イチロー氏のマリナーズ殿堂入り 英語スピーチから学べること
あなたはもうご覧になられただろうか?
イチロー氏のマリナーズ殿堂入りセレモニーでのスピーチである。
私なんか、アップされてる色んな動画を観ながら、もう凄すぎて泣けて泣けて仕方なかった。
スピーチはもちろん、「英語で」である。正直、そこまで流暢という訳ではない。でもそんなことはもはやどうでも良い、というレベルだ。もう長く向こうに住まわれてるし、球団要職にも就かれているし、若手育成にも携わってるから、もう困ることは無いのだろう。しかし、凄いのは「そこ」ではないのだ。
今回は、このスピーチの中から、私が特にスゴイと思った3つのポイントについて、ご紹介したい。
1. 立ち居振る舞い
まずは、もうこれに尽きる。登場シーンから、着席してからの他の方との談笑シーン、指揮台に向かうまでもそうだし、
スピーチで色んな方に感謝を述べる際の、指さしや表情など(←こういうことは、日本人はようやらんよね、という笑)
常に背筋がピン!と伸びた姿勢、佇まいは、尋常ではない存在感である。
これぞイチロー、これぞスピーカー、これぞスター、である。
2. ユーモア三昧
見れば分かるのだが、とにかく笑える!それはそれは冗談トークの連発なのである。もう参列者、スタンドの観客もドッカンドッカンウケてるのだ(笑)
この辺もアメリカ流というか、台本もどなたかの推敲があったにせよ、どう話すか、である。この辺のアクセント強弱や、間、照れずに堂々とやってしまうところなんかは、役者だな、と。その人のキャッチフレーズなども随所に取り入れるところなんかも。
発音を流暢にスピーチすることよりも、あの観衆を一人の言葉で沸かせることの難しさ、ですよ。
(開口一番、「What's up, Seattle!!」で完全ロックオン笑)
3. 顔を上げる
これもスピーチでの秘訣なのだが、「顔を上げてしゃべる」ということがとても重要なのだ。
今回もそうだが、何か読み上げる台本がある。15分にも及べば、これを暗記するのは生半可ではない。しかもちゃんとした場であるから、読むのはもちろん仕方ない。しかし、これが終始下をうつむいてスピーチしてたとしたら、相当台無しになっていただろう。
しかしイチローは、一文ごとに、ちゃんと顔を上げ、みんなの反応を確かめてからまた次を読む、という、間を含めて空間を完全にコントロールしてる感があった。もちろん、事前に相当練習もしたのではないか。
※こちらは、翻訳も付いたダイジェスト↓
じゃあこれと同じことが他の日本人メジャーリーガーの誰ができる?というと思い浮かばないのである。
(できれば、大谷選手然り、そろそろ少しでも英語での受け応えをしてくれたら、印象はさらに違うのに、と思う。)
イチローは向こうに何年いようとも「和」なイメージがあるが、その立ち居振る舞いは、とても「洋」であり、しかもそれは堂々としておりスタイリッシュなのだ。さすが・・
私自身、プレゼンの専門家、という訳ではないが、研修講演などする上で、どうしたらもっと上手に人前で話せるのか、ということを考えたり伝えたりすることがある。
昨今であると、講演もzoomなどを通じて行うことがメインにもなってきた。だからこそ余計に意識すべきことも変わってきた。
その上でも、上記のポイント3つ、特に「顔を上げる」ことは最重要であり、とかく自信がないと、今説明してるスライドが目の前にあるのに台本を読むなんてナンセンスなことをしてしまう。下を向いているスピーカーには魅力は無く、その時点で言葉も力を失う。
逆説的に言うと、いいプレゼンをするためには、いいプレゼンを知らなくてはできない。今回のイチローのスピーチでの一挙手一投足を垣間見、どこが素晴らしいのか、一度観察してみてはいかがだろうか。