まだ雪の残る寒い頃、深夜過ぎになってに飲み屋街にジャケットを羽織りホテルを出る。息はやはり白い。外は閑散としていたが、ビルの一角にあるテナントの店に入ると、中は賑やかだ。そこは『札幌』、流石だと改めて思わされた。店内は明るくもなく暗くもなく、若いお客さんが多いのだろうか、所々にアーティストの誰のポスターかは分からないが貼ってあったり、置物がある。店舗に入って暫く飲んでいたら、グループの一人の男が声を掛けてきた。「こっちで一緒に飲まないか?」。今はそんな気分ではなかった。多少な