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短編恋愛小説家になりたい。 主人公は『私』。 どんな物語の一場面を切り取ってみても、 …

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短編恋愛小説家になりたい。 主人公は『私』。 どんな物語の一場面を切り取ってみても、 そこにはハッピーエンドもバッドエンドもない。 あるのは貴方を想い、想われる瞬間。 一瞬一瞬が積み重なって、一つの「恋」になる。 題名もエンドロールもない恋。 それでも恋なら、咲いて枯れないで。

記事一覧

【恋愛小説】夢現❁5mins short love story❁

「ほら、早く早く!」 あなたが私に笑いかけながら手を振る。 見慣れた光景なのにどこか寂しく切なかった。 『待ってよー』 2人の行きつけのカフェに向かう途中だった。…

cyclaMEn
4か月前
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【恋愛小説】ミッドナイトジュエリー-star-[後編]

前編を読んでいない方はこちらから▼ 溢れる涙に光が乱反射する。 その先に居る貴方の表情が見えない。きっと申し訳なさそうに私を見つめているのだろう。 現に彼の手がそ…

cyclaMEn
8か月前

【恋愛小説】ミッドナイトジュエリー-moon-[前編]

八月中旬。 エアコン無しでは過ごせない熱帯夜。 そんな夜には、決まって選択を誤る。 今夜は、どんな選択をしてどんな結末を迎えるのだろう。 視界の際で、スマホの画…

cyclaMEn
1年前
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【自己紹介】SELF INTRODUCTION

Dear You こんにちは、cyclaMEnです。 今日も素敵な1日を過ごしてくださいね。 もしくは、1日いかがお過ごしでしたでしょうか。今日もお疲れ様でした。 noteを始めて1年…

cyclaMEn
2年前
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【恋愛小説】あなたが隣にいれば✾8mins short love story✾

「好き」がこんなに苦しい言葉なんて知らなかった。 貴方のLINEのプロフィール画像に並ぶ二人。 貴方の隣は、私の知らない女の子。 肩まで伸びる髪の毛の毛先に丁寧にカ…

cyclaMEn
2年前
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【恋愛小説】甘噛-夢中になる-〘後編〙✾10mins short love story✾

➳PREVIEW  本作品は前編、後編の2部構成となります。 それから貴方と何度かご飯に行ったり、飲みに行くことも増えてきた。自分から滅多に誘わない私が誘うことさえあっ…

cyclaMEn
2年前
7

【恋愛小説】甘噛-夢中にさせて-〘前編〙✾10mins short love story✾

どんなタイプの人が好きかと聞かれたら、私はいつも決まってこう答える。 『ゴールデンレトリバーみたいな人』 周りまで明るくさせてくれるような 温かい雰囲気を持った…

cyclaMEn
2年前
9

【恋愛小説】あの日も満月だったから✾5mins short love story✾

夏が過ぎて9月下旬、夜は少し肌寒い。 陽が落ちる時間が早くなってきて、まだ6時前なのに少し薄暗い。太陽が遠ざかった空の上の方から段々と、藍色が空を染め上げていく。…

cyclaMEn
2年前
8

ハーフフィクションにつき。-私と小説-

Dear You こんにちは。Cyclamen です。 私の小説をお読み頂いたあなたへ、本当にありがとうございます。      それからこの投稿が初めてというあなたへ、少しでも私…

cyclaMEn
2年前
7

【恋愛小説】甘い罠✾8mins short love story✾

元彼と別れて数ヶ月が過ぎた。 特に新しい出会いを強く求める気力も無く、日々を淡白に過ごしていた。 「ねぇねぇ、これ行ってみない?」 大学時代の友達と久しぶりに会…

cyclaMEn
2年前
8

【恋愛小説】この恋、保留につき。✾5mins short love story✾

木曜日の午後4時23分、取引先に電話をかける。 『お世話になります。田中様お見えでしょうか?』 「確認して参りますので、少々お待ち下さい。」 事務員と思しき電話相…

cyclaMEn
2年前
10

【恋愛小説】もう此処にはない光でも。✾8mins short love story✾

電車に揺られて30分近く。運がよく席に着くことができた私は、心地良い電車の揺れに乗って居眠りをする。時折電車が停まり、その度にドッと人の波が容量の限られた狭い車両…

cyclaMEn
2年前
7

【恋愛小説】晴れ時々晴れ✾5mins short love story✾

「ねぇねぇ、あれ先輩じゃない?今日もめちゃかっこいい〜!」 「隣の女の子いつも一緒じゃない?彼女?」 「知らなーい!てかやば、今日天気予報雨だった?」 「そんな…

cyclaMEn
2年前
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【恋愛小説】苦くて甘くても。✾8mins short love story✾

それは決して、甘い思い出ではない。 けれども、苦い思い出でもない。 ❁ アプリで知り合ったちょっと良いなと思っていた人から、友達との集まりがあると飲み会に誘われ…

cyclaMEn
2年前
7

【恋愛小説】Eye...✾8mins short love story✾

貴方と目が遭った瞬間。 その一瞬はとても短くて長かった。 瞬きするのが惜しい程に、 貴方の顔に笑顔が出来上がるその瞬間に 私の目が奪われた。 ❁ 私は、幼い頃か…

cyclaMEn
2年前
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【恋愛小説】嘘を告げる春を私は❁8mins short love story❁

『俺が好きなのは君なんだ。だから、彼女と別れた。』 唐突な告白に驚いた。 でもそれは、愛の告白だからじゃない。 『ここまで彼女がいるのに、君に隠してきた。だから…

cyclaMEn
2年前
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【恋愛小説】夢現❁5mins short love story❁

「ほら、早く早く!」 あなたが私に笑いかけながら手を振る。 見慣れた光景なのにどこか寂しく切なかった。 『待ってよー』 2人の行きつけのカフェに向かう途中だった。 重めの扉を押すと、少し年季の入ったような落ち着いた雰囲気の店内が目の前に広がる。 私達の大好きなナポリタンハンバーグの食欲そそる香りがふわっと香ってきた。 「お好きな席へどうぞ〜」  アルバイトと思われる若い女性店員が快活に声をかけてきたので、入って右奥のソファー席が向き合うように並べられたボックス席に向

【恋愛小説】ミッドナイトジュエリー-star-[後編]

前編を読んでいない方はこちらから▼ 溢れる涙に光が乱反射する。 その先に居る貴方の表情が見えない。きっと申し訳なさそうに私を見つめているのだろう。 現に彼の手がそっと私の肩を包みこんでくれた。その優しく乗せられた手は、その優しさ故に貴方の方へ引き寄せられることは無いということが分かってしまって逆に辛かった。 「泣かないで。ね?」 そう言って私の涙を服の袖で拭ってくれる。貴方にしては少し荒っぽいその触れ方すら愛おしく感じられた。 貴方との距離が縮まり、控えめに香る香水の香

【恋愛小説】ミッドナイトジュエリー-moon-[前編]

八月中旬。 エアコン無しでは過ごせない熱帯夜。 そんな夜には、決まって選択を誤る。 今夜は、どんな選択をしてどんな結末を迎えるのだろう。 視界の際で、スマホの画面に灯が点いたのが見えた。 ♢ 何してる? 10:08 貴方からのメッセージだった。 たった一文なのに、私の心を震わせるのには十分過ぎた。 けれどもすぐには開かない。 貴方の気まぐれに飛びつくほど暇じゃないと、間接的に伝えるためだ。きっと貴方はそんなこと気にしないのだろうけど。 本当はすぐにでも返信した

【自己紹介】SELF INTRODUCTION

Dear You こんにちは、cyclaMEnです。 今日も素敵な1日を過ごしてくださいね。 もしくは、1日いかがお過ごしでしたでしょうか。今日もお疲れ様でした。 noteを始めて1年が経ちました。 時間が経つのは早いものですね。 そこで、今日は少し自己紹介をしたいなと思います。 名前:cyclaMEn  MEは私のイニシャルネームです。 シクラメンという花が由来で 私の誕生日花です。 小説を投稿するに当たって、花の名前を調べていました。ふと、私の祖母が大事育

【恋愛小説】あなたが隣にいれば✾8mins short love story✾

「好き」がこんなに苦しい言葉なんて知らなかった。 貴方のLINEのプロフィール画像に並ぶ二人。 貴方の隣は、私の知らない女の子。 肩まで伸びる髪の毛の毛先に丁寧にカールがかかっていてまつ毛の長く、ぱっちりした目が可愛らしい小柄な女の子。 貴方はその瞳を見つめるんだろうか。 あの夜のように。 ❁ 退社時間が重なると、貴方は決まって夜ご飯に私を誘った。きっかけはたまたま帰りが一緒になったこと。 仕事の話から始まって色んな話をするようになった。 そして、貴方に彼女が

【恋愛小説】甘噛-夢中になる-〘後編〙✾10mins short love story✾

➳PREVIEW  本作品は前編、後編の2部構成となります。 それから貴方と何度かご飯に行ったり、飲みに行くことも増えてきた。自分から滅多に誘わない私が誘うことさえあった。私も貴方もお互いを気の許せる友達だと認識していたし、その関係を変えようとすることもなく月日が流れた。 その日も貴方と二人、行きつけの駅前のチェーン居酒屋で、ビールで乾杯をしていた。金曜の夜ということもあり、派手に飲み放題で好きなだけ飲もうと決めた。 『「かんぱーい」』 「お疲れ様〜」 『お疲れ〜ほ

【恋愛小説】甘噛-夢中にさせて-〘前編〙✾10mins short love story✾

どんなタイプの人が好きかと聞かれたら、私はいつも決まってこう答える。 『ゴールデンレトリバーみたいな人』 周りまで明るくさせてくれるような 温かい雰囲気を持った人。 相手に沢山の愛を注ぐのに 決して見返りを求めようとはしない人。 何かあったら私を守って、頼りになる人。 そして、真っ直ぐに私だけを想ってくれる人。 ❁ 恋人がいない歴、5年。 別に浮いた話が無い訳ではない。 ただ、誰かと「付き合う」ということは、自由を奪われることに等しいのだと考えていた。だから、

【恋愛小説】あの日も満月だったから✾5mins short love story✾

夏が過ぎて9月下旬、夜は少し肌寒い。 陽が落ちる時間が早くなってきて、まだ6時前なのに少し薄暗い。太陽が遠ざかった空の上の方から段々と、藍色が空を染め上げていく。下の方はまだ陽の光に照らされた黄色が朱色になって、やがて藍色と混ざり合っていく。 私の好きな時間だった。 一日の最後の講義が終わり、貴方と並んで歩く時間。あの教授がどうとか、課題やったかとか、今日の夜何食べるとか、そんな他愛もない会話が大事だった時間。 ふと空を見上げると、今日は満月だった。 藍色に染まってい

ハーフフィクションにつき。-私と小説-

Dear You こんにちは。Cyclamen です。 私の小説をお読み頂いたあなたへ、本当にありがとうございます。      それからこの投稿が初めてというあなたへ、少しでも私の小説も読んでみたいと思って頂けたら嬉しいです。 私が投稿させて頂いている作品は、私の経験をベースとしているのものばかりです。恋愛と呼ぶに満たないものもありますが、それでもそこにある瞬間と感情は、紛れもないときめきだと思うんです。 過去では一瞬で過ぎ去ったはずの数々の瞬間が、今でも私の心に沢山、

【恋愛小説】甘い罠✾8mins short love story✾

元彼と別れて数ヶ月が過ぎた。 特に新しい出会いを強く求める気力も無く、日々を淡白に過ごしていた。 「ねぇねぇ、これ行ってみない?」 大学時代の友達と久しぶりに会い、イタリアンレストランでランチをした。昼からワインの飲み放題出来るという理由から、即決でこのお店を選んだ。 三杯目のグラスには赤ワイン。 今しがた到着したメインのイベリコ豚のソテーに合わせて選んだ。グラスを口に運ぶと、芳醇な赤葡萄の香りが鼻を抜けた。酸味が少なく、渋みも無くて飲みやすく、続けてもう一口流し込ん

【恋愛小説】この恋、保留につき。✾5mins short love story✾

木曜日の午後4時23分、取引先に電話をかける。 『お世話になります。田中様お見えでしょうか?』 「確認して参りますので、少々お待ち下さい。」 事務員と思しき電話相手はそう告げると保留音に切り替えた。電子音のオルゴールのようなメロディーが流れる。 何も考えずにただ電話の相手を待っていたが、その保留音がどこかで聴いたことのあるメロディーだった。そして何故か少し切なくて泣きたくなるような気持ちになった。 それは、ビートルズの"Hey Jude"という曲だった。 どれだけ

【恋愛小説】もう此処にはない光でも。✾8mins short love story✾

電車に揺られて30分近く。運がよく席に着くことができた私は、心地良い電車の揺れに乗って居眠りをする。時折電車が停まり、その度にドッと人の波が容量の限られた狭い車両に詰め寄せてくる。 薄っら開けた私の目に、白、紫、桃、黄、赤の色とりどりの花柄模様が飛び込んできた。 人が増え、落ち落ち寝ていられるような状況では無くなってきたため、眠気まなこで電車内を見渡した。 狭い車内で楽しそうにスマホを一緒に見ながら会話をする、柄違いの紫色の浴衣を着た女子高生のグループ。髪飾りの位置を気

【恋愛小説】晴れ時々晴れ✾5mins short love story✾

「ねぇねぇ、あれ先輩じゃない?今日もめちゃかっこいい〜!」 「隣の女の子いつも一緒じゃない?彼女?」 「知らなーい!てかやば、今日天気予報雨だった?」 「そんなこと言ってなかったよ〜」 「傘なんて持ってきてないんだけど最悪ー!」 「走ろ走ろ!」 ❁ 7月も下旬、既に梅雨明けが宣言されたのは一週間前。それなのに台風のような大雨だった。 最近天気が不安定で、どんよりとした曇りの日も多く、気持ちが上がらない。当然、傘なんて持ってきていない。 「なんか雨、強くなってな

【恋愛小説】苦くて甘くても。✾8mins short love story✾

それは決して、甘い思い出ではない。 けれども、苦い思い出でもない。 ❁ アプリで知り合ったちょっと良いなと思っていた人から、友達との集まりがあると飲み会に誘われた。 そもそも大人数が得意ではなかったけれど、 彼の友達とあって、行かない選択肢は無かった。 彼の友達は気さくで良い人ばかりだったからすぐに打ち解けた。お酒も進んで、気づかないうちに楽しんでいる自分がいた。 「ちょっとトイレ行ってくる。」 『はーい』 彼が少し席を外した間に、彼が座っていたはずの私の隣の席

【恋愛小説】Eye...✾8mins short love story✾

貴方と目が遭った瞬間。 その一瞬はとても短くて長かった。 瞬きするのが惜しい程に、 貴方の顔に笑顔が出来上がるその瞬間に 私の目が奪われた。 ❁ 私は、幼い頃から人の目を気にしてきた。 どう見られているか 何を考えているのか 人の言葉がこれほど脆いものだということは、年を重ねるごとに自分自身も思い知った。 『目は口ほどに物を言う』 なんていう言葉があるけれど、人は言葉を口に出す前に考えて、時に偽る。 それに対して目は、その人の気持ちを映し出す鏡のようだと

【恋愛小説】嘘を告げる春を私は❁8mins short love story❁

『俺が好きなのは君なんだ。だから、彼女と別れた。』 唐突な告白に驚いた。 でもそれは、愛の告白だからじゃない。 『ここまで彼女がいるのに、君に隠してきた。だから、君に好きという資格無いのはわかっているけど…。』 必死に貴方の言葉に付いていこうとするけれど、頭の整理がつかなかった。 貴方と過ごしてきた日々、そうして私が重ねていった想いは、一体何に向かっていたのだろう。 一緒に居るほどに心の距離は縮まって、やがて想いは重なっていくのだと思っていた。それどころか、そもそ