がって来たのを発見し、急いで軟膏を擦り込む。痒みも強くなってきたが、それは軟膏に含まれる強いメントールが押さえつけてくれた。相変わらず蚊というのは憎たらしい虫だが、この手で始末できたことだけがせめてもの救いだろう。
そういえば、今寝室にあるアースノーマット…いつ購入したものだっけ。備え付けの液体蚊とりの使用期限ってどれくらいなのだろうか。念のため、後で調べておこう――そんなことを考えながら、この記事を書いている。
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