カスタマーハラスメント対策に急ぐ小売業/高まる災害備蓄用品の需要
無視できないカスハラによる損失 対策急務な小売業
今年に入って、小売業やサービス業での「カスタマーハラスメント」(以下・カスハラ)が、世間から耳目を集めるようになっている。
カスハラは、決して最近になってから発生するようになったのではなく、昔から存在していた。実際、カスハラを受けたときの機会的損失や、従業員の精神的な苦痛など、企業側の損失は無視できないものになっている。企業も、カスハラに対する問題意識は持っていても、強い対応をとることで、お客からの印象を悪くするのではないかと、及び腰だったことは否めない。
しかし、SNSなどで実際のカスハラの現場の映像が投稿されたり、またテレビなどの情報番組で、問題が取り上げられることも多くなり、カスハラが広く認知されるようになっている。
厚生労働省は2022年にカスタマーハラスメント対策マニュアルを作成しており、東京都はカスハラを防ぐ新たな条例を、2025年4月に施行する方針を固めるなど、政府、自治体も対応を行う姿勢を見せるようになっている。
東京商工リサーチが8月に実施したカスハラに関する調査によると、回答した約5,700社のうち「特に対策は講じていない」企業が71.5%に上ることがわかった。直近1年間でカスハラを受けた企業は約2割、このうち従業員が休職や退職に追い込まれた企業も1割以上あったとしている。しかし実際には、企業が把握していないところで、カスハラは頻発しているようだ。
そうしたなかで大手小売業では、具体的なカスハラ対策を講じるところも出てきた。その一例が、従業員が胸に付ける名札に本名を入れず愛称にしたり、悪質なカスハラの場合は入店を禁止することを表明したりすることなどがある。
DgSでもカスハラに対する基本方針を発表するところが続いている。
ツルハグループは9月に、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定し、ツルハHDのホームページに掲載した。マツキヨココカラ&カンパニーも同月、従業員の人権を尊重し、安全で働きやすい環境づくりとして「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定したと発表している。
内容は、社内マニュアルの策定、従業員の研修、情報共有、理性的な話し合い、悪質な場合の外部(警察、弁護士など)との連携などが中心だが、旧来の「お客様は神様」といった姿勢から脱皮し、お客とサービス提供者が理性的な対等関係を築くことが求められるようになっている。
サツドラ、北海道斜里郡で新・地域交通実証事業「こしタク」を開始
サツドラHDは9月17日~11月29日、北海道斜里郡小清水町や網走ハイヤーなどと共同で、新しい地域交通サービス実証事業「KOSHiMOタクシー(こしもタクシー)」(以下こしタク)を実施している。
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