【アメリカ流通業レポート②】AWSのトップが新CEOに就任、レジ無しのリアル店舗を拡大するアマゾン
増収だが営業利益は低下 AWSの増収増益でカバー
アマゾン・ドット・コムの2021年12月31日に終了した2021年期の売上高は前年比22%増の4,698億ドル、営業利益は前年比8.7%増の249億ドル、純利益は前年比56.4%増の333億6,400万ドルとなった。
同社は売上を大きく「物販」と「サービス」に分類している。物販には商品の売上、送料、そして近年急成長を続けるデジタル・メディア・コンテンツが含まれる。
一方、サービスには外部出品者(マーケットプレース)のコミッション、フルフィルメント料や送料、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、広告サービス、アマゾン・プライムの年会費そしてデジタル・コンテンツの購読料収入が含まれる。
2021年期の物販の売上高は、2020年には及ばないもののコロナ特需により急増、前年比12%増と堅調に伸び2,418億ドル。かねてから二桁代の伸びを続けているサービスの売上高は前年比34%増の2,280億ドルとなった。
事業セグメント別の売上構成比は北米60%、海外27%、AWS13%とほぼ例年並みで推移。売上は北米が18%増の2,798億ドル、海外が22%増の1,278億ドル、AWSが37%増の622億ドルといずれも二桁代の増収となった。しかし、営業利益は北米が−18.5%の減益、海外は前期の7億ドルの黒字から9億ドルの赤字に転落、AWSの前期比37%の増益に助けられて全体では8.7%、金額にして19.8億ドルの増益となった。
年次報告書では北米の減益および海外事業の赤字転落の主な理由として、需要増に対応するためのフルフィルメント・ネットワークへの投資、雇用需要が急増する中で必要人員を確保するための給与や奨励金などの人件費の上昇。さらに、ウクライナ侵攻によるエネルギー価格急騰と運送費や送料の上昇。また、為替が米国事業では8,800万ドル、海外事業では4億3,500万ドルのマイナス影響を与えたと説明している。
一方、AWSの増益については新規顧客および既存の顧客による使用量の増加と、コスト構造の改善、生産性の向上などを主な理由として挙げている。
創業者ジェフ・ベゾス氏からAWSトップの新CEOに交代
2021年期に業界を問わず最も注目されたのは7月の最高経営責任者の交代だろう。創業者のジェフ・ベゾス氏は5月に開かれた株主総会で、これまでクラウド部門(AWS)を率いていたアンディ・ジャシー氏を新たなCEOとすることを発表した。
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