おっさんずラブとそれに伴う推しの話

わたしはおっさんずラブにどハマりしたOL兼ジャニオタであって、一時期Twitterで出ていたおラブ続編のキャスト妄想に胸を踊らせていたうちの1人である。

今回、そんな中でTwitterでも取り上げられていた「いのおくん×美容師」のネタを脚本風に起こしてみたので公開してみる。ちなみにリア友1人しかこの脚本を読んでいない。(笑)

適当に挿入歌も考えています。

なお、主題歌はわたしが愛してやまないNICO Touches the Wallsの「勇気も愛もないなんて」です。どうぞ。



おラブ in the salon

春田: 脱サラしたアシスタント
武蔵: Salon TENKUのオーナー
伊野尾 as 吉見悠: サロンの人気No.1美容師
かいちゃん as 浅井拓斗: 見習い美容師 春田をこき使う
名前はひろとと読むが春田はたくとって呼ぶので気にくわない
佐藤ありさ as 津田芽久実: サロモ 悠の彼女
二階堂ふみ as 山咲桃香: 常連 新人時代の指導係が春田だった
春田からはももちゃんと呼ばれている
井浦新 as 佐田透: 悠の高校時代の教師 初めての彼氏(と呼ぶのかなんなのか)
大谷亮平 as 臼井貴博: 悠の直近の元カレ


1話
挿入歌: バニーガールとダニーボーイ(NICO Touches the Walls)

Salon TENKU店内のカット
「今日からアシスタントとしてここで働くことになった、春田くんだ」「春田創一36歳! 頑張りますのでよろしくお願いします!!」
アシスタントとして主に悠につくことに
初めは失敗ばかりでバタバタだが怒ることもなく優しく指導する悠
とは対照的に「春田さん、ここの床掃いておいてください」「春田さん、タオル交換まだですか?!」と春田をこき使う拓斗

1週間ほど経った日、悠が春田を飲みに誘う
飲み会で春田が悠に美容師になった理由を訊ねると、「昔おれが髪を切るとすごい喜んでくれた人がいて」と楽しそうに語る悠
「いつか俺もそう思ってもらえるような美容師になれるかな」「春田さんならなれますよ、多分」「多分ってなんだよ」
と和やかなやりとりをする2人、を影から見つめる武蔵
この飲み会から悠は春田を創さんって呼び始める

翌日常連客の桃香が来店
「えっ、春田さん?!」「もしかしてももちゃん?!」顔を見合わせて驚く2人
シャンプー中に楽しそうな話し声が聞こえるのを複雑な表情で見つめる悠&手を震わせる武蔵

その日の締め番は春田と悠だった
「ももちゃん変わってなかったな~、よくこの店に来るんだって?」「そうですよ、仲良さそうでしたね」「まあな」「彼女だったりしますか?」「は?いやいや、それはないよ、ただの後輩。そういう悠は?」「……おれ、創さんにだったら抱かれてもいいですよ」「は……え??抱かれ…………え???」「考えといてくださいね」
作業後、手をひらひらと振りながら帰っていく悠と頭を抱える春田が映って暗転

2話
挿入歌: A KITE(BIGMAMA)

翌日、何もなかったかのようにけろっとしている悠を見て混乱する春田
慌てて道具を準備していると落として床にぶちまけてしまい、拾おうと手伝う武蔵と手が触れる
「あっすみませんオーナー!」「…………いや、構わない。今日も頑張ろう」「はい!」

会社で髪色怒られちゃって……と言いながら再び来店した桃香
「ちょっと明るくしすぎちゃったかな」という悠に拓斗が「俺にやらせてください!」と告げる
雑誌を手に取りつつ店内をチラチラ見ている桃香のカット
「桃香さん、いつもそれくらいで染めてますよね? ちなみに今春田さんは買出し中でいませーん」「えっ?!」にんまり笑う拓斗と焦る桃香
「いやいや別に?! なんで春田さんが関係あるんですか? 探してないですって!!」「オレそーゆーの、なんか分かっちゃうんですよね。手伝いましょうか?」「…………」
ボソッとお願いします、と呟く桃香

夕方になり春田が戻ってくる
シャンプー台の前で深刻な顔をして手のひらを見つめる武蔵(朝から一度も手を洗っていない、一瞬のコメディパート)
「戻りましたー! ってあれ、オーナー?」と武蔵に近付く春田、ただならぬ雰囲気に少しひるむ
「春田くん、話があるんだが……」「はい、なんでしょう」
ここでここ最近のミスを思い浮かべて(どれだ?どれで怒られるんだ春田~~!!)と混乱するカット、を遮るように
「好きなんだ!!!!!」
と武蔵の声がサロン中に響き渡る
「え、ええっ、え???オーナー??」「もうダメなんだ、どんどん春田くんのことを考えてしまって…………」(アドリブ会話)
「返事はまだ!いらないから!」と出ていく武蔵
「まだいらないって…………」と困った顔でしゃがみこむ春田

翌日サロンに芽久実が来店し悠に親しげに話しかける
カラー剤を作るために悠と2人になった春田
「前雑誌で見たことあったけど芽久実ちゃんすっっっげーーーー綺麗だな!! やっぱり悠くらいになると芽久実ちゃんにもあんなに信頼してもらえるのかあ」「ああ、創さん知らなかったですっけ? あいつ、おれの彼女なんです」
そう飄々と言い放ち、「芽久実、おまたせ」とカラー剤を持って2階に上がっていく悠
(待った待った待った、どゆこと~~~?!?!!)と階段を上る悠の背中を見つめながら変顔をする春田が映って暗転


3話
挿入歌: 命日(おいしくるメロンパン)

芽久実のスタイリングを終えた悠
「さすが悠くん♪ 今回も最高!」「よかった、我ながらすごい似合ってる」「鏡越しの悠くんも素敵だったよ」「ありがとう」
2人のやり取りを見ながら(普通にイチャイチャしてる……え?? じゃあこの前のあれは………………ジョークか!! なーんだ春田勘違い! 変な空気にしちゃったナ~反省☆)と1人脳内で暴れる春田

芽久実がサロンを出たあと予約なしで1人の男性(貴博)が現れる
「悠!やっと見つけた」
少し嫌な顔を見せて小さい声で「いらっしゃいませ」と挨拶する悠、拓斗に接客を頼めないかと振り向くも手が離せない様子
「カット、頼める?」「……分かりました」
少し離れたところから悠の様子が普段と違うことに気付く春田

嫌がりながらも接客をする悠
「もう少し笑ってくれてもいいんじゃないか?」「ここでは何もしないからそんなに警戒するなよ」と悠に告げる貴博
「……おれ、あんたに店教えた覚えはないけど」「そうだっけ?(笑) おかしいなあ」
会計時に電話番号の書かれた名刺をお札の間に挟んで渡す貴博
帰っていく貴博の姿を見ながら悠の肩越しに名刺を確認する春田「悠の知り合い?」「さあね」

その日の締め当番は春田1人、少し早く上がって帰路についていた悠は背後から人の気配を感じる
貴博がつけているのではと不安になる悠、震える手(アップの画)で春田にLINEを送る
「まだ店いますか」
スマホが震えて気付く春田
「いるよ~ もうすぐ終わって帰るとこ!」
「そのまま店にいてください」「ほーい」

20分ほど経って悠がサロンに入ってくる
「悠、忘れ物?…………って、どうした!」
明らかに様子がおかしい悠に駆け寄る春田
「誰かに、つけられてる気がしたから」「え?!警察呼ぼ、警察」「いや……、それはいいです」「もしかして、今日の……貴博ってやつ?」
頷く悠

「昼から何か悠が変だなって思ってたけど……え?ストーカー……だったの??気付かなくてごめ」「いや、元彼です」
一瞬の沈黙
「………………うん?ごめん悠、なんて」「元彼です。あの人。なんかちょっと変わってて」
脳内で(元彼?いやでも今悠は芽久実ちゃんと付き合ってて、彼女、だよな? でも……??)と混乱する春田

悠は固まる春田を見てフッと鼻で笑う
「だから抱かれてもいいって言ったんですよ。どうやらオーナーが創さんのこと好きみたいですけど、おれも相当好きですよ、創さんのこと」「でっ、でもお前彼女いるじゃんか。芽久実ちゃん、かわいいだろ?」「芽久実は確かに彼女ですけど、おれが好きなのは創さんですよ」
真剣な顔で断言して春田にキスをする悠
固まる春田を置いて悠は店を出ていく
「っておい!今出てっていいのかよ!! ……ずっと震えてたくせに…………」
悠に掴まれた肩と震えていた腕を思い出す春田
俯いて歩く悠の背中を映して暗転

4話
挿入歌 : 恋は幻(東京事変)

悠の一件でもやもやする春田
(どうやって顔合わせればいいんだよ……)と思いながらサロンに行くと、悠は2連休だと告げられる
拓斗のサポートをすることになるが、「ちょっと春田さん?!」「待ってそれ触らないで!」「あーもう!!」と怒られてばかり

場面は変わりお昼にタピオカに並ぶ拓斗
隣のカフェに桃香を見つけて話しかけ、春田をデートに誘うよう告げる
「春田さん絶対女の影ないんでいけますよ☆ えーっと……春田さん明日休みですね!」ニヤッと笑う拓斗

元気の無い春田を心配そうに見つめる武蔵
春田が仕事を終え外に出ると同じく仕事終わりの桃香と出会う
「あれ、ももちゃん!偶然だね」「こんばんは、お疲れ様です」
駅までの道を一緒に帰る2人、明日空いてますか?とデートに誘う桃香
翌日オフだった春田は桃香の誘いを受ける

翌日、桃香が「友達とは並びにくかったから」とカップルに人気のカフェに行くことを提案、了承する春田(まんざらでもない様子)
カフェに座って料理が来るのを待つ間、春田が外を見ていると並んで歩く悠と芽久実を見つける
楽しそうに歩く2人、(なんだよあいつ、普通に元気じゃねーかよ)と眉間にシワを寄せる春田
悠には気付かずにそんな様子を不思議そうに見つめる桃香

翌日、いつも通り出勤してきた悠
春田を見ながら百面相をしていた武蔵に近付き、「オーナー、創さんのこと見すぎですよ」と声をかける
「びっくりさせないでくれよ」「すみません、いや、オーナーって案外分かりやすいところありますよね」「…………」「マジ、ですか?」いたずらっぽく笑いながら続ける悠
「おれも創さんのこと気に入ってるんで」慌てて悠の顔を見つめる武蔵、真顔になる悠
「マジのマジだよ、…………武蔵、本気で~~す!!!」「なるほどね」
顔を近付け睨み合う(?)2人を遠くのシャンプー台から恐る恐る眺める春田
(なんだか困った展開になりそうな予感……どうしたらいいんでしょうか?!)とモノローグが入る

場面は変わり、スマホを見つめる芽久実
LINEの画面が映し出される
「今日は楽しかった♡ 次は悠くんの家でのんびりしたいな」というメッセージは未だ既読になっていない
暗い表情の芽久実がアップになり暗転

5話
挿入歌: ベニクラゲ(ポルカドットスティングレイ)

これまでの態度から悠の気持ちが自分にないことを悟った芽久実がサロモを辞める、悠とも別れると言い出した。悠は「分かった、今までありがとう」と引き留めようともせず受け入れる
芽久実から私のこと好きだった?と聞かれるも微笑むだけで何も答えない悠
芽久実の家のカットになり、暗闇の中スマホを操作する芽久実の姿

翌日からSNS上でSalon TENKUの悪評が流れ出す
「ちょっとみなさん!コレ見てくださいよ……」と拓斗が出勤するなりスマホを見せる
「これはひどいな」「誰がこんなことを……」と各々が口に出す中1人黙っている悠

備品を整理する春田と拓斗
「あれ絶対芽久実さんですよ、なんだかサロモも辞めるみたいだし」「えっそうなの?!」「辞めるってのも悠さんが勝手に決めちゃったみたいですよ、まったく…………そーゆートコありますよね、悠さん 腕はすげえいいけど」
少し恨めしげに悠を見つめる拓斗、春田もつられて悠に目線を移す
普段と変わらない態度で接客を行う悠、表情から真意は読めない

仕事終わりに悠を飲みに誘う春田
「怒ってます?おれに」「なんで?怒ってはないよ、別に」
ビールを煽りながらふうっ、と息を吐き出す悠
「あの投稿、芽久実ちゃんなの?」「……そうなんじゃないですかね」「なんで」「振られたんで。芽久実に。腹いせじゃないですか?お店の人には申し訳ないと思ってます」「でもそれとこれとは関係なくねえ? その……モデルもさ? 芽久実ちゃんにとっては仕事でもあったわけだし」「それでもですよ。 おれの立場から口出しできることじゃないでしょ、……芽久実はおれに傷付けられたわけだし」
諦めたように笑う悠、余計な心配かけちゃってすみませんとお金を置いて席を立つ 後ろ姿に思わず声をかける春田
「お前さ、……大丈夫なの?」「優しいですね、創さんは」夜の闇に消えていく悠

翌日からチラシ配りや公式サイトでのスタッフ紹介、施術ビフォーアフターの掲載などいくつか案を出し実行する春田
「うわ、春田さんが初めて頼もしく見えました」「うるせーよたくと」「ひろとです」
そんな春田の背中を潤んだ瞳で見つめる武蔵
(春田くん、俺の店のために……!!)

チラシ配りに出た先で、雑踏の中歩く芽久実を見つけた春田
「芽久実ちゃん!!ちょちょ、待って待って待って!!!」と追いかけ、なんとかカフェに入る

「怒ってます?私に」と座るなり切り出す芽久実に思わず笑ってしまう春田
「……なんで笑うの」「いや、悠と全く同じこと言うんだなって」「悠くんと?」
悠と話した内容をかいつまんで伝える春田、驚く芽久実
「悔しかったの……、だから、悠くんの大事なものをひとつでも奪ってやりたかった」泣き出しながらごめんなさいと繰り返す芽久実
「悠はさ、きっと芽久実ちゃんの気持ちもなんとなく分かってて、だから何も言わないで自分が悪者になろうとしてるんだよ」「…………」「まあ許してやってくれとは言わないけどさ」

それから少し経ち、SNSでの炎上は収まり以前のような客足を取り戻したSalon TENKU
ある日サロンに芽久実が訪れる「……悠くん、指名で」
悠を見つめる芽久実、鏡に映る姿を見て気付き振り返る悠
「いらっしゃいませ」「お任せで」「分かりました」「……可愛くしてね」「もちろん」
ホッとした顔で見守る春田、鏡越しに芽久実と目が合い口パクでありがとう、と言われる

その日の帰り、お店を出ようとする春田と悠のカット
「創さん、なんかしましたよね」「俺?ううん、なんもしてないよ」「ふーん」優しい目で春田を見つめる悠
「ありがとうございました」
へへっ、別にぃ?と言いながら春田が自分のロッカーを開けるとバサバサっと音を立てながら大量の包み紙が落ちてくる
「うおおおおお?!?!!なんだこれ!!!」
近付く悠、見ると「春田くん ありがとう 武蔵♡」と書かれた手紙がつけられていた
「オーナー……?」「なんで?え?これ全部オーナーから?? 嘘だろ……!!!」
大量のプレゼントに埋もれながら頭を抱える春田のカットで暗転

6話
挿入歌: 2人だけの世界(YUKI)

翌朝春田が出勤するとソワソワしている武蔵
「あっ、オーナー、あの……」「おおおおはよう春田くん!」「昨日の、あれ、プレゼント……なんですけど」「春田くんがァ!俺の店を守ってくれたから!!」「え、いや、あの」「何が好きなのか考えてみたらよく知らなかったから、とりあえず全部買っちゃった!!」「あ、ありがとうございます……」「今日も、頑張ろうね♡」とスキップで去っていく武蔵

サロンがオープンし、春田が受付に立っているとドアが開き男性が入ってくる
「吉見さん、いますか?」「よしみ……??」と首を傾げる春田
そこへ「佐田先生!!」と満面の笑みの悠がやって来る
「吉見、久しぶり」「来てくれたんですね、嬉しいです!お待ちしてました」
奥の席へと佐田を案内する悠を目で追ってしまう春田
(吉見って悠のことか……、ていうかあいつあんな顔で笑えるのかよ、初めて見た……尻尾振ってる犬かよ)とモノローグ

「吉見は昔から変わらないな」「え~?佐田先生こそ」にこやかに会話をする2人、を眺める春田と拓斗
「俺あんなにニコニコ話してる悠さん初めて見ました」「拓斗も?」「誰なんでしょう相手の人、なんかこわーい」「いや怖くはないだろ」

「もうすっかりプロだな」「最初の頃はひどかったですよね」という会話が耳に入り、春田はサロンに入ったばかりの頃の悠との会話を思い出す
(昔おれが髪を切るとすごい喜んでくれた人がいて――)モヤッとする春田、首を傾げて場面が変わる

高校時代の悠・佐田の回想へ
高校生の悠は友達が多くなく、いつも1人で過ごしていた
そんな悠を気にかける佐田、最初は鬱陶しいと無視をしていた悠だがだんだん心を開いていく
進路希望調査の回答日、屋上で真っ白な用紙を眺める悠
「吉見、今日期限だぞ」「……佐田先生」「なりたいものとかねーの?吉見には」「おれ…………(ここで少し伸びた佐田の髪に目線を移して)美容師になりたい」「いいんじゃないか?」夢を告げた悠の頭を撫でる佐田
「そうだ、髪の毛伸びてきたな……切ってみるか?」「え、いいの?」

そして佐田家のカット
佐田の髪をぎこちない手つきで真剣に切る悠
「切るの上手いなあ!これからは床屋に行かずにお前に頼もうかな」と優しく微笑む佐田、照れ笑いをする悠
「吉見なら、立派な美容師になれるよ」

並んでテレビを観たり、食事をしたり、髪を切ったり、笑い合う2人のカットが続いた後にベッドの中で佐田の寝顔を幸せそうに見つめる悠の寄りカット

微笑む現在の悠と過去の悠が重なって回想は終わる
「今日はありがとうございました」「いや、こちらこそ、会えてよかったよ」
会計へと向かう佐田を呼び止めてメモを渡す悠
「今度はここで、……待ってます」
微笑みながら手を振る佐田、頷く悠

閉店後、ため息をつきながら練習のためにシャンプー台に向かう春田
「はーるたくん」「うわあ!!!!」
シャンプー台には武蔵が座っていた
「練習、する?」「あ…………はい………………でもあの、オーナー相手はさすがに恐れ多いので……」「そうだよな、ごめんごめん」笑いながら軽やかに立ち上がる武蔵、「頑張ってね♡」と言って春田に背を向けた途端に泣きそうな顔をする
(春田くん………………)

翌日、タピオカを啜る拓斗とスムージーを飲む桃香のカット
「最近春田さんなーんか元気ないんすよねえ」「そうなの……? そう言えば最近行けてないなあ」「チャンスですよ、桃香さん! 今日の夜ならちょうどまだ予約空いてますけど」「え、じゃあ行く!」「まいど~~」

仕事終わりに来店する桃香
確かに春田にはいつものような元気はなかった
「春田さん、なんか元気ないですよ?? 美味しいものでもパーッと食べに行きましょ!」と誘う桃香、ありがとうと笑う春田

春田が仕事を終え、焼肉を食べに行く2人
気にせずばくばくと食べる春田、どこか決意をしたような顔の桃香が交互に映る

焼肉店から出て静かな夜道を歩くカット
「美味かった~~、元気出た!! ももちゃんありがとな、年下の子に心配かけちゃって情けねぇなあ、俺」とヘラヘラ笑う春田に桃香が駆け寄り、「わたし、春田さんが困ってるなら力になりたいんです……! 昔わたしの力になってくれたのは春田さんだから」と告げて手を握る
「ももちゃん…………」
繋がれた2人の手を引きで映して暗転

7話
挿入歌: 螺旋(スキマスイッチ)

手を繋いだまま駅まで帰った春田と桃香
「じゃあ、また」「…………おやすみなさい」
どことなくぎこちない様子の2人

翌朝春田が出勤すると、試用期間が終わり正式にアシスタントとして採用すると武蔵から告げられる
「春田くんの頑張りあってだから、おめでとう」と続ける武蔵
悠を見ると小さくピースサインを作ってくれ、思わず笑顔になる春田

朝礼が終わり各々が持ち場に着く中、武蔵を呼び止める悠
「……そうか、分かった」「よろしくお願いします」とのやり取りだけが交わされる

その後接客を終えた悠に近寄る春田
「創さん、おめでとうございます」「とりあえずよかったあああ」「頑張って育てた甲斐がありました、これでもう大丈夫ですね」「え、なんで? これからも助けてくれよ~」「冗談です」笑いながらどこか遠くを見つめる悠
「でもさぁ、悠ってほんとにすごいよな」と言いながら悠の仕事道具に目を落とす春田 「別に、特別すごいことなんて何もないですよ」 慣れた手つきで道具をポーチに収める悠、手もとに寄り場面が変わる

たまにはパーッと飲みましょうか!と拓斗の発案でサロンの面々で飲み会をすることに
酒を飲んで春田にグイグイ行く武蔵、を少し離れた席から見ている悠
そして遠くのテーブル席から悠を見つめる貴博のカット

「ちょっと席外しますね」と言ってトイレに向かう悠、春田は歩いていく悠に途中で気付き、背中を見つめる
洗面台の前で一息つく悠、その背後から貴博が入ってくる
「この前はずいぶんそっけなかったよな」「げ、なんで……」「たまたまだよ、たまたま」悠と距離を詰める貴博
「今は彼氏いないんだろ?」「あんたには関係ない」「ふーん」強引に悠の腕を掴む貴博、悠の肩が跳ねる

武蔵に絡まれ拓斗にイジられる春田のカット、(あれ、悠遅くねえ?)と悠が座っていた場所に目をやる
「ちょっと酔ってきちゃったな~~」とわざとらしく言いながら席を立つ春田

トイレに近付くと中から2人分の声が聞こえる
「おーい、悠?大丈夫か?」とドアを開けると悠の腕を掴んだ貴博がいた
「あ、創さん……」「え……? この前の………………」と記憶を辿る春田(3話の映像が流れる)
「あ、もしかして今はコイツのことが好きだってわけ?」「おい」「アシスタント……だったっけ? まだ付き合ってはないんだよな? お前、悠のことどれだけ知ってるんだよ」「やめろ」
悠の首元と背中のホクロの話や酔ったときの話を得意気に続ける貴博、唖然として動けずにいる春田、そんな春田の姿を見て俯く悠

そう言えば、と悠の袖を捲り上げる貴博
「さすがにもう全部消えてるか……、お前好きだったよな? 俺に痣つくられるの」「頼むから……、もうやめてくれよ…………」力なく座り込んだ悠を見て我に返った春田は貴博を引き剥がす
「これ以上やったら俺が殴ります、……早く出てってください 警察も呼びますよ」と睨みつける春田、出ていく貴博

春田と2人になったあとも膝を抱えて静かに涙を流す悠、目線を合わせようと春田もしゃがむ
少し開いた首元から見えるホクロに目をやる春田、苦い表情を作ってからかき消すように首を振る
視線を悠に戻し、涙で濡れた唇に吸い寄せられるようにキスをしてしまう春田
目を見開いて春田を見つめる悠、の瞳の中に狼狽えた表情の春田が映る
「………………これ以上惨めにさせないでください」
小さく吐き捨てた悠がフラフラしながら飛び出し、そのまま店を出ていってしまう
壁にもたれかかり頭を抱える春田
「っあ~~~、俺、なんで…………」

なんとかその場は収めたものの、飲み会が終わり途方に暮れながら帰る春田
ぼーっと歩いていると終電近くになって走っていた桃香とぶつかる
「いて!すみません!!」「え?!春田さん?!」「……ももちゃん…………」

再び並んで歩く2人、桃香がいくつか話題を振るも何を話しても上の空のままの春田
突然立ち止まる桃香、驚いた様子の春田を見上げる
「……私じゃやっぱり力になれないみたいですね」「ももちゃん……ごめん」「ぜーんぜん!気にしてないです! ……その代わり、今度は春田さんが私のカットを担当してくださいね」「…………ありがとう」
じゃあそろそろ電車が、と駆け出す桃香を立ち尽くしたまま見ている春田
桃香の正面からのカット、走りながらぼろぼろ泣く姿が映される

場面は変わり、照明の落ちたサロン店内
1人でたたずむ悠
ポーチの中から大切にしていたハサミを取り出し、手紙とともに春田のロッカーの中へしまう
「…………さよなら」
小さく呟きサロンを後にする悠、表情は分からないままドアが閉まり暗転

8話
挿入歌: 名もなきハッピーエンド(indigo la End)

飲み会の翌日は休みだった春田、休み明けに出勤すると悠の姿がない
「あれ?悠は?」「え、春田さん何も聞いてないんですか?」「へ、何が?」「悠さん……いや、なんでもないです」濁す拓斗を訝しがる春田

シャンプーの最中、客から「ここにいた悠さんがお店出すって本当ですか?」と質問され、そこで初めて悠がいない理由を知る春田
(だからあいつ……)と「これで大丈夫ですね」と言いながら遠くを見ていた悠の姿を思い返す

サロンの面々は春田には直接伝えたいから、と悠に口止めをされていた
7話で武蔵を呼び止めた悠のカットが描かれる
「オーナー、相談していた件ですが」「ああ」「……スタッフには、一人一人おれから伝えさせてください ……あと、創さんにはまだ言わないでいただいていいですか、多分驚かせてしまうので」「……そうか、分かった」「よろしくお願いします」「頑張れよ、夢だったんだろ」「……はい」

仕事が終わり、黙っていなくなった悠に苛立ちながらロッカーを開ける春田
荷物を取り出すと奥に光るものを見つける
「…………これ……」
そこに入っていたのは見覚えのある悠のハサミだった
添えられていた【創さんへ】と書かれた手紙を握りしめる春田

「吉見のものだろう?」「オーナー……」
後ろから見ていた武蔵が春田に声を掛ける
「悠は……もうここには来ないんですか」「そうだな」「なんで俺には、何も言わないで…………」唇を噛み締める春田
そんな春田を抱き締めようと近付くが、ためらってぐっと拳を握る武蔵
「春田くんのことが、大切だからだろう」「……え?」「傷付けたくなくて踏み込めないことが誰にでもあるだろう」
優しく笑う武蔵、困惑した目で見つめる春田
「あーあ!!俺だって春田くんのことが好きなんだけどなあ!!!」とふざけて大きな声を出す武蔵、春田の目から涙が一筋流れる
「オーナー……」「言っただろう、返事はいらないって」「…………すみません」「俺があと20くらい若かったらチャンスはあったかな」少し切なそうにいたずらっぽく笑い、そのまま「……いや、年齢じゃないか」と続ける
「本当に……すみません、ありがとうございます…………」俯く春田、握りしめた手を開いて優しく肩を叩く武蔵
「吉見は、――」

場面は変わり悠の店
道具を準備しながら1つ空いたスペースを眺める悠
そのときドアが開き男性の足元が映る
「いらっしゃいませ」
ゆっくりと視線が上がり、男性の顔を映す
現れたのは佐田だった
微笑み合う2人のカット

6話で佐田にメモを渡したシーンが流れる
渡したメモにはこの店の場所が書かれていた
「来てくれてありがとうございます」「何かと思って驚いたよ」「……やっぱり、最初にどうしても先生の髪を切りたくて」懐かしむように笑う悠
「いつまでもそんなんで大丈夫か? 俺は別に気にしないけどな」「いや、…………今日で終わりにします」
座る佐田にケープを掛け、どこかすっきりした顔で見つめる悠
「……お前はちゃんと今、幸せなのか?」
再び過去回想、佐田の寝顔を見つめて微笑む悠、佐田の髪を切ってはにかむ悠、屋上で美容師になりたいと告げる悠の映像が続けて流れる
「幸せ、になりたいと思ってます」「……吉見ならなれるよ」

佐田を見送り、椅子に腰掛けて春田のことを思い出す悠
そのときドアが開く音がする
「なに先生、忘れ物…………え」
振り向きながら話す悠、人物を認識して固まる
そこには息を切らした春田が立っていた

画面は変わり悠からの手紙を読む春田
【創さんへ

勝手にいなくなってすみません
びっくりしましたか? しますよね、ごめんなさい

「したよ……ばーか」

なんだか創さんには迷惑ばかりかけていた気がします

「ほんとだよ」

少しでも仕事で恩返しが出来ていたらいいけど…… どうだろう(笑)

「それは本当に、感謝してる」

ちゃんと人と向き合うことのできる創さんなら、絶対に素敵なスタイリストになれます

そうしていつかおれの髪を切ってほしいな

悠】

「………………」
悠のハサミを見ながら涙を流す春田

「いつか俺もそう思ってもらえるような美容師になれるかな」「春田さんならなれますよ、多分」いたずらっぽく笑う悠、「創さんになら抱かれてもいいですよ」と告げた悠、カット中の真剣な悠、芽久実の件で諦めたように笑う悠、試用期間が終わったときにピースサインで笑った悠が走馬灯のように流れ、最後に春田からキスをしたときに泣いていた悠の顔を思い出す

「…………なんだ、俺、相当好きになってんじゃん………………」
窓の外を見つめる春田、立ち上がり暗転

悠の店で向かい合う2人
「創さん、なんで……」「…………オーナーが教えてくれた」「あの人……言わないでって言ったのに」

武蔵とのシーンの回想
「吉見は、ここにいる」店の場所が書かれたメモを渡す武蔵
「オーナー……」「秘密にしてくれって何度も念を押されたんだが、……惚れた相手の涙にはなんとも弱いな」
笑う武蔵、ありがとうございます、と言いながら涙を流す春田

「どうして黙っていなくなったんだよ」「……これ以上創さんに迷惑かけたくなかったから」
俯く悠、春田がゆっくりと近付き抱き締める
春田の腕の中で静かに涙を零す悠
「会えなかったら髪も切れないだろ」「……もう会わなくても、会えなくても……いいって思ってました」「悠、」「その“いつか”を待ってるだけでおれは頑張れるから」「……」「なのに、なんで来ちゃうんですか…………」力なく笑う悠

悠を抱き締めたまま話し始める春田
「俺はさ、まだ悠の深いところまで全然知らないし、ホクロの数だって分かんねえし、俺には犬みたいに尻尾振ってる姿も見せてくれねえけど…………それでも、悠が傍にいないと嫌なんだよ」
小さく吹き出す悠、「なんですかそれ」
抱き締める腕に力を込める春田「悠のことが、好きなんだ」
夕日が射し込む店の中、抱き合う2人の引きカット
春田の背中に悠がゆっくりと手を回す

「…………馬鹿でしょ………………」春田の服を握り締める悠
「あんなにおれの嫌なところたくさん見たでしょ…… なのに、おれなんかでいいわけ……?」「悠がいいの」
悠の髪に手を通し、見つめる春田
「傍にいさせてよ、それで、いつか、……悠が俺に任せられるなって思ったらさ、この髪を俺に切らせて」
涙を流しながらこれまでで一番綺麗に笑う悠
「……おれは厳しいですよ」「上等だ」
笑い合って顔を寄せる2人、悠がゆっくりと目をつぶり唇が触れ合って暗転


***
エンディング後
ケープ姿で椅子に座る悠、後ろに立つ春田
「うわっ!切りすぎた!」「何やってんですかもう……下手くそ」「ごめんごめん」
鏡越しに見つめ合う2人、笑い声が響いていく――

~ end ~




***

我ながら長い。

ここまでお付き合いいただいた方がいるのだろうか。。

いたのであれば本当にありがとうございます。

また適当に執筆を頑張ります。


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