お行儀をめぐって…
父方の祖父。
厳格な父親をやって、子供達を何処に出しても恥ずかしくない様に躾ました。
それ故、父はお行儀が良いのですが…。
母の方はと言うと…。
親に捨てられて過酷な幼少期を過ごしたこともあってか、野生人的。
やがて、実の両親の所へ逃げ帰って、一緒に暮らすことに…。
野獣の様な娘を見た祖母は、思いました。
「これは、何たることか!」
「こんな事では、嫁の貰い手もなくて、我が家のお荷物になるやないか!」
「ちゃんと躾なアカン!」
しかし、もう、遅過ぎました…。
母は小学校2年生にして、強烈な自我を確立していました。
親の言う事など、聞きません。
母は、祖母に言い放ちました。
「ケッ!」
「お行儀が、なんじゃ~!」
「しょうもない事、言うとらんと、ちゃんと(子供に)メシ食わせんか~!」
「お行儀より、メシが先なんじゃわ~」
祖母は、配偶者に外れて極貧生活を送っていました…。
母を最も怒らせたのは…。
ただでさえお金が無いのに、変な宗教団体にお金を上納していたこと。
「子供にメシもロクに食わせられへんのに、宗教なんか、やっとる場合か!」
「ほんでな~、お行儀なんかでメシ食われへんのじゃ~💢😠💢」
ところが、皮肉にも…。
大手企業に就職した母は、受付嬢に抜擢されてしまい…。
「お行儀が良い=収入への道」みたいな状況に陥ります。
渋々、評判の良い受付嬢をやっていたところ、今度は副社長が母を秘書にしてしまいました。
この頃の母は、「気品のある女性」として評判に…。
(家族としては、ちっとも信じられないのだ!)
(お金の力は、凄いのだ!)
教養のあるエレガントな女性への道を歩み始めた娘に安堵する祖母。
「これで、娘も嫁に行けるか?」
その後、一応、嫁には行けた母。
しかし…。
父は母に対して、エレガントさなど、一切求めていなかったのでした(笑)。