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[特別リポート]NRF2024 アジアパシフィック in シンガポール「世界各国から革新的リテールソリューションが集結」

2024年6月11日から13日にかけて、シンガポールで開催されたアジア最大級のリテール関連の展示会「NRF Asia Pacific2024」では、世界中から多くの革新的ソリューションが出展された。本稿ではAIやVR、ARなどの先端技術の活用提案が多くなされた同展示会で、注目を集めた顧客向けソリューションや業務効率化ソリューション、その他の新たな取組みについて日系企業、海外企業含めて紹介する。(月刊MD特派員 青木 剣太郎)


アジアではじめて開催されたNRF リテイルズ ビッグショー

全米小売業協会(National RetailFederation:NRF)は、毎年アメリカで開催される世界最大の流通小売向けイベント「NRF リテールズビッグショー」のアジア太平洋(APAC)版を、シンガポール政府の支援を受けて2024年6月11~13日にシンガポールのサンズ・エキスポ&コンベンション・センターで初開催した。

▲[写真1]展示会はマリーナベイサンズに併設のEXPO施設で開催された

3日間のイベントでは、APACおよび世界各国から300を超える出展社と5,000人以上の小売業リーダーが集まり、最新のテクノロジーや成功事例を共有し業界関係者同士のネットワークを築いた。

世界人口の40%を擁するAPACは、小売業にとって莫大な市場であり、膨大な人口、都市化の進行と大都市の急速な台頭、消費者が高度なテクノロジーを駆使して製品やサービスにアクセスするようになったことなどに後押しされ、前例のない成長を遂げている。

このような急激な変化により、APACではオンラインとオフラインが融合した店舗での顧客体験に革新をもたらす新しい小売のカタチが求められている。

「Fast Track Your Success(成功への近道)」をテーマとするNRFAPAC 2024では、3日間のイベントを通じて様々なソリューションが紹介され、これらにはAIや機械学習、サプライチェーン、盗難対策、資産保護、マーチャンダイジング、VR・ARテクノロジーなど小売業全体にわたる最新のテクノロジーやイノベーション、成功事例が含まれていた。

今回のリポートでは、そのなかでも顧客の買物体験を変える、もしくは小売事業者の作業効率を変える可能性のあるものを中心に紹介する。

電子棚札とサイネージの融合で新しい顧客体験を提供

今回の展示会で目立ったのが様々な大きさ・形状の電子棚札で、ショッピング体験の向上に向けて、電子棚札とデジタルサイネージの高度な連携が進んでいる。

サムスンからスピンアウトした韓国のSolum社は、省電力で高解像度の電子棚札とサイネージのソリューションパッケージを出展した。

同社の電子棚札は、従来の単なる価格表示にとどまらず、商品画像や動画広告の表示が可能になっている。視覚的にも訴求力が高まり、消費者への情報提供力が飛躍的に向上する。

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