気分は捜査官!最新の謎解き「人の財布」をプレイ
台風が過ぎ去り、朝晩は少し涼しくなってきましたね。まだまだ日中は暑いですが、秋に向かう気配を感じられてようやく秋がやってくる!とわくわくしているこの頃です。
さて今回の【勝手に分析!Good CX】は人気沸騰中の「人の財布」について分析していきます。
この記事は公式の配信・ネタバレのガイドライン(2024年5月10日更新)を遵守して執筆しています。
※以降の記事内にはネタバレを含みますので、今後プレイ予定のある方はこの先を読まないことを推奨します。
オンラインで即完売した「人の財布」
普段から友人たちと謎解きや脱出ゲームを楽しんでいるのですが、ひょんなことから「人の財布」の存在を知り購入することができました。
商品の購入ページに記載されていたのは上記の内容のみでしたが、情報が極限まで絞られているので財布が届くまでのワクワク感が高まります。
「財布の中に何が入っているんだろう‥?」「どんな物語が始まるんだろう??」と友人たちと話している時間も楽しかったです。(まだ何も届いていないのに…!)
購入後に知ったのですが、この商品はARG(Alternate Reality Game)と呼ばれる日常空間と物語空間を交錯しながら謎解きやストーリーを楽しむ商品のようです。
現実世界にゲームストーリーが侵食してくる感覚とはどのようなものなのかも記していきたいと思います。
「人の財布」本記事の執筆時点で2025年1月発送分までは完売。2025年2月発送分が注文できるようです。これ以降、内容に関わる記載がありますのでプレイ予定の方はご覧にならないことを推奨します。https://shop.daiyonkyokai.net/products/hitonosaifu
忘れかけていた頃に財布が突然届き、物語が始まる
購入から半年以上たち、その存在も忘れかけていた頃に小包が1つ自宅に届きました。
開けてみるとジッパー付きの袋にネイビーのコンパクトな財布が入っています。小さなカードも同封されていましたが、内容には言及されておらずヒントサイトなどの情報が記載されているのみ。
これまで行ってきた謎解きや脱出ゲームは、まず最初にゲームの設定や趣旨・目指すゴールなどが明確に提示されていることが多かったですが、この財布にはそういった案内が一切ない‥!
捜査官の気分でリアルな事件に立ち向かう
もう開いて中を見てしまっていいの‥?と戸惑いつつも、中身を確認していくと学生証や殺人事件のニュース記事・レシート・写真・手紙など持ち主にまつわるものが出てきました。
中身をすべて出しても指示が書かれたものは入っていないので、学生証の名前を頼りに検索をかけてブログを見つけたり、ニュース記事のキーワードから新たな情報を集めたりと手探りで持ち主について情報を集めていくのですがこれが面白い・・!
その過程はまるで自分が事件の捜査官になった気分です。次にどちらに進めばいいのかの手がかりがない中、持ち主が綴っていたブログやあるお店のHPなどを隅から隅まで調べ尽くしていく作業に没頭しました。
友人数名のそれぞれが情報とにらめっこしている空間は、捜査本部さながらだったと思います(実際の捜査本部を見たことはありませんが・・😎)。
登場人物と直接やり取りして紐解いていく
その後、物語の真相を追っていく過程である人物とメールで連絡を取り合ったり手紙を郵送したりするフェーズに入ります。
LINEで回答に自動返答されるボットや、ネット上のシステムを使って進めていく脱出ゲームの経験はありましたが生身の人間が返答をしている仕掛けは初めてでした。
返信には数日〜数週間かかったことで日常生活を送りながらも、物語がたまに侵食してくる感覚になりやすくなる仕掛けの1つなのだと感じました。
謎解きをプレイするものとしてはあるまじき行為ですが、LINEの自動返信だと「回答キーワード」が決まっているのでそれらしき文言を片っ端から入れていって解いてしまったこともあります・・が、この仕組みだとそうはいかない。
手紙の返信に至っては、手書きで差出人の私の宛名まできちんと書かれており、既に準備されたものではなくちゃんと返信をしてきてくれているんだ…!と感動しました。
プレイスタートから約1ヶ月半かかって、やっと事件の真相が明らかになりました。物語の結末は発信しないので、気になった方はプレイしてみるか、渡邉までお問い合わせください📩
CXの観点でこの謎解き体験を分析すると…
一般的な謎解きと違い、没入感や日常への侵食感をかなり強く感じたプレイとなりましたがポイントになっていそうなことをいくつか挙げてみます。
商品購入ページや財布本体にも丁寧な説明はなくいきなりプレイがスタートすることで、レールの上を進んでいる感覚がほぼなく実際の事件に関与している感覚になる。
ブログや情報元のページが細部まで設計されており、捜査している事件は本物で生身の人間がそこにいるかのように感じられる。
登場人物とのやりとりは普段から利用しているメール・手紙といった手段で行い、返信までのタイムラグも発生するので日常とのリンクが起きている。
これらの没入感は購入者の目線に立ち、プレイの動線をかなり緻密に設計しないと実現できないものだと感じました。「CX視点に立たないと設計できない物語」ともいえるのではないでしょうか。
早速、「人の給与明細」という新作も入手したので次の物語も楽しんでいきたいと思います。
(執筆者:エクスペリエンスデザイナー 渡邉紗希)
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