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どん底まで落ちたからこそわかる自分を大切にするということ


本当に動けないってこういうことなんだ。人ってここまでこうなるんだ。


初めてそう感じたのは、ドイツに来て4か月くらい経ってからのこと。

大学の授業や友達からの誘いは行くものの、他は家に引きこもっていた。いや、家から出られなかったが正しいかな。日本よりもゼロから自炊をしないといけないことにもちょうど疲れ、ご飯も食べたくなったらパスタを茹でて食べるくらいだった。毎日ホストファミリーの様子を見ながら、シャワーを浴びたり、キッチンでご飯を作ったりすることにも疲れ、ホストに自分から話しかけることも減ってしまっていた。

そんな自分に対して
「ドイツにきてまで、引きこもって何をしているんだ」「もったいない」
と初めは悲観的に捉えていた。そんな自分が嫌で、「明日は朝早く起きて勉強しよう」「目標設定、To do listを見直そう」と行動を起こそうとした。でも、朝ベットから起きれない自分がいて、机に向かえない自分がいた。そんな悪循環が数週間続いた。

そこで、日本にいるときにお世話になっていた尊敬する教授に相談をした。

そしたら

「留学前まで誰よりも全力で、睡眠時間を削ってまで毎日走り続けてきたし、ドイツに行ってからも心と体をその環境に慣れさせようと自然と相当な体力を使っていたと思う。休む時間、時期も人生において非常に大切。また動き出すためにエネルギーを貯めるそういう時期なんだよ。」

って教授は言ってくれた。

そして
「そういう時期は自分の心と体が一致した行動をしたほうが早く復活するよ。朝起きて勉強しようとしてもできないとかは、辛いかもしれないけど、その不一致した行動を一旦やめて、その時の気持ちのまま行動を取ってみるのもいいかも。今まで(日本にいるとき)は忙しかったことや性格上、奮い立たせて行動を起こすやり方で問題なく解決できていたから、同じやり方でもできると思う。でもせっかくなら、自分の引き出しを増やすために、自由な時間がある今は、休んで回復させるやり方を試してみたらどうかな?」

とも言ってくれた。

私はその言葉を信じ、そして日本に帰ったらまた忙しくなる自分を想像して、ドイツにいるからこそ、自分の時間がたくさん確保できる。ドイツにいるからできることだと捉え、とことん自分の気持ちのまま行動した。

例えば、ネトフリを一日中見る。日本の友達や家族と電話を頻繁にするなど

そしたらこんなにも大きな変化と気づきがあった。
①自分のエネルギーがたまっていく感覚が初めて分かるようになった。

②今まで映画やアニメをほぼ見たことがなかったけど、それらの面白さやそこから学べること勇気をもらえることを心から知れた。

とことん頑張れる自分もゆっくり休む時間が必要な自分も全部自分。自分や人をより広く受け入れる自分になれた。

④これから先もっと多くの人のことが理解できる自分になった。具体的には、「やる気がでない」「動けない」などの状況になった人とより共感度をもって話せる、理解できる自分になったと思えた。

この生活を私は自分のエネルギーがたまるまで、続けた。

そして、ある時、ふとエネルギーがたまったと感じた。頑張る力や行動できる範囲が広がった。いや、広がったというより、自分の調子と相談しながら行動やタスク量の調整ができるようになったという表現の方が正しいかもしれない。

そして、知らずのうちにその世界は、今までよりも自分が生きやすい世界に変わっていた。


自分の限界を自分で決めるのはよくないかもしれない。ただ、私はこれ以上やったら、自分が自分ではなくなるというラインを知っておくのは大切だと思う。自分がなくなるまで、そして自分らしくなくなっているのに気付かずにさらに進んでしまう前に、自分で自分を整える。

自分の時間を取るということを知らなかった私は、この経験で、休むこと、自分の時間を定期的に、自分にとって必要な量、創り出すことの大切さを痛感した。

時には、誰かとの約束や付き合いを断る必要もある。もちろん、断れないものもあるとは思うが、、。ただ自分で決断を下せる場合なら、無理していって、自分らしさや自分のパフォーマンスが落ちるなら、自分のためにも相手のためにも、その時は自分のために使うべきである。そして後日最高の自分で最高の時間を一緒に創り出す努力と姿勢を見せればいいと思う。


こういう考え方になれたのは、この経験はもちろん、ドイツという国にいるからこそである。

ゲームの途中でも、カフェで話をしていても、「私はもう家に帰ろうかな。○○がしたい」と言って、周りを気にせずに帰ることがよくある。それに対して、周りもなんとも思わず、「素敵な時間を」と伝える。

きっとそれは全員が自分を大切にすることの大切さを理解しているし、できているからだろうなって。自己中とはまた違う。仕事や勉強、友達、家族、自分の時間、すべてを大切にするってまさにこういう生き方だなって。

日本に帰ってからも、働き始めてからも、忙しくなっても、自分を大切にしていきたいと思う。


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