Kunihiro Maeda

I'm a stevedore in the Cyber Bay. I'm a connectionist.

Kunihiro Maeda

I'm a stevedore in the Cyber Bay. I'm a connectionist.

マガジン

  • Connectionist

    見えない関係性を可視化する

  • Xponential IDs

    アントロポセン紀に生きるために

最近の記事

ビルマからミャンマーへ, ラングーンからヤンゴンへ

 現在、ミャンマーとも、ビルマとも呼ばれる国が、かつてイギリス統治下の、それもインドの一部と扱われていた頃、後のジョージ・オーウェルこと、エリック・アーサー・ブレアは、宗主国の警官と して当地の学校を卒業し、任務にあたっていた。その時に実際 に起こった出来事をエッセイにしたのが『象を撃つ』である。街 で暴れて言う事を聞かなくなった象を静める努力をするものの 、最後はその場で、最も権威的な人物として、象を見事撃ち殺す という期待を周囲に向けて演じなくてはならなかった苦悩について

    • 『我は汝に誓う我が祖国よ』 I Vow To Thee, My Country

      英国の諜報機関の職員である主人公ジョニー・ウォーリッカーは、ビル・レイの当たり役である。 40歳から役者に転向という経歴も然る事乍ら、英国出身のレイモンド・チャンドラーの主人公フィリップ・マーロウを思わせるハードボイルドな役柄を見事に演じている。この映画の映画の見所は英国が米国からもヨーロッパ大陸からも距離を置いてモノを観る世界観の象徴である点だ © comemo148177230 BREXITを唐突に思う人は、英国に行ったことのない人が多いと多いと思う。私も数ヶ月しか

      • 『天国に近い島』という蜃気楼

        ニューカレドニアは、天国に近い島は植民地で、戦場であり続ける。日本は今、誰にとって素晴らしい国なのだろう? © comemo148177230  日本から気軽に行ける南洋の珊瑚礁を楽しめる観光地として、特に安価 な行き先としてニューカレドニアがある。今なおフランスの植民地であり、この地は世界のニッケルの四分の一が埋蔵されているという資源豊富な 島々である。植民地時代の列強の一つであったフランスは、この地を植民 地とし、幸運にもその後に世界最大のニッケル鉱を見つけたのであっ

        • フィリップ・K・ディックの作品に見る自律運転タクシーの未来

             https://en.wikipedia.org/wiki/Philip_K._Dick — 国連事務総長の主治医を務めることになった主人公の精神科医は同盟国が裏切り、地球への侵攻が迫る中、未来に妻が不治の病にかかって精神病院に入院するという事実を知ることになる。その後、主人公は未来の自分の助言にしたがって妻と離婚する。 http://amzn.asia/ddZLsUi 以下、主人公が空港で乗った自律走行タクシーに問いかける場面。  タクシーに向かってエリック

        マガジン

        • Connectionist
          1本
        • Xponential IDs
          0本

        記事

          大ヒットドラマ『Breaking Bad』以上のスピンオフ作品

          Netfrixでシリーズ再開の吉報、『Better Sole Call』の第四シリーズが開始。 © comemo148177230 人間は不平等に生まれてくるにも関わらず、他者との不公平感を容易に解消することは出来ない。例え、それが自分のアイデンティティに根ざしたものであってもである。『ブレイキング・バッド』の主人公は正義より家族を、やがて家族よりもアイデンティティにこだわり、全てを喪失することでストーリーを完結させた。『ベターコールソール』はどの役柄も家族や正義、会社や

          大ヒットドラマ『Breaking Bad』以上のスピンオフ作品

          映画『Kill your friends』とフリーダ・サンデモ

          蓮の根は汚い泥の中から生まれてるが、その花は無垢の色で、湖上で花咲く。 © comemo148177230 映画『マッドドライヴ』を観た。誰もが○○(クズな)映画だと思うに違いない。 『マッドマックス〜怒りのデス・ロード』で脚光を浴びている主演のサイモン・ハリスの注目度にあやかった邦題のようだが、映画の原作や原題であるジョン・ニーブのタイトル名『Kill your friends』を知らないと、この映画の真意は読み取りにくい。映画『トレインスポッティング』や90年代

          映画『Kill your friends』とフリーダ・サンデモ

          屋根のない部屋で見る<夢と現実>

          映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』とコリン・ファレル『HAPPY』を結ぶもの 映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』に登場するファッション・フォトグラファーのマーク・レイ。元モデルのハンサムでロマンスグレーロマンスグレーの似合うナイスミドルな彼は、一見ニューヨークの”勝ち組”。しかし、華やかなパーティー会場を後に向かった寝床は、友人の住む雑居ビルのアパートの屋上に隠れるように寝袋にくるまる生活を送っている。 © comemo148177230 ある日この秘密を打

          屋根のない部屋で見る<夢と現実>

          映画『地獄の黙示録』が予兆し続ける『新しい戦争の《闇の奥》』

          © comemo148177230 フランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』は、ベルギーの植民地時代前後のアフリカのコンゴ(現在のコンゴ民主共和国・旧ザイール)での実体験を元にしたジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』を元に、舞台をベトナム戦争に置き換えて脚色した戦争映画である。名作が故に、筆者も子供の頃から何度もテレビで観た記憶があるのだが、この原作の存在を知らずにいた事から、長らく映画の核心についての正確な理解出来ずにいた事を恥じると同時に、両作品が示した

          映画『地獄の黙示録』が予兆し続ける『新しい戦争の《闇の奥》』

          「市場の倫理」と「統治の倫理」の哲学的内戦

           SDGsのグローバルなコンセンサスでにおいて、ひとつ懸念しているのは、気候変動問題がある種の救心力あるいは数値目標となっていること。つまり気候変動への対応そのものが国家の功利主義的協調政策となって、<人類対地球温暖化現象>の枠組みをつくることで成立していることにある。残念ながら、アル・ゴアの『不都合な真実2』を見ると、あまり情緒的に温暖化現象にフォーカスしたプロモーションは、2030年時点の定量的エビデンスで、その効果が<弱い持続性>として過大に評価される可能性がある。その

          「市場の倫理」と「統治の倫理」の哲学的内戦

          映画『インターステラー』に見る、現代版『怒りの葡萄』とその背景

          ーニューディール政策やマッカーシズムに見るアメリカ史の再評価をもとに、50年後のアメリカを想像する。 CC BY SA  Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Dust_Bowl)  映画『バックマン』のダークナイト・トリロジー三部作やレオナルド・ディカプリオが主演の『インセプション』、戦争映画『ダンケルク』等で有名な映画監督クリストファー・ノーランは、英国出身でロンドン大学で文学を専攻した脚本家でもある。 SF映画『インタース

          映画『インターステラー』に見る、現代版『怒りの葡萄』とその背景

          『<わたし>と国家のあいだ』 鷲田清一

          ひとは時代を拒否し、時代から遁走しようとすればするだけ、より緻密に時代に絡みとられてゆく。自分がそこからでたい、下りたいと願っていた時代に、いよいよじかに包囲されることになる。法律や制度、習俗や縁、そういった生の背景がもはや背景ではすまなくなるからだ。が、そういう拒否や遁走にまでつきまとう、おそらくは記憶にすら留められていない背景というものがある。わたしたちの個々の存在を編んでいる意味の糸、個々の存在が憑かれている象徴の網、それらはある係数をもって思考をたわませ、欲望のかたち

          『<わたし>と国家のあいだ』 鷲田清一

          映画『マッドドライヴ』とフリーダ・サンデモ the connection of "Kill your friends" and "Frida Sundemo"

          映画『マッドドライヴ』を観た。『マッドマックス〜怒りのデス・ロード』で脚光を浴びている主演のサイモン・ハリスの注目度にあやかった邦題のようだが、映画の原作や原題であるジョン・ニーブのタイトル名『Kill your friends』を知らないとこの映画の意図は読み取りにくい。映画『トレインスポッティング』や90年代の英国音楽シーン(Britpop)を懐古した音楽業界もののブラックコメディだとしか思わなれないだろう。鍵となるのは、この映画ではあえて目立たないよう配置されたアーティ

          映画『マッドドライヴ』とフリーダ・サンデモ the connection of "Kill your friends" and "Frida Sundemo"